福島第1原発、デブリ回収作業中断 機器のカメラに異常(2024年9月17日『日本経済新聞』)

 
10日、釣りざお式装置が原子炉格納容器に向かって進む様子(東京電力ホールディングス提供)
東京電力ホールディングス(HD)は17日、福島第1原子力発電所で溶融燃料(デブリ)の試験的取り出しに使う装置のカメラが映らなくなるトラブルがあったと発表した。同日午前6時ごろ、2号機で作業を始めたが、装置の先端部分に取り付けた2つのカメラの映像が遠隔操作室のモニターに反映されなかった。

東電は同日、ケーブルの再接続などを実施したが復旧しなかった。作業を中断し、原因の究明や復旧作業を急ぐ。修理方法は固まっていない。準備が整い次第取り出し作業を再び始める方針だが、現時点で再開の見通しは立っていない。

デブリの取り出しに使う釣りざお式の装置にはカメラが4カ所ついている。今回映らなくなったカメラは爪状の器具がデブリをつかんだかどうかを確認するもので、復旧しなければ取り出し作業に進めない。

試験的取り出しを巡っては、作業初日の8月22日にパイプの接続順序のミスが発覚し、作業を中断した。東電はミスの原因究明や確認項目を増やすなどの対策を講じたうえで10日に作業を再開した。

14日には原子炉底部にケーブルを垂らし、先端器具がデブリに触れたことを確認した。視界などの条件が整えば、今週前半にもデブリをつかみ取る作業に入る予定だった。15日にはカメラが正常に映っていた。カメラは放射線への耐性が十分にあるという。