東京都教委が250人大量「雇い止め」 スクールカウンセラーを3月末 契約更新の選考基準も不透明(2024年3月5日『東京新聞』)

 
 東京都の非正規公務員として働くスクールカウンセラーが3月末で「雇い止め」に遭うとして労働組合に相談が相次いでいる問題で、2024年度も継続して働くことを希望し公募試験を受けた都スクールカウンセラーのうち、2割を超える250人が採用されないことがわかった。採用者からも「明日はわが身」などと採用基準を詳しく明らかにするよう都教委に求める声が上がっている。(畑間香織)

 都スクールカウンセラーの雇用の仕組み 全員が非正規の公務員。契約を1年ごとに区切る新しい人事制度(会計年度任用職員制度)が2020年度に全国で導入され、それ以前から契約を毎年更新していた人は、23年度に都教育委員会の定める契約更新の上限に達する。24年度も働くためには公募試験に受からなくてはならなくなった。

◆どうして不採用? 納得できない選考過程

 SCや心理職らでつくる労組「東京公務公共一般労働組合心理職一般支部(通称・心理職ユニオン)」(豊島区)は、1月下旬に合否が出てから相談を受けている。相談者数は5日までに73人に達した。
 相談では「学校の評価が高く面接でも滞りなく受け答えをしたのに不合格になった」との声が多く寄せられた。そのため労組は基準の開示や、勤務実績を考慮せずに面接のみとした選考理由の説明を求め、2月末までに団体交渉を都教育委員会に3回申し入れた。
 都教委や労組への取材によると、契約更新の上限に達して試験を受けた都スクールカウンセラーは1096人。不採用や、補欠に当たる「補充任用」として4月から採用されない人は22.8%の250人に上る。新規での応募は783人のうち441人が合格し、更新上限に達しないため公募試験を受けずに契約を更新したのは420人だった。労組によると都教委は採用基準の資料開示要請などに応じていない。
 雇い止めに遭った都SC4人と採用者1人は5日、都議会を訪れて採用基準の開示や更新上限の撤廃、雇い止めの撤回を求める要請書と、オンラインで集めた4856筆の署名を都教育庁の石毛朋充勤労課長らに手渡した。石毛氏は取材に「引き続き団体交渉の申し入れは法令に基づいて対応したい」と述べた。

◆「部品を取り換えるような行為を行政が率先」

 5日に都内で会見した都スクールカウンセラーは「部品を外して新しいのと換えるような理不尽な雇い止めを行政が率先している」と批判。東京公務公共一般労働組合の原田仁希氏は「これだけ一気に非正規公務員の雇い止めが起きたのはおそらく全国初ではないか」と述べた。
 

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