首都圏で相次ぐ強盗事件。『闇バイト』に応募して加わったとみられる容疑者が、次々と逮捕されています。
若者たちは、なぜ闇バイトに足を踏み入れてしまったのか。どこかで引き返すことはできなかったのか。その勧誘の手口を取材をもとにまとめました。
そもそも闇バイトとは
闇バイトとは、XなどのSNSやネットの掲示板などで、短時間で高収入が得られるなどと呼びかけて、応募すると、詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯などに加担させられるものです。
この『闇バイト』が広く知られるきっかけとなったのが、おととしから去年にかけて、「ルフィ」などと名乗る指示役のもとで行われた一連の広域強盗事件でした。
フィリピンの収容所にいた指示役たちから連絡を受け、各地で繰り返された強盗などの実行役となったのが、SNSなどで集められた『闇バイト』たちでした。
『闇バイト』を現場に向かわせ、現金などの資産を狙う犯罪は、従来、特殊詐欺が目立っていましたが、それが強盗にも広がり、手口も凶悪化している状況に社会の不安が広がっています。
実際の募集内容は
若者のバイト探しはSNSから
闇バイトの多くは、SNSで募集されます。
就職情報サイトの「マイナビ」が、ことし2月、アルバイトをしている高校生651人に、インターネットで実施したアンケート調査では、46.6%が、サイトや求人情報誌を通さず、『SNSで直接アルバイトを探した経験がある』と答えたということです。
また、全体の34.5%が『SNSで見つけたアルバイトで、実際に働いた経験がある』と回答し、若い世代で、SNSによるアルバイト探しが、身近になっている状況がうかがえるとしています。
このほか、『SNSで怪しい求人を見かけたことがある』と回答した高校生の割合が41.3%にのぼり、『SNSで怪しい求人の勧誘を受けたことがある』と回答した高校生も10.4%いました。
なぜ断れないのか?
犯罪グループの指示役が、『闇バイト』たちを、確実に犯罪に向かわせるための手段が、個人情報をたてにした『脅迫』です。
『闇バイト』に応募すると、秘匿性の高い通信アプリをインストールするよう指示され、その後、「アルバイトをするための登録のために必要だ」などと個人情報を送るよう、求められるといいます。
個人情報を送信すると、バイトの詳細が伝えられますが、犯罪だと気づいてやめようとしても、送ってしまった情報をもとに脅されます。
警察庁がまとめた闇バイトの実態を伝えるための「事例集」では、
▼「自宅に押しかけて、まず、母親から狙うと脅された」とか、
▼「やめたいと言ったら家族全員殺すなどと脅迫された」といった証言が紹介されています。