衆院は2日の本会議で令和6年度予算案を可決し、参院に送付した。予算案は憲法の規定により参院送付後30日で自然成立するため、5年度内の成立が確実となった。岸田文雄首相は官邸で記者団に「引き続き参院で丁寧に審議に臨み、早期の成立に向けて努力を続けたい」と述べた。
首相はこれに先立つ衆院予算委員会で、自民党派閥のパーティー収入不記載事件に関係した議員に対する党の処分について「できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」と説明した。安倍派(清和政策研究会)事務総長経験者らの処分が念頭にあるが、処分の重さや対象者の線引きには苦慮しそうだ。
首相自身や安倍派幹部が出席した衆院政治倫理審査会に関しては「弁明や質疑を通じて(事実関係が)明らかになった」と意義を語った。一方、安倍派のパーティー収入の還流を巡っては曖昧な点も残る。首相は「国民から疑惑の指摘がある以上、関係者は引き続き説明を尽くしていかなければならない」と述べた。
憲法改正については「必要性を強く感じている。国会で条文案の具体化を加速するためにも、自民党が議論をリードするため、考え方を整理して臨まなければならない」と語った。外国人技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる「育成就労」制度に関し、「形を変えた移民ではないか」と問われ、首相は「在留期限の前に厳格な審査を経て、更新を認める。無期限の在留を当然に認めるということではない。いわゆる移民政策につながるものではない」と説明した。
6年度予算案は、一般会計の歳出総額112兆5717億円で過去2番目の規模となる。