裏金還流の再開「森喜朗元首相が関与」との証言は本当? 岸田首相「明らかにしない」(2024年3月28日『東京新聞』)

 
安倍派(清和政策研究会)のキックバック復活に、森喜朗元首相が関与していたのかー。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相の事情聴取に安倍派幹部の一部が「キックバック再開の判断に森喜朗元首相が関与していた」との証言をしたとの一部報道が、28日の参院予算委員会で取り上げられた。
 
参院予算委で答弁する岸田首相=28日

参院予算委で答弁する岸田首相=28日

報道が事実かどうか問われた岸田首相は「今の段階で内容について明らかにすることは控える」と言及を避けた。

◆辻元氏「握りつぶしたら責任問題」

立憲民主党辻元清美氏は、森元首相関与の証言について、27日の日本テレビの報道に加え、自身も「相当固い筋から聞いた」とした上で、「もしも握りつぶしたら責任問題になる」と質した。
岸田首相は事情聴取の内容について「公表のあり方については細心の配慮をしなければならない。今の時点で内容について申し上げることは控えている」と繰り返した。

森元首相は聴取対象に「含まれ得る」

自民党では、裏金事件の実態解明のため、2月に裏金に関与していた議員らに聞き取り調査していた。
しかし、聞き取り調査や衆参の政治倫理審査会でも、裏金問題の実態解明に至らなかったため、岸田首相らが追加で安倍派幹部らに聞き取り調査を行っている。
 
森喜朗元首相

森喜朗元首相

この日の参院予算委で、岸田首相は、森元首相も聴取の対象になるかについて問われると「含まれ得る」と述べ、森元首相への聴取の可能性を否定しなかった。
森元首相は、過去に安倍派(当時は森は)の会長を務め、政界引退後も派閥に影響力を持っていた。
安倍派では長年、派閥のパーティー券をノルマを超えて販売した分について、所属議員にキックバックしてきた。自民党が2月に発表した聞き取り調査の報告書は、議員の証言をもとにキックバックの慣行は「20年以上前から行われていたこともうかがえる」と指摘している。
安倍派幹部らの政治倫理審査会での証言によると、2022年4月、当時会長だった安倍晋三元首相がキックバックの廃止を指示したが、死去後に復活したという。(デジタル編集部)