前知事の斎藤元彦氏が当選確実 期日前投票は過去最多、投票率50%超 不信任・失職を経て出直し選挙で再選 兵庫県知事選

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11月17日投開票の兵庫県知事選挙で、前知事の斎藤元彦さんが再選を確実にしました。
 今回の選挙は、パワハラ疑惑などを告発された斎藤前知事が、県議会で不信任決議を可決され失職したことに伴うものです。
兵庫県知事選挙には過去最多の7人が立候補していて、知事の資質や混乱した県政の立て直しについて論戦が交わされました。
兵庫県選管によりますと、期日前投票を行った人は、有権者の約21%にあたる94万4541人と過去最多となる盛り上がりでした。
また、投票率は午後7時半時点で、31.17%で、期日前投票を含むと50%を超えていて、兵庫県知事選の50%超えは2013年以来となります。
MBSの実施した出口調査と情勢取材などから、斎藤氏は、前尼崎市長の稲村和美氏や、前参議院議員清水貴之氏らを上回り、再選を確実にしました。

兵庫県知事選 パワハラ疑惑で失職の斎藤氏が再選確実 元尼崎市長ら退ける(2024年11月17日『産経新聞』)
 
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再選を確実にした斎藤元彦氏
パワハラ疑惑などを文書で告発された斎藤元彦前知事(47)の失職に伴う兵庫県知事選は17日、県内各市町で投票が行われ、前職の斎藤氏が再選を確実にした。いずれも無所属で前参院議員の清水貴之氏(50)、元同県尼崎市長の稲村和美氏(52)ら6人を退けた。知事の資質や混乱した県政の立て直しのあり方などを主な争点に、激しい選挙戦が繰り広げられた。
選挙管理委員会によると、午後7時現在の投票率は31・17%。16日までの期日前投票者数は94万4541人で、令和3年知事選(60万1439人)を35万人近くも上回り過去最多を更新した。
斎藤氏は、前回知事選で推薦を受けた自民や日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」からは組織的な支援を受けられず、後ろ盾のないまま選挙戦に臨んだ。しかし、自民の一部地方議員が斎藤氏を支持したほか、交流サイト(SNS)を巧みに活用した戦術が奏功。一部候補者が斎藤氏を応援する異例の展開もあって終盤にかけて勢いを増し、序盤先行を許した稲村氏を激しく追い上げ、競り勝った。

 

 

 

失職再選のケースも 過去の出直し選 知事に不信任の兵庫は3例目(2024年11月17日『毎日新聞』)
 
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記者会見する斎藤元彦・兵庫県知事(当時)=神戸市中央区で2024年9月26日午後4時22分、大西岳彦撮影
 文書告発問題を巡る県政の混乱を発端とした兵庫知事選で、斎藤元彦前知事は不信任決議を全会一致で可決した県議会を解散せず失職を選び、出直し選で県民に信を問う形をとった。知事に対する不信任決議が可決された例は過去に4件あり、うち2件で同様の出直し選となった。
 長野県では2002年、改築や保守に多額の費用を要することなどを理由に、コンクリートのダムを造るべきでないと「脱ダム宣言」を打ち出した田中康夫知事(当時)と議会が対立。田中氏は失職を選び、出直し選に臨んだ。
 公共事業依存から脱却できるのか――。全国的に注目を集めたものの、田中氏以外の立候補者5人の大半が脱ダムを容認したことで争点の中心から消えた。田中氏も「改革を進めるか後戻りさせるか」などと、旧態依然とする議会批判を繰り広げた。
 その結果、41年間続いた副知事出身の知事による官僚政治からの転換を望んだ無党派層などを取り込み、田中氏は再選を果たした。
 その後、田中氏はガラス張りの知事室、車座集会、30人規模学級の実施といった改革を断行。議会との亀裂はさらに深まり、06年の知事選で新人に敗れた。
 徳島県では03年、大田正知事(同)が掲げた大型公共事業の見直しなどに議会が反発。不信任を受けた大田氏は失職し、出直し選に臨んだ。
 冷え込んだ徳島県経済が選挙に影を落とし、当時の毎日新聞世論調査では、知事に期待する政策は「経済」という回答が多く、有権者は対立より安定を重視。自民、公明の強力な組織をまとめ上げた新人候補に軍配が上がった。
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兵庫県明石市長の泉房穂氏=東京都千代田区で2024年4月22日、前田梨里子撮影
「暴言辞任」の泉氏は再選
 今回の兵庫県知事選のようにトップの資質が問われた出直し選もある。
 同県明石市では19年2月、泉房穂前市長による市幹部への暴言が問題化し、任期途中で辞職。子育て政策などで全国的な知名度を得た泉氏は「市民の判断を仰ぐ」とし、翌月の出直し市長選に臨んだ。
 選挙序盤では、泉氏が街頭に立つとベビーカーを押す母親が引き返し、カップルや高校生が立ち止まる場面も。泉氏は「明石市の名を不名誉な形で広めてしまった」と涙ながらにわびる一方、実績を強調。バッシングを「擁護」から「支援」に変え、元職と新人にトリプルスコア以上の差を付け、3選を果たした。【川原聖史】