沖縄「豆腐よう」の風評被害を懸念 紅麹、食品や飲料に普及…頭抱える小売店(2024年3月29日『産経新聞』)

沖縄「豆腐よう」の風評被害を懸念 紅麹、食品や飲料に普及…頭抱える小売店(2024年3月29日『産経新聞』)

 
那覇市の市場に並ぶ地元食材。伝統食品である「豆腐よう」の風評被害が懸念されている

紅麹は天然の着色料として食品や飲料で広く普及しているだけに、さまざまな商品のメーカーなどは自主回収などの対応に追われている。一方で、伝統的に使ってきた業界からは「風評被害」を懸念する声も出ている。

紅麹は蒸した米に紅麹菌を混ぜ入れ、発酵させたもので、発酵で赤い色素が生まれる。沖縄の「豆腐よう」にも伝統的に使われてきた。「東洋のチーズ」とも呼ばれる豆腐ようは、沖縄の島豆腐を泡盛や紅麹などでつくった漬け汁に何カ月も漬け込んで作られる。

小林製薬の紅麹原料を使用してきた食品メーカー「海洋食品」(沖縄県浦添市)は25日、豆腐よう6品を自主回収を発表。問題の原料とは異なることが確認されたとして、27日に商品撤去を取り消したが、問題になっている商品の原因が特定できていないとして、返金対応は継続している。

担当者は「別の麹を使って製造できないか検討しているが、豆腐ようは漬け込まないといけないのですぐにできない」と頭を抱える。製造再開の見通しは立っていないのが現状だ。

豆腐よう製造大手の「マキ屋フーズ」(沖縄県名護市)は自社の紅麹を使っているため製造を継続しているが、「そちらの紅麹は大丈夫か」と問い合わせがあるという。担当者は「今後の売り上げに影響するかもしれない」と風評被害を心配する。

東京・銀座など県内外7カ所で沖縄の特産品を販売する直営店「わしたショップ」を運営する沖縄県物産公社にも同様の問い合わせが相次いだ。

公社には「豆腐ようが好きなので販売を継続してほしい」との要望も寄せられているといい、担当者は「沖縄では昔から食べられてきた伝統食品なので、買い控えが起こらないことを願っている」と話した。

どら焼きにも

「こんなものにまで入っていたとは…」

東京都港区内のスーパーで数日前、どら焼きを2個購入した50代の男性はこう話した。小林製薬の紅麹が使われており、和菓子製造メーカーが自主回収を始めたことを報道で知ったという。すでに1個は家族で口にしたあとだった。

ホームページには「現在のところ健康被害は確認されておりません」とあったが、「万全を期すため」として、連絡先を明記した上で送料着払いで商品を送るよう記されていた。問い合わせの電話番号にかけてみると、なかの餡(あん)に微量の紅麹が使われていたといい、返金などの対応をとると説明された。

スーパー「ライフ」大阪市西区

大手スーパー「ライフ」を展開するライフコーポレーションの担当者によると、利用者から「小林製薬の商品を取り扱っているのか」「他にも紅麹が含まれている商品を販売しているか」などの問い合わせが寄せられているという。店舗で販売していた小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」は回収し、返金対応も行っている。一方、紅麹が含まれている他社の商品については、「各社の判断に任せている」とした。

セブン&アイ・ホールディングスの担当者は「プライベートブランド(PB)の商品については状況を確認中」とした上で「現時点で小林製薬の紅麹原料が含まれている商品は確認されていない」とした。また、ナショナルブランド(NB)の商品については「各社から自主回収の連絡があり次第、速やかに撤去している」と話した。

 

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