“住職から十数年にわたり性暴力” 天台宗が聞き取り調査開始(2024年3月4日『NHKニュース』

四国にある天台宗の寺の住職から十数年にわたって性暴力を受けたと尼僧が訴えていることを受けて、天台宗が4日から聞き取り調査を始めました。

四国に住む50代の尼僧の法名・叡敦さんは四国にある天台宗の寺の60代の住職から「逆らうと地獄に落ちる」などとどう喝され、去年1月まで十数年にわたり性暴力などを受けたと訴えていて、80代の大僧正についても助けを求めても相手にされなかったとして、2人の僧籍を取り上げるよう天台宗に申告書を送っていました。

天台宗はこの申し立てを受理し、4日午後、大津市にある天台宗務庁で、叡敦さんへの聞き取り調査を始めました。

調査のあと大津市内で会見した叡敦さんによりますと、聞き取り調査はおよそ2時間におよび、参務と呼ばれる役員2人から申告書の内容などについて質問を受けたということです。

叡敦さんは会見で「かつて言われた暴言が壊れたカセットのように今も頭の中で回っているような状態です。10年以上たってようやく土俵にたつことができたという気持ちです」と話していました。

天台宗では、今後も調査を行い、審議することにしていますが、結果を公表する予定はないととしています。

60代住職「宗務庁から声がかかれば対応」
一方、60代の住職はNHKの取材に対し「まだ調査を受けていないが宗務庁から声をかけられれば対応したい。今、私から申し上げられることはありません」と話しています。

 

「坊主に逆らうと地獄に落ちるぞ」住職から14年にわたり…尼僧が性暴力被害訴え 天台宗が調査始める 聞き取り受け「ようやく土俵に乗れたかなと」

「坊主に逆らうと地獄に落ちる」天台宗の尼僧、住職による性暴力と大僧正の隠蔽を訴え(2024年3月4日『産経新聞』)

記者会見する叡敦さん=大津市

四国の天台宗の寺の住職から14年にわたり性暴力や恫喝(どうかつ)を受け心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、50代の尼僧が4日、大津市代理人弁護士らと記者会見し、経緯を説明した。尼僧側は天台宗の事務を担う天台宗務庁に対し、加害行為に関わったとする住職らの僧籍剝奪などの懲戒処分を求めており、同庁は同日、尼僧に聞き取り調査を行った。

会見した尼僧の叡敦(えいちょう)さん=法名=と佐藤倫子弁護士によると、親族にあたる80代の大僧正の紹介で平成21年夏、初めて住職の寺を訪問。その後、性行為を強制されるようになり、寺で暮らすようになった。住職は「坊主に逆らうと地獄に落ちる」「自分の言葉はお観音様の言葉と思え」などと脅し、性暴力を繰り返したという。

また住職を紹介した大僧正は、比叡山での千日回峰行(かいほうぎょう)を達成した「北嶺大行満大阿闍梨(ほくれいだいぎょうまんだいあじゃり)」の称号を持つ高僧。叡敦さんは大僧正に助けを求めたが、口止めされたり、住職の行為を隠蔽(いんぺい)するよう仕向けられたりしたともしている。

叡敦さんはいったんは外部団体の支援を得て寺を脱出。平成31年1月に住職を刑事告訴したが、嫌疑不十分で不起訴となった。

叡敦さんは天台宗務庁による聞き取り後に会見し「ようやく土俵に乗れた。今日は丁寧に事実確認をしていただいた。これからだと思っている」と話した。

天台宗務庁は「調査中なので今の段階ではコメントすることは特にない」とした。住職は産経新聞の取材に応じておらず、大僧正は「お答えできない」と述べた。