自民総裁選【9月9日の動き】高市氏が立候補表明(2024年9月9日『NHKニュース』)

 


告示を3日後に控えた自民党総裁選挙。9日は高市経済安全保障担当大臣が記者会見し、立候補を表明しました。

ほかの立候補予定の議員も、記者会見やあいさつ回りを行うなど、支持拡大に向けた取り組みを続けています。

9日の動きを随時更新でお伝えします。

高市氏「日本をもう一度世界のてっぺんに」 

高市経済安全保障担当大臣は午後に記者会見し、総裁選挙に立候補することを表明しました。総裁選挙には2回目の挑戦となります。

冒頭、高市氏は「総裁選挙に立候補する。国の究極の使命は、国民の生命と財産、領土・領海・領空・資源、そして国家の主権と名誉を守り抜くことだ」と述べました。

その上で「『総合的な国力の強化』が必要だ。それは外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力であり、すべてに共通する人材力だ。何よりも経済成長が必要だ。経済成長をどこまでも追い求め、日本をもう一度世界のてっぺんに押し上げたい」と強調しました。

加藤氏「思いを率直に伝えたい」 

加藤元官房長官は午後、都内で記者団に対し、総裁選挙への決意や公約を10日記者会見して説明することについて「党員に直接訴えかける最初の機会なので、私の思いを率直にしっかりと伝えたい」と述べました。

これに先立って加藤氏は、国会近くの貸しオフィスに選挙対策本部の事務所を立ち上げ、みずからを支援する議員らと公約について詰めの検討を行ったほか、支持の拡大に向けて今後の活動方針を協議しました。

小林氏「若い人の農業参入を応援したい」 

小林鷹之氏は群馬県高崎市で、耕作放棄地を活用した大規模なキウイ農園を視察しました。

この農園は、農産物の輸出を行うスタートアップ企業と市が協定を結んで運営をしているということで、小林氏は農園で働く30代の男性らと意見を交わしました。

このあと小林氏は記者団に対し「日本の農産物は世界に冠たるクオリティーを持っていると感じた。国内の食料自給率を高めることに加えて、世界に打って出て稼げる農業をやっていく必要があり、若い人がどんどん農業に新規参入する動きを応援したい」と述べました。

茂木氏「防衛力を高めていく方針貫く」 

自民党の茂木幹事長は、台湾に最も近い日本最西端の沖縄県与那国島を訪れ、与那国町の糸数健一町長と離島防衛などについて意見交換しました。

そして与那国空港の機能強化などを要望され、「できる限りの支援を行いたい」と応じました。

このあと茂木氏は記者団に対し「与那国島は台湾から111キロの場所にある防衛の最前線だ。いわゆる台湾有事は日本の有事にも発展する可能性が極めて高く、日本の安全が確実に守られ、台湾海峡の平和と安全が確保される措置をとっていきたい。総裁選挙の議論では防衛力を高めていく方針を貫きたい」と述べました。

一方、河野デジタル大臣が日本も原子力潜水艦の配備を議論すべきだという考えを示したことについて、「防衛装備の検討は必要だが、原子力潜水艦はそこまで優先順位が高いとは考えていない」と述べました。

河野氏 “自動運転の実用化を” 

河野デジタル大臣は午前、茨城県常総市を訪れ、自動運転の実証実験を行っている施設を視察しました。

そして、実際に車に乗り込んで音声で行き先を指示し目的地まで移動する自動運転を体験しました。

このあと河野氏は記者団に対し、「日本のメーカーがせっかく技術を持っているのに規制で止まってしまっている。『デジタル行財政改革』で自動運転の議論もやってきた。実用化されるための環境を、一日も早く作っていかなければならない」と述べました。

小泉氏 議員事務所にあいさつ回り 

小泉進次郎氏は午前、党所属の衆議院議員の事務所にあいさつ回りを行いました。

このうち加藤こども政策担当大臣の事務所では、加藤大臣が「子どもたちの未来のために『こどもまんなか社会』をぜひ進めてほしい」と求めたのに対し、小泉氏は「子ども・子育て政策をしっかりと進めていきたい」と応じていました。

