〈Q&A〉首相はどうやって選ぶの? 衆院・参院で投票、過半数を得た議員を指名 それで決まらない時は…(2024年10月31日『東京新聞』)

 
 11月11日に召集される見込みの特別国会で首相指名選挙が行われます。衆院選で自民、公明両党は過半数割れしましたが、石破茂首相(自民党総裁)の再選が有力視されています。仮に野党全党が結束すれば、野党第1党の立憲民主党野田佳彦代表が新首相に選出されますが、野党の足並みはそろっていません。首相指名選挙とはどのような仕組みなのでしょうか。(川田篤志
自民党の石破首相(左)と立憲民主党の野田代表=佐藤哲紀撮影

自民党の石破首相(左)と立憲民主党の野田代表=佐藤哲紀撮影

 Q どう決めるの。
 A 衆参両院でそれぞれ行われます。連立の場合を除き、通例は所属政党の党首に各党議員が投票します。衆参で結果が異なったら衆院の指名優先です。衆院では定数465の過半数(233)を得た議員が指名され、誰も過半数に届かなかったら上位2人の決選投票になります。
 Q 決選の仕組みは。
 A 衆院規則によると、得票の多い人が選出され、過半数を得る必要はありません。2人以外の名前を書いた場合は「無効票」、名前を書かない「白票」もあり得ます。2人が同数の場合、くじ引きで決まります。
 Q 今回はどうなるの。
 A 参院は自公が過半数を占めるため、衆院の結果が注目されています。自公と与党系無所属を合わせても221議席。28議席の国民民主党を足すと過半数に達するため、自民は秋波を送っています。
国民民主党の玉木代表(左)と日本維新の会の馬場代表=佐藤哲紀撮影

国民民主党の玉木代表(左)と日本維新の会の馬場代表=佐藤哲紀撮影

 Q 国民民主党の対応は。
 A 玉木雄一郎代表は1回目も決選投票も自身に投票すると繰り返し発言しています。言葉通りだと石破、野田両氏が決選に残る見通しのため、無効票となり、仮に他の野党が野田氏に投票しても、石破氏が多数となります。玉木氏は「政治とカネで厳しい審判を得た石破氏にも、勝つ見込みのない野田氏にも(票を)入れるわけにはいかない」と説明しています。日本維新の会馬場伸幸代表も立民との政策協議の結果を見極めて判断する構えです。
 Q 決選投票は過去にも例があるの。
 A 衆院では4回あります。直近では1994年、当時野党だった自民が、社会党新党さきがけとともに、社会党村山富市委員長を首相候補に擁立。これに対して新生党公明党などは、自民を離党した海部俊樹元首相を立てましたが、決選投票で村山氏が選出されました。この時無効票は29票ありました。