愛子さま 春風のような笑顔を支える“特訓”と「パワフルな体力」 寒くても暑くても「立ちっぱなし」の公務と皇室行事(2024年12月22日『AERA dot.』)

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はじめてのおひとりでの地方公務となった佐賀県訪問。空港から県庁に到着した愛子さまは、出迎えの園児たちと目を合わせ、ほほ笑みながら声をかけた=2024年10月11日、佐賀市
 天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは今年、日本赤十字社での勤務ととともに、成年皇族としての公務の機会を増やしてきた。愛子さまはいつも春風のような笑顔で公務に臨んでいるが、実は皇室の公務は段取りや制限が多く、見た目以上に過酷だ。愛子さまの笑顔を支えるのは「無尽蔵な体力」――と話すのは、40年近くにわたって天皇ご一家と親交を深めてきた元日本プロテニス協会理事長の佐藤直子さん。愛子さまが意外なほど「パワフル」なのには、理由があるという。
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 天皇陛下や皇族方の公務のスケジュールは、分刻みだ。
 愛子さまは10月、初めておひとりで地方公務のために佐賀県を訪問したが、そのときのご様子を振り返ってみる。
■「そのままで結構です」
 初日の午前11時半前、佐賀空港に到着した愛子さまは、出迎えた知事らに笑顔であいさつ。
 その30分後に県庁に到着し、ロビーで旗を振って歓迎してくれた地元の園児たちと交流。愛子さまは「午後は何をするの?」と優しく声をかけられていた。
 県庁で知事から佐賀城などについて説明を受け、昼食休憩の後、国民スポーツ大会(国スポ)が開催されているSAGAスタジアム(佐賀市)に移動。
 スタジアムには午後3時前に到着し、説明を受けながら1時間ほど陸上競技を観戦。会場の手拍子に合わせて愛子さまも手をたたきながら、選手たちにエールを送った。愛子さまは地元の関係者らに、
「テレビでは感じることができない足音まで聞こえてきて、感激しました」
 と伝えて競技場を出発。スタジアムから20分ほどで、市内の佐賀城本丸歴史館に到着すると休憩をはさみながら、館内の案内を受けられた。
 歴史館では、愛子さまが今春から勤務している日赤を創設した佐賀の偉人、佐野常民についての寸劇を、3分40秒のダイジェスト版で披露。寸劇の鑑賞と、その後の出演者との懇談も合わせた10分ほど、愛子さまは立ったままだった。
 歴史館側は椅子を用意すると伝えたが、宮内庁サイドからは「そのままで結構です」という返事だった。皇室の公務では、たとえば「椅子に座る」という行程をひとつ入れるだけで、警備や動線が変わってしまうからだ。
■宮殿行事では、微動だにせず
 公務にあたっては、目的地まで車で移動する時間も、「休憩」とはいかない。歓迎のために沿道に集まってくれた地元の人たちの声援に手を振って応え、笑顔を絶やさない。
 宮殿行事でも、裾の長いドレスを着用して長時間、微動だにせず立ちっぱなし、ということも珍しくない。
 たとえ寒くても、暑くても、疲れている様子は見せずに公務や祭祀に臨む。そうした状況は、皇室の方々にとっては日常的にあるのだ。
 天皇陛下や皇族方が日ごろから運動を欠かさないのは、息抜きやリフレッシュのためだけでなく、体力をつけるためという側面もあると、皇室の事情に詳しい関係者は言う。
 天皇陛下は皇太子時代から、赤坂御用地や皇居の敷地、外周のジョギングを続けている。
 上皇さまもテニスを、お身体を悪くしてからは卓球で身体を動かし、上皇后美智子さまと一緒にお住まいや公務での宿泊先での散歩を欠かさなかった。
 スポーツ好きだった愛子さまは、学習院初等科時代はバスケットボール部で身体を動かし、御所でも職員と一緒に汗を流していた。
愛子さまのハードな“特訓”
 愛子さまの体力を培ったスポーツのひとつに、テニスがある。
愛子さまの体力は、まさに無尽蔵です」と話すのは、天皇ご一家と交流のある元日本プロテニス協会理事長の佐藤直子さんだ。
 愛子さまは今春に大学を卒業し、社会人と公務を両立させている今も、お休みの日などの限られた時間を見つけては運動を続けている。飛んできたボールを最後まで追いかけて、粘り強く打ち返されるのが、愛子さまのスタイルだ。
 佐藤さんは、大学の硬式テニス部の監督も務めているが、愛子さまは大学のテニス部と同じぐらいハードに動かれるという。
 周囲が暗くなり、ボールが見えるだろうかと心配になるが、ニコッとほほ笑んで元気な声を返される。サーブの練習を希望され、“特訓”が、なかなか終わらないこともあるという。
 穏やかな愛子さまのどこにそのような体力が残っているのか。その「若さに」いつも圧倒されると、佐藤さんは楽しそうに振り返る。
「皇室の方々は、ふつうの人ならば表情に出してしまう時でも、ぐっと堪えなければならない場面もおありでしょう」
 気持ちのいい汗をかくことでリフレッシュしていただきたい、という思いとともに、目の回るようなスケジュールで公務に臨まれる体力もつけていただければ嬉しい、と佐藤さんは話す
 天皇家内親王として、また若い世代の皇族として、愛子さまが公務や祭祀に臨む場面はこれからますます増えてくる。そうした場面に耐えうる体力づくりも重要な時間に違いない。
AERA dot.編集部・永井貴子)