大谷翔平 サヨナラ満塁弾「40-40」達成 史上6人目【一問一答】(2024年8月24日『NHKニュース』)

大リーグ、ドジャース大谷翔平選手が、23日のレイズ戦で盗塁1つを決めたあと、9回にサヨナラ満塁ホームランを打ち、今シーズンホームラン40本、40盗塁に到達しました。大リーグの1シーズンでホームラン40本、40盗塁を達成したのは史上6人目の快挙です。

ドジャースは23日、本拠地ロサンゼルスでレイズと対戦し、大谷選手は1番・指名打者で先発出場しました。

1回の第1打席はファーストライナーに倒れ、3点を追う4回は先頭バッターで第2打席に立ち、インコース低めのボールに詰まりながらもショートへの内野安打で出塁しました。

このあと、1アウト一塁となってから二塁へ3試合連続となる盗塁を成功させて、大リーグ7年目で自身初となるシーズン40盗塁に到達しました。

ドジャースは5回に3対3の同点に追いつき、その直後にまわった第3打席はショートゴロで、7回の第4打席は2アウト一塁の場面でセカンドゴロに倒れました。

同点のまま迎えた9回、2アウト満塁のチャンスで大谷選手に第5打席がまわってきました。

大谷選手は相手の左ピッチャーの初球のスライダーを振り抜くと、センター後方のスタンドまで運ぶ40号サヨナラ満塁ホームランで、史上6人目となるホームラン40本、40盗塁に史上最速の出場126試合目で到達しました。

大谷選手の大リーグでのサヨナラホームランは初めてで、ドジャースは7対3で勝って5連勝としました。

大谷選手はこの試合5打数2安打4打点で打率が2割9分2厘に上がり、今シーズンの通算打点もリーグトップに「2」打点差に迫る「92」に伸ばしました。

大谷翔平 過去の40号到達は 

大谷選手がシーズン40号に到達したのは2年連続3回目で、去年まで所属していたエンジェルスはアメリカンリーグだったため、ナショナルリーグでは初めてです。

過去2回、シーズン40号に到達した試合は、いずれも投打の二刀流での出場でした。

大谷選手はエンジェルス時代の2021年8月18日のタイガース戦に1番・ピッチャーで出場し、初めてシーズン40号に到達しました。この時点ではホームラン王争いで両リーグトップに立っていましたが、シーズン終盤に逆転され、リーグ3位の46本を打ちました。

2回目のシーズン40号は去年8月3日のマリナーズ戦で、この試合は先発ピッチャー兼2番・指名打者で出場しました。この試合、大谷選手は右手中指のけいれんのため4回無失点のままマウンドを降り、バッターとして出場を続けた8回に40号ソロホームランを打ちました。

ホームラン数はシーズン終了までに44本に伸ばし、自身初のホームラン王を獲得しました。

大谷「ドジャースに来ていちばんの思い出」 

大谷選手は試合後にグラウンドで中継のインタビューに応じ、チームメートのヘルナンデス選手から水をかけられてびしょぬれになりながらも笑顔を見せました。

大谷選手はホームラン40本、40盗塁を達成したことについて聞かれると「もちろんそれもうれしいし、何より最後に打てた、勝てたことがドジャースに来て今のところいちばんの思い出になっています。打席では何も考えずに1本打ちたいなという気持ちで、ホームに帰ってきて気がつきました」と興奮した様子で話しました。

そのうえで「記録自体が目的になるというよりは、勝つための手段として、そういう記録を作れたのは大きなことだと思う。ポストシーズンに進出してワールドシリーズに勝つことがいちばんの目標なので、自分の数字はあとからついてくればいい。こういう場面でたくさんのファンの前で打ちたいなと思っていたので、本当にいい思い出になった」と話し、声援に手を上げて応えていました。

「50-50」大台に乗るペース 

大谷選手はチームの129試合目で「40-40」を達成しましたが、この勢いがシーズン終了まで続けば、ホームラン、盗塁ともに50の大台に乗るペースとなっています。

シーズンでのホームラン50本、50盗塁を達成すれば大リーグ史上初めてで、これまでホームラン45本、45盗塁を達成した選手もいません。

過去に「40-40」を達成した5人 

バリー・ボンズさん 1996年

ホームラン40本、40盗塁の「40-40」は、大リーグでこれまでに5人の選手が達成しています。

初めて達成したのは1988年にアスレティックスでプレーしていたホセ・カンセコさんで、出場151試合目での達成でした。

「史上初の40-40を狙う」と宣言したシーズンで、ホームラン42本、40盗塁をマークし、ホームラン王とMVPを獲得し、チームをリーグ優勝に導きました。

その後、2005年にはみずからの禁止薬物の使用を告白し「大リーグ選手の85%が禁止薬物を使用している」と述べ、大きな波紋が広がりました。

2人目は1996年に当時、ジャイアンツでプレーしていたバリー・ボンズさんです。出場158試合目での達成で、このシーズンはホームラン42本、40盗塁を記録しました。

