立憲民主党は13日、配偶者らの扶養から外れ、社会保険料を納める必要が生じる「130万円の壁」の対策法案を衆院に提出した。社会保険料の支払いによる減収分を給付で補う「就労支援給付制度」の創設が柱だ。年収の壁による働き控えを解消する狙いがある。
立憲民主党の野田代表
立民によると、給付対象は年収が130万~200万円の約356万人で、最大約30万円を支給することで収入が減らないようにする。必要な財源は約7800億円と見積もった。
130万円の壁は、年収130万円に達すると配偶者らの扶養を外れ、公的年金や健康保険への加入義務が生じるため、手取りが減る問題だ。
政府は現在、年収130万円を超えても扶養にとどまることで、年収減を回避する対応策をとっている。ただ、事業所全体の業務量が増えた場合など、一時的に収入が上がって130万円を超過したケースに限っているほか、連続2年までといった要件もある。
立民はこうした要件を設定せず、幅広く給付することで、働き控えを防ぎたい考えだ。
与党内からは「財源の裏付けがなく、現実的ではない」(公明幹部)との声も出ている。
「130万円の壁」等を給付で埋める「就労支援給付制度の導入に関する法律案」を再提出(2024年11月13日『立憲民主党』)
立憲民主党は11月13日、「130万円の壁」を越えないよう就労を調整している人に対して壁を感じなくなるように支援すること等を目的に、「就労支援給付制度の導入に関する法律案」を衆院に提出しました。今年2月に提出した法案が、衆院の解散に伴って廃案となったため、対象者の年収の上限を明記した上で、今回、再提出しました。
配偶者の扶養家族だった方が年収130万円を超えて働く場合、国民年金・国民健康保険の保険料負担が生じて手取り収入が急激に減ってしまう「年収の壁」に直面します。本法案には、この手取り減収分を補うため、「就労促進支援給付」として、年収が130万円を上回って200万円に達するまでの間、年収の増加に伴って、徐々に金額を減らしながら給付金を支給することを盛り込んでいます。
将来的には第3号被保険者に係る制度の見直し、厚生年金・健康保険の適用拡大、多様な就労形態に応じた処遇の改善、社会保障の充実等の抜本改革を行った上で役目を終えることとしています。
なお、本法案には、低所得にもかかわらず国民年金等の保険料を負担している年収130万円前後(上限は年収200万円未満)の方を対象に「特定就労者支援給付」を設けることも盛り込んでいます。
法案提出後の記者会見で、筆頭提出者の階猛衆議院議員は冒頭、各種の壁の中で「130万円の壁」は重大な壁であるということが私たちの認識で、それに手当てするのが本法案であると説明しました。その理由として、様々な「年収の壁」の中の社会保険料に関わる2つの壁のうち、「106万円の壁」を越えると厚生年金等の保険料負担が発生するものの、事業主負担があるため、本人の負担は相対的に低くなることに加え、年金給付等のメリットがあること、他方で「130万円の壁」を越えて支払う国民年金等の保険料は、事業主負担がないため、相対的に本人の負担が大きいことに加え、保険料を支払っても追加の年金給付等のメリットがないことを挙げました。その上で、今回提出した法案では対象者の年収の上限を明確にして、年収130万円の段階で手取りの減収分に相当する約30万円を給付し、年収の増加に応じて徐々に給付額を減らして、年収200万円の段階でゼロになるように制度設計したこと、これにより働き控えがなくなり、働けば働くほど手取りが増えるというインセンティブが生まれる効果があることを説明しました。また、 「働き控え対策という意味では、(国民民主党が対策を提案する)「103万円」をもしやるのであれば、「130万円」もセットでやらないと、「103万円」だけでは実効性がない」と強調しました。