能登半島の豪雨災害の発生から4日目、孤立した地区からようやく助け出された人たちが語ったのは、水や食料が底をつき、ひたすら救助を待つ極限の厳しさでした。そして、珠洲市では新たに女性1人の死亡が確認されました。
■「食料全然ない…」孤立の現状
救助された人
「ありがとうございました。おかげさまで」
山下勝一さん(78)
「いっぺんに雨が降って、あっちもこっちも抜けて孤立した。(Q.孤立の状況は)道路が橋も3つほど落ちて(県道)38号線の橋も2つとも落ちて、完全に孤立して行くところがなくなった。(Q.電気や水道は)全然ダメ。水道も山の水道から全部元から抜けてしまった。電気が先に切れた。(Q.食料は)全然ない。(Q.荷物は何を持ってきたか)おしめと心臓の薬」
■“孤立集落”被害明らかに
石川県ではこれまで最大115の集落が孤立していましたが、24日で46カ所にまで減りました。ただ、調査中の集落もあり、少なくとも367人が孤立状態となっています。
孤立している門前町深見の住民
「うちは大丈夫なんだけど、川沿いはもうほとんど。深いところはこれぐらい(土砂が)家の中に入っている。悲惨どころじゃない。大体もう集落の中、道路がない」
住み慣れた街を離れるかどうか気持ちは揺れています。
孤立している門前町深見の住民
「地震でもってほとんど壊れている。それでも何とか直そうという人もいた。それが大雨でもう諦めたという人も結構いる」
「本当は深見から出たい。もうちょっと頑張れば住めるようになるかと思っていたら、水が来てめちゃくちゃ。仏壇も何もかも。だから全部ない。ひどいよ」
■家に帰れず…妻と離れ離れに
孤立地域の住民 東栄一さん
「妻からSOSが入りまして『大緊急で戻って。家じゅう雨漏りだ』と。叫びのような声を聴いて、30分だけ待ってすぐ戻るからと」
そのまま妻と離れ離れになりました。
孤立地域の住民 東栄一さん
「(妻は)東京生まれ東京育ちの人で。普段ないような経験をね。僕と一緒になったために地震もこの雨も経験したわけでしょ?めったにないことが1年に2度も来て」
地区の公民館で通信が復旧したため、どうにか連絡が取れるようになりました。
妻 東由紀恵さん(70)
「1回味わっているので『またか』と。何より1人で電気も水もない真っ暗なところに長くいるほうがつらい。気持ちが本当に暗くなってしまうので」
■2度目の被災“今後の生活”は…
茶平政昭さん(67)
「できるだけ俺はここにいたい」
茶平峰子さん(69)
「私は2次避難した方が体にもいいと思う。まあいいや、ごめん。(Q.話を聞いて複雑な思いがあるか)一回、2次避難しているから生活状況はいい。部屋があって食事を出してくれて風呂もちゃんと入れるし」
茶平政昭さん
「平行線かね」
茶平峰子さん
「私一人で行ってきます」
■新たに1人死亡確認
今も一部が孤立している珠洲市の大谷地区では、山肌が丸見えになるほどの土砂崩れ。捜索を続けていたところ、24日夜に女性1人の死亡が確認されました。この集落では、貞廣一枝さん(79)の安否が分かっておらず、警察が身元の確認を急いでいます。