また、加藤大臣の地元・山形県のポスターを見て「山形は食の魅力いっぱいありますね。地方創生も大事です」と話していました。

小泉氏は同じ午前に経団連の十倉会長と面会し、総裁選挙に立候補を表明したことを伝えた上で、経済政策や「選択的夫婦別姓」の導入をめぐって意見交換しました。

経団連は、先に「選択的夫婦別姓」の導入に必要な法律の改正を早期に行うよう求める提言をとりまとめていて、面会のあと小泉氏は記者団に対し「この問題に賛成の立場で政治活動をしている。家族の中で名字が違うことが家族の絆の崩壊につながるというのは違う。同姓を選びたい人、別姓を選択したい人双方にとって希望がかなえられる社会につながる」と述べました。

林氏 英語で会見「良い流れを継続する」 

官房長官は午前、日本外国特派員協会で記者会見しました。

記者会見は英語で行われ、林氏は経済情勢について「デフレ経済の終わりが見え、実質賃金もプラスになった。この良い流れを継続しなければならない」と述べました。

総裁選挙については「多くの議員が立候補を表明しているが、私が強調したいのは、総理大臣は初日から、危機管理や外交のマネージメントが仕事になる。私は日々、官房長官として総理大臣官邸で調整にあたっている」と述べ、総理大臣には一定の政治経験が必要だとして、自身の実績をアピールしました。

一方、林官房長官は午前の総理大臣官邸での記者会見で、マイナンバーカードと一体化した保険証=「マイナ保険証」の導入と健康保険証の廃止に関する政府の方針を問われ、「現行の健康保険証の新規発行をことし12月2日に廃止し、『マイナ保険証』を基本とする仕組みへ移行することとしており、円滑な移行に向けた取り組みを進めているところだ」と述べました。

また、7日、みずからが健康保険証の廃止時期の見直しも含めて検討する考えを示したことについては「この記者会見は、政府のスポークスマンとしての立場で臨んでいる。私の発言は『総理・総裁になった暁には見直しを含めて検討したい』という考えを述べたものであり、この場でこれ以上答えるのは差し控える」と述べるにとどめました。

上川氏「立候補に向けて最後の段階」 

推薦人の確保を目指す上川外務大臣は、9日も党の所属議員と個別に面会するなどして支持を求めました。

夕方には議員会館で、盛山文部科学大臣や小泉法務大臣など、上川氏を支持する議員らによる会合が開かれ、10人あまりが出席しました。

この中で、上川氏は「立候補に向けて最後の最後の段階を迎えることができ、あと一歩だ。告示日の12日には必ず立候補する覚悟で臨みたい。スタートラインに立てるよう最後までお願いします」と協力を呼びかけました。

齋藤氏「精鋭たちと頑張っている」 

齋藤経済産業大臣は午後、都内で講演し「自民党は変わらなくてはならず、私のような無派閥の人間もしっかりと旗を立てることには、大きな意味があるのではないか」と述べました。

一方、推薦人の確保状況について問われたのに対し「答えないことにしているが、最有力候補でもない私を体を張って応援してくれている人たちがいる。精鋭たちと『行くところまで行こう』と頑張っている。怖いものもなければ、失うものもない」と述べました。

経団連会長「関心高いのはエネルギー問題」 

自民党総裁選挙に向けて各候補者が経済政策を示すなか、経団連の十倉会長は9日の会見で「多くの人が立候補するので、中長期的な視点や内政だけでなく、外政も含めて広範な議論を展開してほしい。野党の立憲民主党の代表選挙も始まるので、日本の将来をどうするのか、国民の中で議論が起こることを期待したい」と述べました。

そのうえで、立候補を表明している石破茂氏や小泉進次郎氏と午前に面会したと明らかにしたうえで「経団連として今一番、関心が高いのはエネルギー問題と申し上げた。資源を持たない島国なので、再生可能エネルギー原子力発電所の活用が非常に大事だと伝えた」と述べました。

一方、立候補を表明した議員の中から、解雇規制の見直しを求める意見が出ていることについて「労働の流動化が進む中、人々が主体性を持って自由に職業を選べる改革をやるなかで議論されるべき問題で、解雇規制が一人歩きするのは好ましくない。労働者にとって重要なルールで、キャリア形成や能力開発、それにリスキリングや雇用マッチングなどすべてを総動員して労働市場改革を進める中で、議論されるべきだ」と指摘しました。

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