石破首相 「PFAS」の検査義務付け急ぐ 水道水から検出 発がん性懸念の有機フッ素化合物(2024年12月4日『スポニチアネックス』)

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 発がん性が懸念され世界的に問題になっている有機フッ素化合物、通称「PFAS(ピーファス)」が、3日の参院代表質問で取り上げられた。石破茂首相は、水道事業者へのPFAS検査の義務付けを来春をめどに取りまとめると表明。自然界でほとんど分解されることがなく“永遠の化学物質”と呼ばれるPFASは、どんな問題をはらんでいるのか。
 立憲民主党辻元清美代表代行への答弁。石破首相は、PFASの対応について「飲み水を経由した健康リスクの低減を図ることが重要だ」と語気を強めた。
 ここ1年で、にわかに健康被害が懸念されているPFAS。炭素とフッ素の化合物で、1万種類以上あると言われている。その中でもペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)と呼ばれる物質が、人や動物への毒性、蓄積性が確認されており、日本を含め国際的に規制されている。
 PFASには、水や油をはじき、熱や薬品に強いという特徴がある。このため、規制対象になっていないPFASは日用品に幅広く使用されている。「テフロン」などフッ素樹脂加工されたフライパンや鍋、防水スプレー、防水服、防水加工されたカーペット、消火器の消火剤、太陽光パネルなど。さらに身近なところでは、一部のファストフード店ではハンバーガーを包む紙やフライドポテトの袋にも使われている。米マクドナルドは2025年末までに包装資材でPFASを全廃すると発表。国内のマクドナルドでは現在、使われていないという。
 規制の対象外であっても、PFASが自然界に残る。水源が汚染されるケースも多い。環境省は2020年、PFOSとPFOAについて、公共用水域と地下水の暫定目標値を2物質の合計値で1リットルあたり50ナノグラム(ナノ=10億分の1)に設定した。そんな中、岡山県吉備中央町では22年、暫定目標値の28倍を検出。23年も22倍となり全国的に注目を集め、「PFAS」が知られ始めるきっかけとなった。水源近くに使用済みの活性炭が山積みされており、これらとの関係が指摘されている。
 一度体内に入ると、排出まで長期間かかることも問題だ。体内に入った量の半分が排せつされるまでの時間「半減期」が、PFOSで5年、PFOAで3年という調査も。米国ではPFOAの血中濃度が高い人は腎臓がん、精巣がん、潰瘍性大腸炎脂質異常症などの発症率が上がることも確認されている。
 現状では確立された汚染除去技術がないPFAS。水は全ての基本。欧米では全面使用禁止を含めた大幅な規制強化が進み始めている。日本も一刻も早い対応が求められる。
 《全国46都道府県で検出》環境省国土交通省は先月29日、水道水の全国調査結果を公表。富山県を除く46都道府県の332水道事業でPFASが検出された。検査を実施した全国1745水道事業の2割に相当する。1リットル当たり50ナノグラムという暫定目標値を超えた水道事業はなかったが、岩倉市水道事業(愛知県)と新上五島町水道事業(長崎県)、むかわ町穂別簡易水道事業(北海道)で47~49ナノグラムと暫定目標値に近い数値が検出された。