自民「大惨敗」都議補選2勝6敗で衆院選に危機感 党内から岸田首相の辞任要求も(2024年7月9日『スポーツ報知』)

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岸田文雄首相(AP)
 東京都議補欠選挙(欠員9)は8日、開票結果が確定した。自民党は派閥裏金事件で党役職停止1年となった萩生田光一政調会長の地元、八王子市選挙区で敗北するなど、擁立した8選挙区で2勝6敗と大敗。政治不信による逆風が鮮明となり、党内から政権批判の声が噴出した。
 都知事選は自民が支援した現職の小池百合子氏(71)が投票締め切りの午後8時で当確が出る圧勝。地方選挙で負けが続いていた自民には朗報だったが、その後開票された都議補選は惨敗だった。都議補選は、次期衆院選の区割りとほぼ重なるため、各党の党勢を占う先行指標となる。自民は欠員が生じる前は全9選挙区のうち、5議席を占めていたが、勝敗ラインの目安とした「4勝」を大きく下回った。
 岸田文雄首相は「結果を真摯(しんし)に受け止め、今後に生かしていかなければならない」と岐阜県恵那市で記者団に述べた。都知事選では無党派層の既存政党離れの動きが見られ、首相の「選挙の顔」としての役割を不安視する声が相次いだ。
 大西英男衆院議員(東京16区)は「自民は完敗と言っていい。首相は謙虚に国民の声に耳を傾けて辞任し、9月には新しい総裁を選ばなければならない」と辞任要求。平沢勝栄元復興相(衆院東京17区)は「大惨敗だ。党の土台の抜本的な変革が必要だ」と語った。
 自民都連関係者は「想定した中でも悪い結果」と深刻。無党派層が多い大都市部での敗北に「次期衆院選では全国的に大きな影響が出るだろう。日常の活動をよほど頑張らないと勝てない」と懸念した。自民幹部は次の国政選挙は「壊滅的な結果になる可能性がある」と危機感を隠さなかった。
 補選は、自民2人、小池氏が特別顧問を務める地域政党都民ファーストの会」が3人、無所属が2人、立民と諸派が1人ずつ当選した。萩生田氏は支援者らに「党への逆風があり、原因をつくった一人としておわびからの選挙だった」と振り返った。
 都議会(定数127)の7日現在の主な会派構成は、自民30人、都民ファ28人、公明23人、共産19人、立民16人となる。自民党小渕優子選対委員長は「都議会第1党を維持した」としながら「党の信頼回復と政治改革に全力で取り組む」とのコメントを発表した。
 首相は9日午後、小池都知事と官邸で面会する。この日、9月の総裁選について「先送りできない課題で結果を出すことに専念している。それ以外のことは考えていない」と述べたが、求心力は低下する一方だ。