概要調査への道を狭めたくないNUMOをはじめ国側の狙いが透ける。活断層の懸念などが払拭されていないのに結論ありきに映る。納得できるものではない。
鈴木直道知事は概要調査に反対する考えを繰り返し示している。
両町村で概要調査を行う見通しは立っていない。他に文献調査に手を挙げる自治体もなく、選定プロセスは行き詰まっている。
仕切り直しが必要だ。
■活断層の評価に疑問
疑問なのは活断層の評価だ。
積丹岳にしても噴火範囲の想定が妥当なのか、はっきりしない。
解明されていない自然のメカニズムが多々ある以上、少しでも懸念があれば、候補地から除くのが本来の調査のあり方だろう。リスクを低く見積もる姿勢は危ういと言うほかない。
■交付金で誘導問題だ
文献による調査で約100カ所を選び、5カ所に絞ってボーリング調査を行い建設地を決めた。
日本学術会議は廃棄物を地上に50年間暫定保管し、最終処分のための合意形成や適地選定、リスク評価を行うよう提言している。
政府は昨年、最終処分を巡る基本方針を改定した。文献調査に応じれば最大20億円、概要調査に進めば最大70億円という従来の巨額交付金に加え、関係省庁による地域振興策をさらに手厚くした。
過疎のマチにカネでつけ込むような手法は、科学的な調査をゆがめるのではないか。最終処分場を受け入れる自治体探しが最優先となり、肝心の安全性の追求が二の次になりかねない。
地層処分は本当に妥当なのか、処分可能な場所はあるのか、もしあるなら最適地はどこなのか、多角的な検討が不可欠である。
■原発推進政策見直せ
道には核のごみを「受け入れ難い」とした2000年施行の核抜き条例がある。道民の明確な意思表示であり、NUMOも関係首長も改めて重く受け止めるべきだ。
10万年先の姿は想像もつかない。未来の子孫たちの生存に禍根を残すことはあってはならない。