ボンズさんは2007年に引退するまで22年間で大リーグ歴代最多の通算762本のホームランを打ち、史上唯一の通算ホームラン500本、500盗塁を達成しています。

3人目は「A-ROD」の愛称で知られるアレックス・ロドリゲスさんで、1998年のマリナーズ時代に出場153試合目で達成しました。このシーズンはホームラン42本、46盗塁をマークしました。

ロドリゲスさんはマリナーズから移籍後もレンジャーズとヤンキースで活躍し、5回のホームラン王を獲得し、通算で歴代5位となる696本のホームランを打ちました。

4人目は2006年、当時、ナショナルズでプレーしていたアルフォンソ・ソリアーノさんです。出場147試合目での達成で、このシーズンはホームラン46本41盗塁を記録しました。

1997年にプロ野球の広島でプロデビューを果たしたソリアーノさんは、1999年の大リーグデビューから2014年に引退するまで俊足と強打を持ち味に活躍しました。

そして、5人目は昨シーズン達成した、ブレーブスの26歳、ロナルド・アクーニャJr.選手です。出場152試合目での達成で、ホームラン41本に加えて驚異の73盗塁をマークしました。

昨シーズンのナショナルリーグのMVPを満票で受賞しましたが、今シーズンは5月に左ひざの前十字じん帯を断裂する大けがをしてシーズン中の復帰は難しいとされています。

大谷 最速記録の快挙 要因は 

大リーグ史上6人目となる「40-40」を達成した大谷翔平選手。

これまでに達成5人のうちの最速記録を21試合更新し、自身初のサヨナラ満塁ホームランで決めるという劇的な展開でした。

二刀流から、けがのため5年ぶりに打者1本に絞った今シーズンで、どのようにして快挙は生まれたのか、振り返ります。

今シーズンの大谷選手は、開幕前のキャンプの段階で、走塁練習に多くの時間を割いて取り組み、スプリント力の向上を目指してきました。

大リーグでは、よりダイナミックなプレーを増やそうと、昨シーズンからベースが大きくなり、ピッチャーのけん制の回数が制限されるなどのルール改正が行われました。その結果、昨シーズンの盗塁数は3503個と、前の年の2486個からおよそ1.4倍に増えました。

ブレーブスのアクーニャJr. 選手が、昨シーズン史上初のホームラン40本・70盗塁をマークしたように、足の速い選手にとっては、より盗塁を狙いやすい環境が整っていたのです。

もともと足の速い大谷選手ですが、昨シーズンはおもに中5日でピッチャーとして先発登板をしながら、指名打者では毎日出場を続けるという投打の二刀流でプレーしていました。

このため体力の消耗が激しく、シーズン全体で盗塁を試みたのは26回にとどまり、このうち20回を成功させましたが、去年8月には、筋肉のけいれんが相次いで途中交代する試合が増えるなど、満身創痍の状態で、9月には自身2回目となる右ひじじん帯の再建手術を受けました。

これによって、ことしは投手としてのリハビリを続けながら「二刀流」ではなく、打者1本に絞って出場することになったため、疲労度が大幅に減ったことが盗塁数増加の背景にあります。

また、ことし6月に、チームで1番を任されていたベッツ選手が左手にデッドボールを受けて骨折し、離脱した影響で、大谷選手の打順が2番から1番になったことも盗塁が増える要因になりました。

ベッツ選手が離脱する
▽6月16日までは、70試合で盗塁15個でしたが、
▽6月17日以降、打順が1番になってからは、56試合で25盗塁と、
一気にペースを上げました。

リードオフマンとしてチームの勝利に貢献するという役割に徹したことが記録を伸ばすことにもつながり、ベッツ選手がけがから復帰したあとも、大谷選手がそのまま1番を務めています。

5年前、25歳だった2019年に打者1本に絞ったシーズンでは、ホームラン18本、12盗塁でしたが、30歳のことし残した数字は、改めて「野手・大谷」としての進化を証明しました。

レギュラーシーズンは、まだ残り1か月以上、33試合が残っていて、前人未到のホームラン50本、50盗塁に届く可能性もあります。

大谷選手の記録ラッシュはどこまで続くのか、自身初のプレーオフ進出に向けたチームの戦いとともに、シーズン終盤の大リーグから目が離せません。

【一問一答】 

大谷選手は、グラウンドでの中継インタビューを終えたあと、びしょぬれのユニフォームのまま、クラブハウス前で報道陣の取材に応じました。

アメリカメディア>


Q.おめでとうございます。クラブハウス内でのチームメートのリアクションは?

