最優先課題として首相就任後3年以内のデフレ完全脱却を掲げる一方、「金利のある世界」復活を受けて経済成長と財政健全化の両立を重視。地方再生にも重点を置く。マクロ経済運営の司令塔組織の新設も視野に入れる。
総裁選で石破氏は、デフレ克服のため賃上げと投資拡大を推進した岸田政権の政策を継承し、機動的な財政出動を行いながら「成長型経済の実現を目指す」と宣言した。生活必需品の価格上昇や住宅ローン金利上昇への対応策、賃上げ環境整備などを公約に明記しており、首相就任後、直ちに経済対策策定を指示する見通しだ。
経済財政や金融分野で官民連携を深める「危機対応組織」新設も提案した。安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」を支えた異次元金融緩和の長期化により、国家財政の借金依存が深刻化したと指摘。17年ぶりに利上げへ踏み出した日銀の政策修正を支持しつつ、政府債務の利払い費増加を懸念し、財政再建を訴えてきた。
南海トラフ地震や台湾有事などの危機に備えるためにも、財政余力の確保が急務となっている。石破氏は「法人税は引き上げる余地がある」と発言しており、岸田政権が決めた防衛増税を実行に移すかが焦点の一つだ。消費税率は当面維持するとしながらも、富裕層優遇を見直すため金融所得課税の強化にも一時言及した。