なぜこのタイミング…古田岐阜県知事不出馬、県議会に衝撃と憶測「自分で言いたかった/後継擁立加速」(2024年8月9日『岐阜新聞』)

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「始めがあれば終わりもある」と述べ、次期知事選へ不出馬の意向を示した古田肇知事=8日午後、県庁
 なぜこのタイミングだったのか-。8日の定例会見で古田肇岐阜県知事(76)が不出馬表明したのを受け、県議会にも衝撃が走った。「後釜となる候補者の出馬のめどが立ったのでは」「自分のことは自分で決めたい性分。誰かに言われる前に言っただけだろう」。議会関係者の間では臆測が広がっている。
 当初は天皇、皇后両陛下をお迎えして開かれる「清流の国ぎふ」文化祭2024(国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭)が閉幕する11月末まで、自身の出処進退は明らかにできないという見方が大勢だった。最近は9月下旬に開会する県議会定例会で身の振り方を明らかにするのでは、とのうわさが流れていたが、突如の不出馬表明だった。
 先週には、県議会で7割を超える議席を掌握する最大会派の母体・自民党県連が24日に次期知事選の対応を協議する選挙対策委員会の初会合を開くことを決めた。古田知事は会見で「この週末にゆっくり考える時間ができて今日(8日)申し上げた」と述べており、「自民の選対委が引き金になった」と見る関係者は多い。前回古田知事を推した自民県議は「辞める意思ははっきりしていると聞いていて、どのタイミングで話が出るのかと思っていた。知事が決断した以上、後継候補者の擁立が一気に進むはず」と力を込めた。
 保守分裂選挙となった前回2021年、古田知事に敗れた元内閣府大臣官房審議官の江崎禎英(よしひで)氏(59)は昨年末に立候補を表明、着々と政治活動を展開。対照的に前回知事を推した側の候補者擁立は一向に進まず。選対に入っていた関係者は「古田知事は不出馬表明でレームダック(死に体)化の懸念もあるのに。『このままだと知事は江崎になるぞ』と誰かに言われたんだろう」とおもんぱかった。
 ただ、江崎氏の支援に動いている自民県議は「古田知事は5期目を『集大成』と明言していた。多選批判も免れず、自民の選対委で正式に推薦候補から外されるくらいなら、自分の口で言いたかったというだけのこと」とそっけなかった。
 県議会第2会派「県民クラブ」の伊藤正博代表は9月議会の代表質問で進退を問う考えだったことを明かした。「次の候補者のことを考えると、表明はこれ以上遅くすることはできなかったのだろう」と推察した。
 一方、共産党県委員会の松岡清委員長は、古田知事の手腕や年齢を指摘し「前回も出てくるべきではなかった」と断じ、「県民の声を聞いて県政を運営できる人物を立てたい」と独自候補を擁立する考えを示した。