「良心の呵責でつらい」…尹大統領夫人のブランドバッグ疑惑調査した権益委局長が死亡(2024年8月9日『ハンギョレ新聞』)

調査の実務を総括した腐敗防止局長 6月の終結処理後、自己嫌悪感を訴える
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尹大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が昨年9月13日、チェ・ジェヨン牧師からプレゼントされたディオールのバッグが入った紙袋を前にチェ牧師と話している=「ソウルの声」のユーチューブ動画よりキャプチャー
 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の「ブランドバッグ受け取り事件」調査実務を総括した国民権益委員会(権益委)の腐敗防止局長が遺体で発見された。同局長は6月、権益委のキム女史事件終結処理に関して、調査責任者として深刻な自己嫌悪感を訴えていたという。
 8日午前9時50分ごろ、世宗市鍾村洞(セジョンシ・チョンチョンドン)のマンションで、権益委のK局長が死亡しているのを部下の職員が発見し、警察に通報した。同職員は、K局長が出勤せず連絡もつかなかったため、マンションを訪れたところ、居間でK局長を発見したという。
■「私の考えは違っていたが、反対できなかった」
 K局長は権益委の清廉・腐敗・採用不正関連調査業務の実務責任者で、キム・ゴンヒ女史のブランドバッグ受け取り疑惑事件と、野党「共に民主党」のイ・ジェミョン前代表の応急ヘリ移送事件などの調査を指揮した。K局長は最近、自身が調査を指揮したキム女史のブランドバッグ事件が「終結」処理されたことに関して「良心に背くことをして辛い」と知人たちに打ち明けていたことが、ハンギョレの取材により確認された。キム女史事件の処理について、K局長は「終結」ではなく捜査機関に移牒すべきという意見を出したという。警察は現場でK局長が残したメモ形式の短い遺書を確保した。遺書には具体的な理由は明らかにせず、心身の辛さを訴える内容がつづられていたという。
 死亡したK局長と頻繁に連絡を取り合ってきたというある知人は、この日ハンギョレとの電話インタビューで、「K局長は6日に携帯電話のショートメールで『最近私たち(権益委)が失望を抱かせて申し訳なく思っている。心理的につらい』と訴えていた。『もう少し我慢すれば役割を果せる日が来ますよ』と慰めた」と言いながらため息をついた。それとともに「6月27日にはK局長が酒の席で電話をかけてきて『権益委の首脳部がキム女史のブランドバッグ(受け取り事件)を終結するよう強いた』という趣旨で、苦しい胸の内を打ち明けた。『自分の考えは違ったが、反対できなかった。つらい』と言っていた」と伝えた。また「K局長が過度な業務で自ら命を絶ったように言われているため、これを正すために電話とショートメールでやりとりした内容の公開を決意した」とし、「K局長とは数年前に権益委の腐敗防止関連の業務を通じて知り合い、親しくなった」と話した。
 これに先立ち、権益委は6月9日、キム女史のブランドバッグ受け取り行為に対する請託禁止法違反の調査で、「違反事項なし」で終結処理した。K局長の上司だったチョン・スンユン腐敗防止副委員長は当時「請託禁止法上、公職者の配偶者に対する制裁規定がないため、終結を決定した」という全員委員会の議決結果を発表した。その後、権益委では事件の終結処理に反発したチェ・ジョンムク非常任委員が「法理的に十分争いの余地があり、重大な不正と判断できる問題が容疑なしで終わった。終結処理に責任を取る」として辞任するなど、深刻な後遺症が続いた。
 野党「共に民主党」のノ・ジョンミョン院内報道担当は論評を出し、「権益委の公務員の冥福を祈ると共に、民主党が真相究明の先頭に立つ」とし、「故人の死に責任がある人々は今からでも告白し謝罪せよ」と要求した。
ソン・インゴル、ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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