台風10号 27日(火)以降 西~東日本に接近へ 暴風など厳重警戒(2024年8月25日『NHKニュース』)

強い台風10号は、27日・火曜日以降、西日本から東日本に接近する見込みです。台風の接近に伴い西日本では猛烈な風が吹くおそれがあるほか、西日本と東日本の太平洋側を中心に大雨となる見込みで、気象庁は、暴風や土砂災害などに厳重に警戒するよう呼びかけています。

気象庁の観測によりますと、強い台風10号は25日午後6時には日本の南の海上を1時間に30キロの速さで北西へ進んでいます。

中心気圧は980ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートル、最大瞬間風速は50メートルで中心から半径55キロ以内は風速25メートル以上の暴風となっています。

台風は今後も発達しながら北上し、27日・火曜日に非常に強い勢力になったあとあまり勢力を弱めないまま西日本から東日本に接近する見込みです。

台風の接近に伴い西日本を中心にしだいに風が強まり、27日の最大風速は九州南部で35メートルと走行中のトラックが横転するおそれもある猛烈な風が吹くおそれがあるほか、四国で25メートル、鹿児島県の奄美地方で23メートル、近畿で20メートル、最大瞬間風速は九州南部で50メートル、四国と奄美地方で35メートル、近畿で30メートルと予想されています。

その後も西日本では猛烈な風が吹くおそれがあります。

また、西日本と東日本の太平洋側を中心に27日から翌28日にかけて大雨となる見込みで、27日夕方までの24時間に降る雨の量はいずれも多いところで、東海と四国で200ミリ、近畿と九州南部で150ミリ、28日・水曜日の夕方までの24時間には、東海で400ミリ、近畿と四国、九州南部で300ミリ、九州北部で200ミリ、中国地方で150ミリと予想されています。

海上は西日本を中心に、27日、うねりを伴って大しけとなり、その後猛烈なしけとなるおそれがあります。

気象庁は、暴風や土砂災害、低い土地の浸水、川の増水、氾濫、高波に厳重に警戒するよう呼びかけています。

台風の進路予想には幅があり情報が更新されるたびに変化しています。

今後の情報に注意し、早めの備えを進めるようにしてください。

【専門家に聞く】今後の進路や強さを左右するものは?

勢力を強めながら西日本から東日本に接近すると見込まれている台風10号

今後の進路や強さを左右するものは?

台風のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所・横浜国立大学伊藤耕介准教授に聞きました。

Q.台風の予想進路に幅があり、東日本を直撃するかと思ったら日が変わると、西日本を直撃するのではという予報円も。何が影響しているのでしょうか?

A.台風の進路は、周辺の風の流れによって決まります。地上付近の季節風や東側の太平洋高気圧の張り出しによってこれまでは北上を続けてきました。この先の予報を難しくさせているのは、上空の風の状況が複雑だからだと考えられます。上空10キロ付近の風の状況を見ると、台風の西側に渦が見えますがこれは寒気を伴った風の循環「寒冷渦」と呼ばれます。

この「寒冷渦」は、2日前まではそれほど強くならないと予想されていましたが、最新の予報で風が強まる見通しとなりました。この渦を取り巻く風に台風が取り込まれ、西寄りに進むと予想されているのだと考えられます。

Q.西日本や東日本に近づく段階は?

A.予想を難しくさせている2つめのポイントは台風が東日本や西日本に近づく段階です。通常は、本州の北にある気圧の谷の影響を受け、北東寄りに進む傾向があります。しかし今回、気圧の谷があまり南に張り出しておらず、台風が影響を受けにくい状況になっているため、西寄りに進む期間が長くなり、進路が西日本よりになると予報されているとみています。

Q.今回かなり勢力が強まると予想されていますが、どの程度警戒が必要でしょうか?

A.日本に接近するにつれて台風が発達してくるということを念頭に置いて、備えを進めていくことが重要です。台風は、26日にかなり発達すると予想されていますが背景にあるのが「海水の温度」です。これから台風が進むと予想されている進路上は、海面水温が平年に比べて高い状態になっています。

さらに、注目しているのは水深50メートル付近の水温です。台風は深いところの海水をかき混ぜ、水温が下がると勢力を弱めます。一般に本州や四国付近では海面水温や水深50メートル前後の水温は低くなるのですが、ことしは四国の沖でも高い状態が続いています。つまり、日本に接近するにつれて台風が発達してくるということを念頭に置いて、備えを進めていくことが重要です。

Q.台風に備える上でどのような点に警戒すればよいでしょうか?

A.今回、重要なのは、上空の風の状況が複雑で台風の進路がなかなか定まらないことから広い範囲で備えておく必要があるということです。

具体的には、まず、強い勢力で接近することを考えると、海岸線や風が強まる場所では暴風の被害に警戒が必要です。高知県に接近した台風で中心気圧が960ヘクトパスカルより低い台風=勢力が強かった台風を調べると1951年以降では10例前後しかありません。数年に1回レベルの強い台風が接近するという危機感を持つことが大事です。

また、風が強まるということは、高波や高潮についても各地で備えが重要になります。さらに、この土日で雨が降った上、今回、比較的ゆっくりとした速度で進む特徴があることから、長期間、大雨を降らせる可能性があります。最近では2018年の台風21号に進路や勢力が似ていると思います。このときは、関西空港などで高潮の大きな被害も出ました。

現状での予報は当時より少し弱くなっていますが同じ程度の被害が出てもおかしくない状況です。台風が日本に近づくまでに備えを進めて欲しいと思います。

気象予報士解説 台風の今後の進路と注意点

台風の今後の進路と注意点について、片山美紀 気象予報士の解説です。

※25日午前11時54分の気象情報で放送
※動画は2分45秒、データ放送ではご覧になれません

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