GIGA(ギガ)スクール構想 GIGAは「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童生徒のための世界につながる革新的な扉)」の略。1人1台端末と校内の通信環境を整備し、ICT教育の充実を図る事業。
◆香川県は2025年度から自己負担へ切り替え
「香川県立高校の授業で使うタブレット端末の無料貸し出しを継続してください」。高松市で小中学生3人の子どもを育てる福本由紀子さん(41)は6日、オンラインや街頭で集めた1万5216筆の署名を県教育委員会に提出した。
これまで県立高の生徒が授業で使う端末を公費負担してきた香川県だが、来年度の入学生から自己負担に切り替える方針を示したからだ。全額負担となれば、県推奨のタブレット端末やアプリ、付属品で計7万2000円の購入費が見込まれる。福本さんの場合、子ども3人で計21万6000円だ。
◆「子どもを高校に行かせられないかも」
7月に友人たちとの会話で、県の方針を話題にすると「子どもを高校に行かせられないかもしれない」と不安を口にする母親もいたという。県に公費負担を継続してもらおうと、9月に友人らと「香川県の高校生のタブレットについて考える会」をつくり、署名サイト「チェンジ・オルグ」や、高松市内の商店街や子ども食堂で署名を呼びかけた。オンラインで5835筆、街頭などで9381筆を集め、高校教育課の長林真司課長に手渡した。
そもそも県はなぜ来年度、公費から保護者による負担に切り替えるのか。高校教育課の担当者は「高校の端末整備はもともとは保護者負担の予定だったが、新型コロナウイルスの流行で、オンラインでの教育環境を取り急ぎで整備する必要があった。緊急的な特例措置で公費負担で進めた」と説明。2019年度から購入した端末を無償貸与する形で生徒への整備が始まり、2022年度に1人1台の貸し出しを実現した。
◆無償貸与の原資はコロナ対策の交付金だった
この購入費の原資となっていたのは、国の新型コロナ対策に関する交付金だった。これまでに整備した端末は来年以降、リース契約の更新時期を順次迎えていくという。約6000人を見込む来年度の新入生全員分を公費負担するには約4億3000万円が必要。コロナ交付金は打ち切られており、新たな原資の見通しも立たないため、負担の切り替えに踏み切った。
学習で使用されるタブレット端末
担当者は「タブレット端末は、生徒個人が所有する学用品の範囲に含まれていると認識している。『1人1台端末』を継続するには、保護者負担が適当だと考えている」と話した。