大きな関心を寄せる首相
岸田首相
9月の自民党総裁選に岸田文雄首相(総裁)が不出馬を表明し、10人を超える候補が名乗りをあげている。岸田派(解散発表済み)からは林芳正官房長官と上川陽子外相が出馬の意向を表明しているが、それ以外にも意中の候補がいるのだろうか。
「岸田首相は総裁選への不出馬表明の直前まで出馬の可能性を模索していました。低迷が続く内閣支持率を受けて党内での評価も回復は見込めず、首相経験者としての影響力を残したいなら一旦退いた方がよいとの判断で不出馬を選択したとみられます」
と、政治部デスク。
その後、雨後のたけのこのように候補者が手をあげ始める状況になっているわけだが、岸田首相自身はどのように総裁選を見つめているのだろうか。
「静観をしているように見えますが、実際はその逆で現状に関する報告を受け続けているようです。相当な関心をもって見守っている様子がうかがえますね」(同)
キングメーカーとして振る舞いたい
実際、森喜朗首相ら、キーマンとされる人物との会食を繰り返していることが報じられている。
岸田首相には後継者として、秘書官を務めた翔太郎氏(33)がいるが、すぐにバトンを渡すという考えもないようだ。
「麻生、安倍、菅の各氏同様、キングメーカーとして振る舞いたいとの思いがあるとみられても仕方ないでしょうね。なれるか否かはともかくとして。岸田派は解散を発表していますが、ひとつの塊としてはもちろん残っており、メンバーらは今回の総裁選でも歩調を合わせて行動するようです。首相が総裁選を注視しているのは、そこから距離を置いてしまうとナンバー2の林氏に組織を乗っ取られる懸念があるからです。にらみをきかせ、牽制し続けるというスタンスなのでしょう」(同)
岸田派は派閥を解消したとはいえ、岸田首相が総裁選に出馬するとなれば一致結束して支援するとみられていた。
「不出馬表明を受け、林氏と上川氏が手をあげています。林氏は出馬の意向が固まっていますが、上川氏はまだ確定的ではないとのことです」(同)
総裁選にフルコミット
上川氏は推薦人確保について問われた際の、「20人をはるかに超える支持をいただいている」と答えた。
「選挙につきもののいわゆる“あるある”話なのですが、楽勝だとか優勢だという話が流れると、陣営の空気が緩む傾向があります。上川氏の場合、20人をはるかに超えるのであれば他に行くよなどと言った議員がそれなりにいたとか。実際はそんな余裕がある状況ではないのに、上川氏は自らを大きくみせようとしたということでしょう。推薦人集めに奔走する議員が嘆息していたと聞きました」(同)
岸田首相は林氏、上川氏のどちらを支援するのか、あるいは別の意中の候補がいるのか明らかにしていないとされる。
「人気のない総裁が支援しているというのは相手の評価を下げる可能性があるので、最後まで具体名を明かさない可能性もあるでしょう。ただ、総裁選にフルコミットしていることは間違いありません」(同)
支援される側に岸田首相の意思はもちろん伝わっているのだろうが、それをオープンにするのがプラスに働くかといえば難しい。現職の首相が疫病神みたいな扱いというのも気の毒な話だが、決選投票後まで判明しない可能性もあるようだ。
デイリー新潮編集部