天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは、今春に就職してから初めての「夏休み」を、栃木県の那須御用邸で過ごされた。両陛下とともに9月12日にJR那須塩原駅に到着し、出迎えた人たちと言葉を交わした愛子さま。その様子から愛子さまの「変化」が見て取れたと、愛子さまの成長を見続けてきた皇室番組の放送作家のつげのり子氏は感慨深げに話す。
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「陛下、お帰りなさ~い」
「皇后さま~」
「敬宮愛子さま~」
「こちらも今年は暑かったですか」
と、ひとりの女性に話しかけた。しかし、女性は愛子さまのその言葉を、周囲の声で聞き取れなかったようだった。
その様子を見た愛子さまは、さらに一歩前に近づいて、ふたたび同じ言葉をかけていた。
「人々と交流するときに、グッと一歩前に出て歩み寄って話しかけられた様子を見て、愛子さまが誕生されたことからずっと見つめ続けてきた身としては、すごく成長されたなと感慨深いものがありました」
愛子さまは、自他共に認める「人見知り」。相手に向かって自ら歩み寄っていく様子が、いままでなかったからだ。
■大勢の人々の前で固まる愛子さま
2022年3月17日、成年を迎えた愛子さまは記者会見で、自身の長所を「どこでも寝られるところ」と話し、短所についてはこう語っていた。
「小さい頃から人見知りのところがございますので、これから頑張って克服することができればと思います」
幼い頃の愛子さまは、特に人見知りの様子が見られた。
つげ氏によると、JR那須塩原駅で出迎えた人たちから「愛子さま!」と歓声を受けた愛子さまは、大勢の知らない人たちから名前を呼ばれたためか、表情が消え、戸惑った様子を見せていた。「固まっている」状態になりながら手を振っていた愛子さまが、印象に残っているという。
そんな幼い頃の様子と比べると、自ら相手に近づいていく様子を見せた愛子さまの「成長ぶり」は、感慨深いものがある。
こうした変化は「やはり就職されたことが大きいのでは」と、つげ氏は推察する。
今春に学習院大学を卒業した愛子さまは、4月から日本赤十字社に就職し、青少年・ボランティア課に配属された。今回、9月に入ってからのご静養となったのは、“青少年”が夏休みの間が忙しい部署だったからのようだ。
そして、さまざま多忙な時期を乗り越えて、社会人として迎えた初めての夏休み。
つげ氏は、今回のご静養での様子から、よりたおやかで、落ち着いた雰囲気になった愛子さまが見て取れたという。
「社会人になってから5カ月余り、職場での人間関係というものが、愛子さまの人見知りを薄めていったのではないかと思います。人々に歩み寄ってお話しをされた姿に、職場でも円滑にコミュニケーションをはかって仕事をされているのだろうなと感じました」
■愛子さまにみえた包容力
緑の中を歩く愛子さまは、はつらつとしていて、笑顔からは自信と包容力が感じられた。
そして報道陣に向かい、陛下の横に立った愛子さまは、陛下の顔についた蚊に気づいて手で払う仕草を見せた。その様子を見たつげ氏は、
「これまでの愛子さまは、記者の前では緊張されている印象がありました。しかし今回、小さな蚊に気がつき、追い払う一連の動作がとても自然で、まるで普段の和やかな親子関係を見たようでした。これまでになかった余裕を持っていらっしゃると感じました」
愛子さまの「成長」がうかがえた、社会人になって初めての夏休み。ご一家のあいだで、さまざまな話題に花が咲いたことだろう。
(AERA dot.編集部・太田裕子)
◎つげのり子/放送作家。ノンフィクション作家。西武文理大学非常勤講師。日本メディア学会会員。2001年の愛子さまご誕生以来皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)。9月22日(日)午後2時~「皇室の窓スペシャル」(BSテレ東)が放送される
太田裕子