みんなお祝いしてくれて、はい。お風呂(試合後のシャワー)から上がってきて、そのまま、みんなお祝いしてくれました。

Q.あの場面はホームランを打とうとしていた?

いや、もう本当に1本。ヒットでいいので、まあフォアボールでもいいですし、そういう気持ちで行きました。

Q.ボールがフェンスを越えた瞬間の気持ちは?

ちょっと最初わからなかったので。(外野手が)触っているかフェンスに当たっているか、ちょっとわからなかったので、審判が(手を)上げてくれてわかりました。

Q.40-40の記録を意識していた?

まあ何本ぐらいかなっていうのは、もちろん知ってましたけど、さっきも言ったんですけど、まあそれが目的にならないように。しっかりと勝つための手段として、盗塁もそうですし、やりたいなと思っているので。
盗塁に関しては、やっぱり失敗しないことを、まず第一に考えながらやりたいなと思ってます。

Q.今シーズン、いい走塁ができるようになった要因は?

まあドジャースに来てから、いろいろな人と話して、積極的に次(の塁)を、まず狙っていく姿勢を作りたいなと思ってましたし、しっかりと自分の足を生かしていく方法を、いろいろと探しながらコーチの人たちと話して。
まあコミュニケーションをとるっていうのが、いちばんなのかと思います。

Q.50-50に向けての意識はある?

そうですね、まあ、もちろん、その数が増えるっていうことは、勝つ確率が高くなってくるということなので。ここから、もっともっと大事な試合が多いですし、自分の数字が上がっていくと同時に、チームが勝てるように頑張りたいなと思っています。

Q.9回ウラのあの状況でホームランを打ったらと思ったりしていた?

そんな余裕はなかったですかね(笑)

Q.40-40でサヨナラ満塁弾は、キャリアの中でどの位置にある?

トップクラスの思い出にもちろんなりましたし、もっともっと、これから勝って、その記録を塗り替えられるように頑張りたいなと思います。

<日本メディア>


Q.ホームランのあと、しばらく観客からMVPコールが出ていたことは?

本当にうれしかったですね。何より1試合、1試合大事な試合なので、そこで勝てたっていうのは。カードの頭は大事だと思うので、勝てたのがよかったなと思います。

Q.パフォーマンスと勝ちが結びつかなかった6年間があったが、今は直接つながるという状況については?

A.まあもちろんチームスポーツなので、みんなが一緒の、何て言うんですかね。んー、自分自身の役割を本当に一人一人が重ねていく。
まあ、きょうも最後、僕が打ちましたけど、そこまでのまずチャンスを作ってくれる作業がもちろん必要なので。そういう意味では、そういう人たちのおかげで、きょう打てたということは、ひとつ自信になりますし。まあチームは変わっても、やることは変わらないので、自分の役割っていうのを、まずしっかりやりたいなと思っています。

Q.期待された中で結果を出したことについては?

うれしいというより、ホッとした感じが。まあ勝てて打ててよかったなというのが、まず入った瞬間は、そんな感じだったので、はい。興奮というよりかは、ホッとした感じのほうが強かったかなと思います。

Q.盗塁の成功率は91%、リッキー・ヘンダーソンイチローは81%で、それより高いが?

さっきも言いましたけど、まず失敗、失敗というかリスクをしっかりと考えて。あの場面もそうですけど、自分が行けると思った時にしっかり、まずチャンスを作れるっていうのが、いちばん大事だと思うので。流れもありますし、そこがいちばん。その結果、成功率が高いというのは、いいことだなとは思います。

Q.これまでチャンスの場面でなかなか打ててなかったが、違いは?

んー、きょうはっていうか、ここ数日は(打席での)見え方がやっぱりいいので。自分自身の調子がいちばんかなとは、やっぱり思いますね、はい。

Q.記念のボールはもらった?

わかんないですね、ちょっと今、そのまま来たので、はい。

Q.サヨナラホームランは、キャリアで初めてで、しかも満塁で打てば40-40という場面で打ったのは、ちょっとできすぎという思いもある?

いや、サヨナラが初めてっていうのは、あんまりわからなかったんで、自分の中では。打ってるもんだと思ってました、はい(笑)

Q.チームメートからの祝福を受けている時の気持ちは?

(笑顔を見せながら)いや、もう単純にすごいうれしかったですね。勝てたのが、やっぱり何よりもうれしいと思うので。僕自身もそうですし、(帰るチームメートから目線をもらって、さらに笑顔を見せて)はい、うれしかったですね(笑)

Q.対レイズ戦では、サイクルヒット(を打ったり)と相性がいい?

んー、どうなんですかね。まあ相性というか、たまたまだとは、もちろん思いますし。むしろ、メジャーリーグの中でトップクラスのピッチャー陣を、いつも毎年そろえている(チームだ)と思うので。それは、たまたま、そういう風になってるのかなと思います、はい。