授業料の値上げを検討している東京大学は、21日夜、藤井輝夫総長と学生による「総長対話」を行い、10万円余りの授業料の引き上げを検討していると明らかにしました。授業料免除の拡充など支援策も示されましたが、学生からは懸念の声も上がりました。

東京大学では21日夜、藤井総長が在学生とオンラインで意見交換する「総長対話」が行われ、東京 文京区の本郷キャンパスでは授業料値上げに反対する集会が行われたあと、参加した学生ら400人ほどが集まって視聴しました。

対話の中で藤井総長は年間の授業料について、国の標準額と同額の現在の53万5800円から、国が定める上限の64万2960円まで10万円余りの引き上げを検討していると明らかにしました。

あわせて、授業料免除の対象を世帯年収400万円以下から600万円以下に拡充し、世帯年収900万円以下までについても事情に応じて一部免除することを検討しているとしました。

引き上げの理由については、国からの運営費交付金の減少や光熱費の上昇などにより、断念せざるをえない授業もあるとした上で、増収分の29億円を教育環境の充実にあてると説明しました。

学生からは「親に収入があっても出してくれない場合など、授業料免除の制度では対応できない例もある」とか「多様な学生がいるのが東大の目指すべき姿だが、値上げは現在でも偏っている学生の構成をさらに偏らせる」といった意見が出ていました。

参加した3年生の学生は「なぜ値上げが必要なのか、納得のいく説明はなくがっかりした」と話したほか、修士1年の女性は「博士課程に進むことを希望しているが、自分で学費を賄うことを考えると10万円は厳しい」と話していました。

東京大学では学生から出た意見も踏まえ、さらに検討していくとしています。

 

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