斎藤元彦・前兵庫県知事(47)の失職に伴う知事選が17日投開票され、前職の斎藤氏が前同県尼崎市長の稲村和美氏(52)ら新人6人を破り、再選を確実にした。自身のパワーハラスメント疑惑を含む文書告発問題を巡り、県議会から不信任決議を受けた斎藤氏が再び県政のかじ取りを担うことになり、議員らの対応が焦点となる。
ほかに立候補していたのは、元参院議員の清水貴之氏(50)▽医師の大沢芳清氏(61)=共産党推薦▽レコード会社経営の福本繁幸氏(58)▽政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)▽ニュース分析会社社長の木島洋嗣氏(49)。
文書告発問題を巡っては、元県西播磨県民局長の男性が3月、斎藤氏らの疑惑を記した文書を一部の報道機関や県議に匿名で配布。県は5月、公益通報の調査結果を待たずに男性を停職3カ月の懲戒処分とした。男性は7月に死亡した。県議会は百条委を設置し、疑惑について調査していたが、公益通報として扱わなかった県の対応に批判が高まり、9月に自民や維新の会派も含めて全会一致で不信任決議を可決。斎藤氏は同30日に自動失職し、出直し選となった。【栗田亨】
当選確実の斎藤氏迎え、事務所前で「斎藤コール」 兵庫知事選(2024年11月17日『毎日新聞』)
前知事の失職に伴う兵庫県知事選で、斎藤元彦前知事(47)の当選が確実になった。神戸市中央区の事務所前には大勢の人が詰めかけ、17日午後9時半過ぎに斎藤氏が姿を見せると大きな拍手と「斎藤コール」が巻き起こった。【大野航太郎】
「斎藤候補というより…何と争ったのか」 落選確実の稲村和美氏(2024年11月17日『毎日新聞』)
前知事の失職に伴う兵庫県知事選で、落選が確実になった前同県尼崎市長の稲村和美氏(52)は17日夜、神戸市内の事務所に姿を現し、「ご期待に沿えずおわび申し上げる」と語った。
斎藤元彦前知事(47)の当選確実という報道を受け、事務所で支持者らの前に立った稲村氏。「これからの兵庫県政が冷静に、できる限り正確な情報と建設的な議論に基づいて推進されることを心から願っている」と話した。
SNS(ネット交流サービス)上では、対抗陣営に対する誹謗(ひぼう)中傷や真偽不明の情報が飛び交うなど異例の選挙戦となった。
稲村氏は「候補者の何を信じるか、どのような情報に基づいて投票行動を決めるのかという点で課題が残った選挙戦だった。何が争点だったのか。斎藤候補と争ったというより何と向き合っているのか違和感があった」と振り返った。
稲村氏は政党からの公認や推薦を求めずに無所属で出馬。「県政の混乱に終止符を打つ」と訴え、知事や議員も対象としたハラスメント防止条例の制定などを掲げた。選挙戦終盤には、県内29市のうち22の市長が稲村氏への支持を表明していた。【山田麻未、洪玟香】