私立の女子中学校・高校を対象に実施された性的指向ジェンダーアイデンティティに関するアンケート

■2月12日 近頃は「女優」や「女医」といった言い方はあまり聞かれなくなった。「女優」は俳優、「女医」は医師。ジェンダー(性差)を強調する表現が避けられる傾向が強まり、伝統のベルリン国際映画祭でも俳優賞の男女の区別をなくした。とはいえ「往年の大女優」「清純派女優」といった言葉の持つ独特のニュアンスは捨てがたい。

教育現場もジェンダー時代。産経新聞トランスジェンダーの生徒の受験や入学をめぐり私立の女子中高にアンケートを実施した。女子生徒だけの教育環境でも「女の子らしく」「男性ならでは」といった性差を強調するような発言には十分注意するよう、教職員に指導しているという。

育ちのいい上品な生徒が通う「お嬢さま学校」の通称にはレトロで華麗な響きがあるが、保護者に向けた生徒の呼称を「お嬢さま」から「お子さま」に変更した学校もある。家族や将来設計を考える授業では「彼氏」や「彼女」といった言葉は使わず「パートナー」と表現するよう求めた学校もあるという。

難しい時代になったものだ。昨年の箱根駅伝で優勝した駒大・大八木弘明監督(当時)の選手への「男だろ!」の掛け声にも「性差別では」との批判が起きたほど。ことわざ一つとっても有名な「女心と秋の空」「女の一念岩をも通す」など、男性から見れば難しい女性の心理をわかりやすく表現していても何となく口にはしにくくなる。

アンケートでは朝礼などで「女性」という代わりに「人」を使う学校もあるとか。性の多様性尊重の趣旨はわかるにしても、そこまで自主規制するのかとも思う。あまりに気を使いすぎ、言葉の世界が狭まることが気がかりではある。(今村忠)