両陛下は特別機とヘリコプターを乗り継いで穴水町に入り、今もがれきが散乱する中心部の商店街を視察された。営業中の美容室に立ち寄り、店主の女性に「大変でしたね」といたわりの言葉をかけられた。
近くの公共施設では、椅子に座った避難者約30人と向き合い、腰をかがめて「津波はどうでしたか」などと声をかけられた。穴水港では町長から被災状況の説明を受け、土砂崩れで16人が亡くなった由比ヶ丘地区に向かって黙礼された。
能登町の避難所では、天皇陛下が高校時代に珠洲市を旅行された際、上司と共に案内した元市職員、浜美智子さん(86)との再会があった。陛下は、地震で左の親指を骨折したという浜さんを案じて「大事にしてください」と声をかけ、当時の話に「懐かしいですね」とほほえまれた。
その後、両陛下は津波に襲われた沿岸部の白丸地区を訪れ、黙礼された。
この日は両陛下が羽田空港で搭乗された特別機にエンジンの不具合が見つかり、離陸前に引き返すトラブルがあった。両陛下は予備機に乗り換え、予定より約1時間遅れて出発された。昼食や休憩時間を短縮し、予定した日程を全てこなして夜に帰京された。