◆最大で直径30㎝、長さ5mの枝が落下
警視庁日野署によると、高さ10メートル超のイチョウの枝が上部で折れ、下方の枝を巻き込みながら落ち、少なくとも6本が落下した。最大で直径約30センチ、長さは約5メートルだった。現場はJR豊田駅の北700メートルで、市立中学校と団地の間にある市が管理する緑地。イチョウ並木の遊歩道で人が自由に出入りでき、男性は偶然通りかかったとみられる。署は枝が落ちた原因を調べている。
隣接する団地に住む女性(83)によると、発生直後に多くの救急隊員や警察官が駆け付けたが、枝を取り除く作業が難航し、ノコギリを求める大声が飛び交っていた。「落下する1時間ほど前に、買い物帰りに現場を通ったばかりだった。団地の住人だけでなく、中学生も近所の人も通るので怖い」と話した。
事故を受けて市は13日、管理する公園や緑地の樹木の一斉点検を開始。大坪冬彦市長は「本人と家族に深くおわびする。再発防止に全力で取り組む」とのコメントを発表した。
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◆「枯れていたとは考えられない」
13日に現場を確認した日本樹木医会の小林明理事は「落下した枝には実が多くついており、全体で数十キロの重量になっていた可能性がある。上の方にあった枝が重さに耐えられなくなって折れ、下の枝を次々に巻き込んでいったのではないか」と話した。
木の状態については「折れた部分の色を見る限りは健康で、枯れていたとは考えられない。実の重さに加え、9月上旬の大雨で水分が加わってさらに重くなり、限界を超えたのだろう」と推測した。
倒木などでの死亡事故は、全国でこれまでにも起きている。2022年8月には鹿児島県の小学校で、樹齢160年を超えるイチョウの枝が折れ、下敷きとなった校長が死亡。昨年4月には相模原市のキャンプ場で、テントで就寝中だった女性が倒木の下敷きになり死亡した。
小林理事は「頻繁に起きるわけではないが、イチョウなど実をつける木では今回のように、枯れていなくても枝が折れて落ちることがある。公園や緑地など倒木のリスクが高い場所では、早めに枝を剪定するなど、対応を考える必要がある」としている。