小池百合子知事を東大教員83人が批判「学説への信頼を壊している」 「朝鮮人虐殺」はっきり認めるよう要請(2024年8月5日『東京新聞』)

 
 関東大震災直後の朝鮮人虐殺を巡り、東京大の教職員が5日、東京都の小池百合子知事宛てに、虐殺の認定などを求める要請書を初めて提出した。虐殺問題を研究する外村大(とのむら・まさる)教授(近代日本史)ら83人の連名。記者会見などで虐殺について明確に答えない小池知事に「定まった評価を受けている学説への信頼を毀損(きそん)している」と批判した。

◆犠牲者に追悼のメッセージを求める

 要請書では、朝鮮人が暴動を起こしたというデマが原因となり、無実の朝鮮人らが多数殺害された史実を認定し、犠牲者に追悼のメッセージを出すことを求めている。都秘書課は取材に「要請文は庁内の関係部署で共有する」と話した。
記者会見で朝鮮人虐殺の史実について語る外村大・東京大教授=5日、東京都庁で

記者会見で朝鮮人虐殺の史実について語る外村大・東京大教授=5日、東京都庁

 虐殺を巡っては、歴代知事が毎年9月1日に開かれる犠牲者の追悼式典に追悼文を寄せてきたが、小池知事は就任2年目の2017年以降「都慰霊協会が営む大法要で、関東大震災のすべての犠牲者に哀悼の意を表している」として見送っている。事実認定についても、記者会見で明言を避けている。
 外村教授は都庁で会見し、外国籍や海外にルーツを持つ住民が増えている現状を踏まえ「行政も過ちを犯したが、そうならないように取り組むというメッセージを出すことに意味がある」と訴えた。(原田遼)
 

関東大震災朝鮮人殺害 小池知事に追悼メッセージ求め要請文(2024年8月5日『NHKニュース』)

100年あまり前、関東大震災の混乱で朝鮮人が殺害されたことについて東京大学の教授らが、東京都の小池知事に対し歴史的な事実として認定したうえで、追悼のメッセージを出すよう求める要請文を提出しました。

大正12年の関東大震災の混乱のさなか、殺害された朝鮮人犠牲者をめぐっては、震災が発生した毎年9月1日に民間の実行委員会などが追悼式を行っています。
都は以前、この式典に知事の名前で追悼文を送っていましたが、2017年から送付しておらず、発生から100年にあたる去年も見送りました。
これについて、東京大学在日朝鮮人の歴史が専門の外村大教授らは5日、都庁で会見を開き「小池知事は追悼文の送付をやめ、虐殺の事実があったかどうかの認識を示していない。定まった評価を受けている学説への信頼を損ねている」と述べました。
そのうえで、小池知事に対し震災直後のデマが原因で朝鮮人などが多数殺害されたことを歴史的事実として認定することや、当時殺害された人びとに対する追悼のメッセージを出すことを求める要請文を提出したと説明しました。
一方、これまでに小池知事は毎年、東京都慰霊協会が開いている大法要ですべての犠牲者に哀悼の意を表しているとしています。