自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相の事情聴取に安倍派幹部の一部が「キックバック再開の判断に森喜朗元首相が関与していた」との証言をしたとの一部報道が、28日の参院予算委員会で取り上げられた。
参院予算委で答弁する岸田首相=28日
報道が事実かどうか問われた岸田首相は「今の段階で内容について明らかにすることは控える」と言及を避けた。
◆辻元氏「握りつぶしたら責任問題」
岸田首相は事情聴取の内容について「公表のあり方については細心の配慮をしなければならない。今の時点で内容について申し上げることは控えている」と繰り返した。
◆森元首相は聴取対象に「含まれ得る」
自民党では、裏金事件の実態解明のため、2月に裏金に関与していた議員らに聞き取り調査していた。
しかし、聞き取り調査や衆参の政治倫理審査会でも、裏金問題の実態解明に至らなかったため、岸田首相らが追加で安倍派幹部らに聞き取り調査を行っている。
森喜朗元首相
森元首相は、過去に安倍派(当時は森は)の会長を務め、政界引退後も派閥に影響力を持っていた。
安倍派では長年、派閥のパーティー券をノルマを超えて販売した分について、所属議員にキックバックしてきた。自民党が2月に発表した聞き取り調査の報告書は、議員の証言をもとにキックバックの慣行は「20年以上前から行われていたこともうかがえる」と指摘している。