「南極にホッキョクグマはいますか?」(2024年2月26日『山形新聞』-「談話室」)

▼▽「南極にホッキョクグマはいますか?」。子どもらしい素直な疑問に、日本から約1万4千キロ離れた極地でカメラの前に立つ本紙記者の表情が緩んだ。今月4日、山形と南極を結んで行われた生配信での一こまである。

▼▽日本新聞協会の代表として南極観測隊に同行している小田信博記者が現地の様子や隊員の仕事などを紹介、小学生のさまざまな質問に答えた。冒頭の児童は野生動物に興味があるのだろう。「残念ながらいません。大きい動物はアザラシかな」との回答に何度も頷(うなず)いていた。

▼▽氷で覆われた海の上で生涯の大半を過ごすホッキョクグマは、気候変動の脅威に直面しているとされる生物だ。このまま温暖化が進めば、2100年に北極圏のほぼ全域で絶滅するという推計もある。先の生配信では、南極の氷の状況など温暖化の影響にも質問が相次いだ。

▼▽小田記者は人間の活動が極めて少ない南極で二酸化炭素濃度が上がっていることを例に、環境変化は地球規模で連動していると説いた。27日は米国・カナダに拠点を置く保護団体が定めた「国際ホッキョクグマの日」。地球の両極に表れる異変を自身の生活に重ねてみたい。