どうする岸田文雄首相(写真・長谷川新)
6月21日の通常国会閉会から早2週間――。
国会論戦を終えた与党・自民党はすっかり “総裁選ムード” に浸っている。
9月に控える自民党総裁選では、再選を目指す現総裁の岸田文雄首相がもちろん筆頭候補だ。しかし、近ごろの世論調査では、内閣支持率が発足以来の過去最低をたびたび記録するなど、自民党内にも “不満分子” は大勢いるようだ。
自民党関係者が、こう話す。
「次期総裁候補として名前があがっている石破氏、茂木氏らでは、まったく新鮮味に欠けるし、突出した人もいない。刷新感を出すためなのか最近若手の名前が浮上しています。
だが、若手の台頭が “党の活性化” につながるという声には懐疑的な意見も党内には多いようだ。
「若手が出馬すること自体は、歓迎します。ただし、かつて野田聖子議員が推薦人を集められずに立候補を断念したことがあるように、20人の推薦人を集めるのはかなり大変です。
こう話すのは、世論調査や情勢調査のサービスを展開する「JX通信社」の米重克洋代表だ。
菅前首相は、3年前の総裁選を前に政権運営で窮地に立たされていた。そして、自ら不出馬を宣言し、岸田首相に総裁の座を譲った経緯がある。
そのころと現在では状況が決定的に違うようだ。米重氏が続ける。
9月に総裁選をおこなったとしても、支持率回復への期待は薄いという。
「これまで世論調査で『総裁候補』の選択肢にあがってきたような、“見慣れた顔” がただ別の見慣れた顔に変わっただけでは、政党自体への信頼が回復する材料に乏しいと考えます。
もっとも、総裁選で有権者が『自民党が自ら変わろうとしている』と思えるようなプロセスや政策を目にすることができれば、見慣れた顔ぶれから新総裁が選ばれても、支持率が回復する可能性はあります。無党派層や離れかけた自民党支持層からの期待感が復活するからです。
しかし、自民党内でその兆しは今のところ見られません。ただ単に、岸田首相から “顔を変える” ことだけが目的化して、水面下で最後まで行ってしまうと、その後の内閣支持率や政党支持率の上昇や選挙での議席維持といった狙いの成就は、難しいのではないでしょうか」(同前)
総選挙のたび “情勢分析” に長けていると噂される自民党だが、岸田首相ら幹部たちは、この「ヤバさ」に気づいているのか――。