兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題で、県議会の各会派などが提出した知事の不信任決議案は全会一致で可決されました。
決議案の可決によって、斎藤知事は辞職するか、県議会を解散するか判断を迫られることになります。
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斎藤知事「重い状況が示された。しっかりと考える」
兵庫県の斎藤知事は不信任決議案が可決されたあと記者団の取材に応じ、今後の対応について「しっかり考えていきたい」と述べ、明言しませんでした。
この中で、斎藤知事は、「改めて県民やすべての皆様にこういった状況になっていることについて心配や不信を抱かせてしまい心から申し訳ない」と述べました。
その上で可決を受けた対応について、「大変重い議会側の選択で、私にとってもやはり重い。自分自身の心の中を問いながら考えていきたい。タイミングと日時については、あらかじめお伝えしたい。覚悟と判断が必要なのでしっかり考えていきたい」と述べ、明言しませんでした。
一方、一連の問題については「不信任決議案が全会一致で可決されたという結果をもって、私に責任がある。結果責任は重いと考えている」と述べました。
採決を前に 続投への意欲を強調
これを前に本会議で、斎藤知事は「県政を刷新し、新しい時代を見据えた道を切り開いていくことが県民から負託を受けた私の責務だ。県民や職員などに理解と協力をもらえるよう信頼回復に向けて最大限の努力を重ねていく」と述べ、続投への意欲を強調しました。
本会議で各会派の議員は
解説 Q&A
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想定される今後の流れ
Q.
不信任決議案が可決された。斎藤知事は今後、どうする。
A.
選択肢は2つあります。
先ほど決議案が可決されたため、知事は
▽10日以内に議会を解散するか
▽失職するか、
どちらかを選ぶことになります。
ただ、斎藤知事がどう判断するかは、まだわかりません。
斎藤知事は、19日も本会議で「県政を刷新し、新しい時代を見据えた道を切り開いていくことが私の責務だ」などと述べ、続投に意欲を示しました。
また、斎藤知事は決議案が可決された場合の対応について「法律の規定にそってさまざまな選択肢を考えていく」などとして、議会の解散も排除しない考えを示していました。
Q.
今後、想定されるスケジュールは?
A.
知事が失職となった場合は、50日以内に知事選挙が行われます。
一方、斎藤知事が県議会を解散した場合は、40日以内に県議会議員選挙が行われます。
過去の4例は
ほかの2件は、可決から10日が経過して失職したケースで、
▽2002年にはダム計画の中止などで県議会と対立した長野県の田中知事が、
▽2003年には選挙公約で掲げた大型公共事業の見直しなどをめぐって批判を受けた徳島県の大田知事が失職し、出直し選挙に立候補しました。
田中氏は再選し、大田氏は落選しました。
以上4つの例があるんですが、知事が県議会の解散を選んだケースは1つもありません。
今回の不信任決議案の可決を受けて、斎藤知事が議会を解散すれば、初めてのケースになります。
今後の斎藤知事の判断が最大の焦点となります。
文書問題の経緯
Q.
これまでの問題の経緯は。
A.
きっかけは、ことし3月、当時の県の西播磨県民局長が作成した告発文書が報道機関などに送られたことでした。
しかし、元局長は7月に亡くなっているのが見つかり、自殺の可能性があるとみられています。
先月から今月にかけては、県議会の百条委員会で証人尋問が行われていて、告発文書を作成した元幹部を懲戒処分にしたことをめぐって、専門家からは
批判も出されました。
一方で斎藤知事は、「手続きに瑕疵はない」として、県の対応は問題ないという認識を重ねて示していました。
県議会は、証人尋問での知事の発言なども踏まえて、県政への信頼が大きく損なわれているなどとして86人すべての議員が知事の辞職を求め、不信任決議案の提出となりました。
<反応>
専門家「かなり異例の不信任決議」
斎藤知事に対する全会一致での不信任決議案可決について、地方政治に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授は、「これまで不信任決議案が通った例は4例しかなく、全会一致というのはまれなかたちで、かなり異例の不信任決議だ。本来であれば対立する案件を抱える議会のすべての会派が、総意として、全会一致で不信任を突きつけてくるというのは、重く受け止める必要がある」と話しています。
決議案が可決されたことで、斎藤知事は10日以内の議会の解散か失職かを選択することになりますが、これまでに不信任決議案の可決を受けて知事が議会を解散した例はありません。
今回、仮に斎藤知事が県議会の解散を選んだ場合について、白鳥教授は「問題になっているのは知事の資質であるにもかかわらず、議会を選んだ県民の民意を踏みにじっていることが大きな問題になっていく。議会の解散に伴う選挙に16億円ほどかかるといわれているが、これほど巨額の費用が必要になってしまう」と指摘しました。
その上で、「知事がどのような行動をとるかは、知事の考え1つということになってくるが、果たして知事の判断が本当に県民のためになるのかどうかをこれからしっかりと見ていく必要がある」と話しています。
自民党県議団 北野幹事長「議会解散 大義がなく、あり得ない」
兵庫県議会 浜田議長「ベストな選択をしてほしい」
兵庫県議会の浜田知昭議長は、記者団に対し「議会として重い決断をした。知事は結果を受け止め、県民の立場に立って考えてベストな選択をしてほしい。知事の選択を議会として受け止めたい」と述べました。
維新 藤田幹事長「辞職することが適切」
維新の会兵庫県議団 岸口団長「可決されてほっとした気持ち」
傍聴希望者が次々に
可決後 傍聴していた人たちは
知事の不信任決議案が全会一致で可決されたことを受けて、本会議を傍聴していた人からはさまざまな声が聞かれました。
神戸市北区に住む84歳の男性は、「知事は不信任決議案が可決された際、表情を全く変えませんでしたが、きょうの結果を受けて、今後、どう判断するのか注目したいです。これまでに知事が実現した政策も多くあると思うので、今回の問題への評価も含めて、もう一度、県民に信を問うというのもひとつの選択肢だと思います。混乱が続いていますが県政がまた正常に戻ることを期待したいです」と話していました。
神戸市垂水区に住む50代の自営業の男性は「きょうの議会の意思を知事がどう受け止めたのか気になります。今後、県議会を解散するのか、辞職するのかは全く見通しがつきませんが、県政運営が滞っている印象なので、早く選挙を行って、新たに選ばれた知事のもとで兵庫県政を前に進めてほしいです」と話していました。