11月17日投開票の兵庫県知事選挙で、前知事の斎藤元彦さんが再選を確実にしました。
兵庫県知事選挙には過去最多の7人が立候補していて、知事の資質や混乱した県政の立て直しについて論戦が交わされました。
再選を確実にした斎藤元彦氏
パワハラ疑惑などを文書で告発された斎藤元彦前知事(47)の失職に伴う兵庫県知事選は17日、県内各市町で投票が行われ、前職の斎藤氏が再選を確実にした。いずれも無所属で前参院議員の清水貴之氏(50)、元同県尼崎市長の稲村和美氏(52)ら6人を退けた。知事の資質や混乱した県政の立て直しのあり方などを主な争点に、激しい選挙戦が繰り広げられた。
斎藤氏は、前回知事選で推薦を受けた自民や日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」からは組織的な支援を受けられず、後ろ盾のないまま選挙戦に臨んだ。しかし、自民の一部地方議員が斎藤氏を支持したほか、交流サイト(SNS)を巧みに活用した戦術が奏功。一部候補者が斎藤氏を応援する異例の展開もあって終盤にかけて勢いを増し、序盤先行を許した稲村氏を激しく追い上げ、競り勝った。
失職再選のケースも 過去の出直し選 知事に不信任の兵庫は3例目(2024年11月17日『毎日新聞』)
文書告発問題を巡る県政の混乱を発端とした兵庫知事選で、斎藤元彦前知事は不信任決議を全会一致で可決した県議会を解散せず失職を選び、出直し選で県民に信を問う形をとった。知事に対する不信任決議が可決された例は過去に4件あり、うち2件で同様の出直し選となった。
長野県では2002年、改築や保守に多額の費用を要することなどを理由に、コンクリートのダムを造るべきでないと「脱ダム宣言」を打ち出した田中康夫知事(当時)と議会が対立。田中氏は失職を選び、出直し選に臨んだ。
公共事業依存から脱却できるのか――。全国的に注目を集めたものの、田中氏以外の立候補者5人の大半が脱ダムを容認したことで争点の中心から消えた。田中氏も「改革を進めるか後戻りさせるか」などと、旧態依然とする議会批判を繰り広げた。
その結果、41年間続いた副知事出身の知事による官僚政治からの転換を望んだ無党派層などを取り込み、田中氏は再選を果たした。
その後、田中氏はガラス張りの知事室、車座集会、30人規模学級の実施といった改革を断行。議会との亀裂はさらに深まり、06年の知事選で新人に敗れた。
徳島県では03年、大田正知事(同)が掲げた大型公共事業の見直しなどに議会が反発。不信任を受けた大田氏は失職し、出直し選に臨んだ。
冷え込んだ徳島県経済が選挙に影を落とし、当時の毎日新聞の世論調査では、知事に期待する政策は「経済」という回答が多く、有権者は対立より安定を重視。自民、公明の強力な組織をまとめ上げた新人候補に軍配が上がった。
「暴言辞任」の泉氏は再選
今回の兵庫県知事選のようにトップの資質が問われた出直し選もある。