(写真提供:PhotoAC)
「誰にも分からないから、ちょっとくらい…」と、間違ったことやズルいことをしてしまった経験はありませんか。「『後ろめたさ』を伴う行動は、積み重なると自律神経バランスが大きく悪化してしまう」と指摘するのは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。そこで今回は、小林教授の著書『心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい: 人生が大きく変わる自律神経のルール』から、自律神経を整える方法を一部ご紹介します。
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◆ボランティアは、向いている人と向いていない人がいる
最近、ボランティアに積極的に参加する人が増えています。地震や洪水などの大きな災害があると、迷いなく被災地に駆けつけて炊き出しや片づけなどの奉仕活動をしている人も少なくありません。
ニュースなどでそうした人々が活動する姿を見ていると、とても立派で、自然に頭が下がる思いになります。みなさんの中にも、同じような思いで見ている人が多いのではないでしょうか。
中には、「みんな人助けをあんなにがんばっているんだ……それに引き換え自分は……。よし、私も座ってテレビなんか見ている場合じゃない……あの人たちみたいに現地に行って困っている人たちを助けなくちゃ」といった考えをふくらませている人もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、そういうふうに「私も何かの力になりたい」と思う気持ちや情熱はとても尊いものだと思います。しかし、実際にボランティアに参加する場合は、現実の情勢をよく見据えつつ、自分が果たす役割を自覚したうえで活動に加わるべきではないかと考えます。
現地の状況もよく知らないまま、知識や技術もない状態で行ってしまうと、かえって足手まといになりかねません。そのあたりをしっかり心得て、「自分が役に立つのはどんな活動か」をはっきりさせて参加するようにしたほうがよいのではないでしょうか。
◆ボランティアに向いている人
それに、そもそもボランティアには「向いている人」と「向いていない人」とがいるのです。
向いているのは、困っている人を放っておけず、気配りがきいてどんどん動ける人です。
そういう人は、小さい頃から多くの人にもまれるような環境で育ってきたケースが多いのですが、他人のために働くのがまったく苦痛ではないんですね。
もちろん、ボランティア活動をする中ではつらいことや苦しいこともたくさんあるのですが、そのつらさや苦しさよりも、困っている人たちの役に立つよろこびや気持ちよさのほうが大きく上回るタイプです。
(写真提供:PhotoAC)
◆ボランティアに向いていない人
一方、向いていないのは、誰かに何かを指示されるまでひたすら待っているような人です。
人とのコミュニケーションもあまり得意ではなく、これまであまり他人のために働くという経験をしてきていないタイプ。そういう人は、ボランティアをしてもあまり長続きしないかもしれません。
これはどちらがいいとか悪いとかと言っているわけではありません。どんな仕事や活動にも性格的な向き不向きはあるもの。
だから、もし「自分は性格的にボランティアに向いているな」と思えば積極的に参加すればいいし、もし「自分の性格はあまりボランティア向きではないな」と思えば無理に参加する必要はないという、それだけの話です。
◆自分なりに貢献をしていけばOK
そして、「自分はボランティア向きじゃないかも」という人は、無理に活動に参加しなくても何か自分にできることを見出して、自分なりに貢献していけばいいのです。
たとえば被災地の募金に応ずる、被災地の名産品を購入するといったように「自分に合った役の立ち方」を見つけていけばそれでいいのではないかと思います。
人助けというのは「体が自然に動く」のが本来あるべき姿です。ストレスを感じたり無理をしたりしながら行うものではありません。
そこの部分を押さえたうえで、「自分に向いたスタイル」で取り組んでいくようにしましょう。
※本稿は、『心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい: 人生が大きく変わる自律神経のルール』(草思社)の一部を再編集したものです。
小林弘幸