辞職要望書に記した“覚悟”議会VS兵庫県知事 涙ぐみ続投意欲示す(2024年9月12日『テレビ朝日系(ANN)』)

兵庫県の斎藤知事が告発された問題で、県議会のすべての議員86人が、知事に辞職を求める異例の事態になっています。
■議会と全面対立 会見で涙
11日午後、3年前の知事選を思い出して、突然、涙を浮かべた斎藤知事。
兵庫県・斎藤元彦知事
「『がんばれよ』と当時も言っていただいたので。そこは大変、申し訳ないなと。こういう状況になったことは申し訳ない。自分自身に対して悔しい思い。感情が出てしまって申し訳ない。私自身は、決して完璧な人間ではないので、いろいろな間違いもあったかと思うが、自分自身は、これからも一生懸命、県民の皆さんのためにやっていきたい」
番組では、12日に自民党が提出する要望書を入手。辞職を求める理由として、真っ先に挙げられていたのは、告発文書の真実相当性についてです。
要望書
「内容に真実が存在し、文書が嘘八百ではないことが明らかになったにもかかわらず、『文書に真実相当性がない』という従来からの考え方を変えることなく、頑なな姿勢を取り続けている」
兵庫県・斎藤元彦知事
「文書に真実相当性のないことが含まれている。多々、含まれているという思いに変わりはありません」
■維新・吉村氏「道義的責任ある」
自民とともに知事を支えてきたのが維新です。
日本維新の会・吉村洋文共同代表
「(Q.続投表明への受け止めは)残念に思います。僕は間違っていることは間違っていると素直に認めて辞職すべき」
維新は、斎藤知事の疑惑追及に慎重な姿勢をとってきましたが、お膝元の大阪・箕面市長選で現職が大敗し、その後、方針転換。他会派が足並みを揃えるなか、単独で辞職を申し入れました。
斎藤知事にとって尊敬する政治家だった吉村知事は、いまや批判の急先鋒です。
その吉村知事、告発文書は「嘘八百ではない」との立場です。
日本維新の会・吉村洋文共同代表
「一定、真実があるんじゃないかと。物を投げたり、机をたたいたり、大きな声をあげるということもあったりするなかで、自分のパワハラの記載は素直に認めて、『事実ではない』『公務員失格だ』と握りつぶすのは、権力者としてやってはいけない行為」
また、要望書で「看過できない」と指摘されたのが、「道義的責任というのが何かというのが、私はわからない」という発言です。
日本維新の会・吉村洋文共同代表
「(Q.斎藤知事に道義的責任は)道義的責任はあると思います。告発された方の背景事情はわかりませんが、亡くなっている事実もある。そして、いま、県政が混乱している事実もある」
兵庫県・斎藤元彦知事
「(Q.職員が亡くなっている。『道義的責任はわからない』という考えに変化は)あのときは、やり取りの中で自分の表現が足らなかった面もある。いまの状況を招いていることについては、すべての県民の皆さま、職員もそうですけど、関係者の皆さまには、本当に申し訳ないという気持ち。それから、亡くなられた職員に対しても、本当に心からお悔やみと感謝の気持ちを伝えたいと」
指摘を受けて発言を修正しました。
要望書では、斎藤知事が辞職しない場合、「然るべき行動に移る覚悟である」と不信任案の提出を示唆。9月議会開会日の19日に提出する可能性が浮上しています。
ただ、知事を辞めさせるのは簡単でありません。
不信任案が可決されると、知事が失職か、議会の解散を選ぶ形になります。もし、解散を選ぶと県議選に。新たな議会が、再び、不信任案を可決して、ようやく知事が失職。次を選ぶことになります。
もちろん選挙費用は税金です。県議選で16億円、知事選で18億円ともいわれています。
日本維新の会・吉村洋文共同代表
「(Q.解散権行使は県民の理解を得られるか)県民の理解は得られないと思います。県民の理解を得るのであれば、間違っていることは間違っていると認めて。いまの状態で県民の理解は得られない」
追及を強める議会と、解散の可能性を否定しない斎藤知事とのチキンレースの様相を呈しています。
兵庫県・斎藤元彦知事
不信任決議案は、これから議会側が対応すると。その対応については、地方自治法の規定に基づいて、対応を検討していくということ」