フジ・メディア・ホールディングス(HD)の本社=17日、東京都港区
フジテレビ社員の関与が報道された中居正広さんと女性とのトラブルに関し、同社と親会社は23日、日本弁護士連合会のガイドラインに沿った第三者委員会を設置したと発表した。週刊文春などによる報道から約1カ月。有識者は「スピード感や情報開示といった不祥事対応のすべてが失格だ」と厳しく批判した。
危機管理コンサルタントの田中正博さんは、組織に不祥事が発生した際の対応として「スピード感」「情報開示」「社会的視点からの判断」の3点が極めて重要と強調する。問題発覚後の同社による一連の対応はいずれも欠けていたといい、「事の重大性に対する認識が甘かった」と話した。
一部の記者クラブ加盟社などに出席を限定した17日の記者会見についても「閉ざされた会見は隠蔽(いんぺい)疑惑を招く。誤った企業防衛だった」と分析。誤った判断となった背景として、同社が問題を中居さんと女性の「個人的なもの」と捉えた認識の甘さを挙げた上で、「コーポレートガバナンス(企業統治)が機能不全だった。関係役員は即時辞任すべきだ」と主張した。
桜美林大の田淵俊彦教授(メディア論)は、23日にあった第三者委設置などの発表について「当たり前のことで、目新しい話は何もなかった」と指摘。フジテレビについては「番組を制作してもCMが流れなくなるなどし、現場の社員は疲弊しているのでは」と話した。