全国唯一の議員報酬日額制見直し 福島・矢祭町、改革で財政安定(2024年2月24日『毎日新聞』)

福島県矢祭町役場。町議会は議員報酬について日額制の見直しを決めた=福島県矢祭町役場で2024年2月22日、根本太一撮影拡大
福島県矢祭町役場。町議会は議員報酬について日額制の見直しを決めた=福島県矢祭町役場で2024年2月22日、根本太一撮影

 福島県矢祭町議会は、全国の町村議会で唯一採用していた議員報酬の日額制(1日当たり3万円)を廃止し、月額制に見直す方針を決めた。歳出を切り詰めるために2008年に日額制を導入したが、財政基盤が安定したと判断した。早ければ4月から施行する。

 現在の議員報酬は、本会議や委員会などへの出席で1日当たり3万円で、年収額は約100万円。見直し後は月額20万8000円とし、日額制採用前の年収額(期末手当を含めて計約300万円)の水準に引き上げる。

 矢祭町は福島県最南端に位置し、人口は約5000人。01年に「市町村合併しない矢祭町宣言」を出して注目を集めた。町議会は04年に議員定数を18から10に削減。町側も行財政改革に取り組み、町の貯金に当たる財政調整基金は00年度は4億9000万円だったが、23年度には17億5300万円にまで積み上がった。

 財政状況の改善を受け、町議会特別委員会は2月16日、議員報酬の見直し案を賛成多数で可決した。

 特別委委員長で副議長の緑川裕之氏(66)は取材に「日額制になった当時は『議員はボランティア』との意識が強かった。私たちも、同じ思いで選挙に立候補し、町のためにと働いた自負がある。今は見直してもいいのではと思っている」と町民に理解を求めている。【根本太一】