「小池百合子知事は答弁拒否」発言の取り消し動議で都議会に怒号飛び交う 都知事選控えて会派の対立も激化(2024年3月28日『東京新聞』)

 
 東京都議会定例会の最終日となった28日、本会議ではある「動議」を巡り激しい言葉が飛び交った。動議とは、小池百合子知事に答弁を求めた質問に都幹部が答えた対応を「答弁拒否」に当たるとする立憲民主議員の発言の取り消しを求める内容。賛成多数で可決した都民ファーストの会などと、反対した立憲民主や共産などが応酬を展開した。知事選告示が6月に迫る中、会派間の対決構図が浮き彫りとなった。(都政取材班)
28日、都議会で討論に立つ関口健太郎議員(左)と小池知事(右)

28日、都議会で討論に立つ関口健太郎議員(左)と小池知事(右)

◆「議事録の恣意的な削除は民主主義の破壊」

 「議事録を恣意(しい)的に削除するのは民主主義の破壊。動議は受け入れることはできない」。28日午後の都議会本会議。討論で立民の関口健太郎議員が声を張り上げると、議場からは「無礼な発言だ」「言い訳だ」など激しいヤジが飛んだ。
28日、討論に立つ関口健太郎都議

28日、討論に立つ関口健太郎都議

 先に登壇した都民ファーストの会の福島理恵子議員、公明の細田勇議員は「都議会の信頼を著しく失墜させる言動」「地方自治のルールの確認を強く求める」と、動議の対象となった立民議員の発言に対し激しい批判を展開。やはり怒号が飛び交い、議場は騒然となった。

◆「答弁拒否と断定するのは印象操作に等しい」

 発端は13日の予算特別委員会での関口議員の発言。今定例会で知事に答弁を求めた質問のうち「耳障りなことを言う」議員に対して知事が答弁に立たない割合が高いとし「答弁拒否」などと指摘した。時に対立してきた自民と都民ファーストの会が同調し、公明も合わせ3会派が26日の予特委で取り消しを求める動議を提出した。
定例会閉会日を迎えた都議会

定例会閉会日を迎えた都議会

 趣旨説明に立った都民ファーストの会の菅原直志議員は「『答弁拒否』と断じることは、都の執行機関全体が答弁を拒否しているかのような印象操作に等しい」と批判。知事が説明を職員に委ねることは執行機関側の任意とした上で、そもそも「質問者に答弁者を決定する権限はない」と主張した。3会派は、共産議員の発言にも「虚偽があった」として同様に動議を提出。いずれも賛成多数で可決された。

◆動議は可決されたが発言は削除されず

 小池知事は予算特別委員会の審議後、報道陣に「都としての発言をしっかりと答えているので(答弁拒否の)指摘は当たらない」と述べた。
28日、都議会定例会を終え、報道陣の取材に応じる小池知事

28日、都議会定例会を終え、報道陣の取材に応じる小池知事

 立民の西沢圭太幹事長は26日夕の会見で、「印象操作」と指摘されたことに「誰もそんなことは思わない」と反論。「知事の思想信条をただすことは重要で、そこに答弁しないことに関して質問するのは妥当だ」と訴えた。
 動議に法的拘束力はなく、議事録からの発言削除は本人の申し出がない限りできない。立民、共産の議員はいずれも応じず、削除はされないことになった。

◆「小池知事3選出馬」なら対応は…?

 現在2期目の小池知事は知事選に出馬するかどうか明らかにしていないが、特別顧問を務める都民ファーストの会からは待望の声が上がる。自公内でも、出馬時の支援が取り沙汰される。
 立民、共産は市民団体などと連携し、小池知事出馬を念頭に対抗馬の擁立選定を急いでいる。