“米がない” 米不足はいつまで続く?(2024年8月20日『NHKニュース』)

 農業

 

「米がどこにもない」

SNSにはコメが手に入りづらいという反応が数多く見られます。
実際に在庫がなくなって販売できない直売所も。
今後、どうなるのでしょうか?

直売所でコメ販売できず 福井

全国的なコメ不足の影響で福井市のコメの直売所では今月中旬に白米の在庫がなくなり、販売できない状況が続いています。
福井市風巻町にあるJAのコメの直売所では、先月以降、首都圏や関西圏からの注文が大幅に増えたことに加え、コメ不足を懸念して買い求める客もいたということです。

そのため、店では袋売りをやめ量り売りにして、対応してきましたが、今月10日ごろに去年産の白米の在庫がすべてなくなり、販売できない状況が続いているということです。

コメを買いに来た80代の男性
「都会ではコメがないとニュースで見ましたが、米どころの福井でも売っていないのは驚きです。仕方ないので新米が出回るまで待とうと思います」

福井県では、21日からことしの新米の出荷が始まりますが、JA福井県は安定してコメを確保するため、生産者に前もって支払う金額を去年から4割あまり引き上げる対応を取っています。このため、新米の店頭価格は去年の3割から4割ほど値上がりする可能性もあるということです。

直売所の上野誠さん

「白米の在庫がなくなるような事態は初めてでとても驚いています。新米を多めに入荷する予定なので、安心して買っていただきたいです」

「米がない」投稿相次ぐ

SNSではいま、コメが手に入りにくいといった投稿が相次いでいます。

Xでは
「職場最寄りのスーパーも見たけど、ほんとに米が無い。もち米しか売ってない。玄米までなくなった」
「本当に店にお米がないし、あっても高い」
などと米が手に入りにくい状況についての投稿が目立ちます。

なかには
「スーパー行ったら見事にミネラルウォーターとお米の棚が空になってた」
「米がどこにもない ずっと麺食べてる」
といった投稿も見受けられました。

グーグルでこの1か月、「米」といったことばの人気度の動向を調べると、「米不足」「米ない」などと検索されていて、その数は8月以降、増えています。

今月8日には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が出されましたが、「米」や「米不足」といったことばは今月半ば以降さらに増えていて、関心の高まりがうかがえます。

コメの在庫は過去最少に

コメの現状をデータでみていきます。

農林水産省によりますと、6月までの1年間の主食用のコメの需要は、702万トンと前の年より11万トン増え、10年ぶりに増加に転じました。

農林水産省は、インバウンドが好調だったことに加え、パンや麺など、ほかの食料品に比べると値上がりが緩やかだったことなどから、需要が伸びたのではないかとしています。

これに伴って、民間での在庫も減っていて、6月末の時点では、156万トンと前の年の同じ時期より41万トン、率にして20%減って、記録を取り始めた平成11年以降では、最も少なくなりました。

去年の猛暑などの影響で供給が見込みより少なかった一方、消費は順調で、その結果、在庫が今まででもっとも少なくなり、品薄になっています。

ただ、農林水産省は「主食用のコメの需給がひっ迫している状況ではない。消費者は安心してほしい」と説明しています。

「新米を早く消費者に」滋賀 高島

関係者も、もう少しで新米が本格的に出回るので「焦らなくても大丈夫だ」と口をそろえます。

関西の米どころといわれる滋賀県では、20日から新米の出荷が始まりました。

滋賀県高島市では、「近江米」のうち早場米の「ハナエチゼン」の栽培が盛んで、今月中旬から収穫が行われています。

20日は農協の検査場に収穫されたばかりの新米、およそ27トンが集められ、検査員が専用の器具で袋からコメを抜き取って、粒の大きさや色、それにひび割れがないかなどを確かめていました。

ことしは猛暑による影響もほとんどなく、検査されたコメはすべて最も品質がよい「1等」の評価だったということです。

 

生産農家 大森重俊さん
「去年の猛暑の影響でいま、各地で米不足だと聞いているので、おいしい新米を早く消費者に届けたい」

農林水産省「品薄状態も解消に向かうとみられる」

農林水産省は、「例年、8月は、新米の本格的な出荷シーズンを前に、1年の中では、コメの在庫が最も少なくなる時期ではあるが、全国的に見れば、必要な量は確保できている。ことしのコメの生育状況は順調で、新米が流通するようになれば、一部の品薄状態も解消に向かうとみられるので、買いだめなどはせず、ふだんどおりにコメを買い求めて欲しい」と話しています。