自民党総裁選に出馬する候補者の公約には、防衛費増額に伴う
増税の停止など「負担増」に対する世論の反発を意識した政策が並んだ。
【ひと目で分かる】総裁選候補者の経済政策
衆院解散・総選挙をにらんで大型の
補正予算編成が予想され、物価高の不満を和らげるバラマキ色の強い給付措置などを訴える動きも広がっている。
「
増税ゼロ」を唱えたのは
茂木敏充幹事長。1兆円規模の防衛
増税に加え、
少子化対策を強化する財源に充てる
社会保険料の追加徴収も停止すると明言した。代わりに経済成長で税収が増えた分などで財源を確保すると主張。岸田政権の決定を覆す党ナンバー2の発言は波紋を呼んだ。
林芳正官房長官は、電気・ガス代やガソリンの
補助金について「家計支援で効き目が高い。必要な状況なら続けていく」との方針を示した。積極的な
財政出動による経済成長を目指す
高市早苗経済安保相は、「税率を上げずとも税収を増やす強い経済を支援する」と意気込む。
上川陽子外相は「強力な物価対策を講じて実質賃金アップを目指す」と強調した。
石破茂元幹事長は
格差是正を重視し、岸田政権で頓挫した金融所得課税の強化を「実行したい」と宣言した。ただ、ライバル候補に「中間層に対する
増税となりかねない」などと批判を浴び、発言をトーンダウンさせた。
自民党の派閥裏金事件が強い政治不信を招いており、負担増を求めるハードルは高い。
野村総合研究所の
木内登英エグゼクティブ・
エコノミストは、次期政権下で防衛
増税の時期などが決まらない状況が続けば「政府に対する信認も損なわれかねない」と懸念する。