「高齢者は運転免許証を自主返納すべき」という風潮が広がっているが…その先に待っている〈思わぬ落とし穴〉【医師・和田秀樹の助言】(2024年12月29日『THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)』)

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(※写真はイメージです/PIXTA
高齢者は運転免許を自主返納すべきだという考えが世間に広まりつつあります。しかし、車を運転できなくなった結果、さまざまな弊害が生まれると、医師の和田秀樹氏は言います。今回は和田氏の著書『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)から、運転免許の自主返納の必要性についてご紹介します。
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「運転免許は自主返納すべき」という同調圧力
高齢者は運転免許証を自主返納すべきという風潮が、ますます広がりつつあります。自分は返納したと得々と語る人も増えてきました。いいことをしているという自信の表れなのかもしれませんが、それが他の人に無言のプレッシャーを与えているということに気づいているのでしょうか。
日本では、あくまでも自主返納を求めるというやり方を採っています。コロナ自粛もそうでしたが、海外のいくつかの国と異なり、国が責任を持ってロックダウンすることはせず、なんとなく従わないといけないような空気を作り上げます。
そして、それに従わないと居心地が悪くなるように仕向けて、その居心地の悪さに耐えかねた人たちが自粛したり、運転免許を返納したりと、あたかも自主的に判断したように持っていきます。
こうして同調圧力に負けてしまった人たちは、どうなるのでしょうか。
コロナ禍で自粛していた人たちは、自分たちの行動が正解であると思い込もうとして、他人にも自粛を強く求めるようになりました。けれども、その裏でうつ状態になってしまった人も多く生まれました。
車がない→外に出ない→要介護率が上がるという負の面も
免許を自主返納した人たちは、あたかもそれが正義であるかのように語ります。けれども、車がないことで生活の幅が狭くなった人たちは、外に出ない高齢者になってしまって、数年後の要介護率が大幅に上がったりすくるわけです。
結局は自分たちが損するわけですが、あくまでも自主的に行動を起こしたことになっているので、どこにも怒りの矛先を向けられない、誰にも不満をぶつけられないような空気が蔓延しているのです。
こうしたパターンが続く限り、高齢者のうっぷんが収まることはないでしょう。
和田 秀樹
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表
一橋大学国際公共政策大学院 特任教授
川崎幸病院精神科 顧問

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60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし(主婦と生活社) の 商品概要
《人生折り返し地点を過ぎたと思ったら、心の整理をはじめなさい。》
●人間関係のしがらみや、背負わなくてもいい責任、見栄や世間体、思い込み、執着などなど、年をとるほどに重くのしかかってくるものたち。精神科医和田秀樹氏が、60歳を過ぎたらやめる・手放す・あきらめる「心の整理法」を指南。
●どれだけ蓄財があろうと、人間、死ぬときは体ひとつ。人生の折り返し地点を過ぎ、自身を一度きちんと見直して残りの人生を豊かにしたいという人に向けて、スッキリ身軽で、気楽な老後を迎えるためのコツが満載!
●親子で、あるいはパートナーと一緒に、これからの人生を考える上での”気づき”が得られる一冊。
序章 60歳を過ぎたら“しなくていい”7つのこと
1 病気予防のための食事制限
認知症予防のための脳トレ
3 健康を優先させた食事
4 過度な運動
5 がんの早期発見・早期治療の心がけ
6 医者が処方した薬を続ける
7 運転免許証の自主返納
第1章「感情に振りまわされる」のをやめる
・感情的でいい でも振りまわされてはいけない
・すべての元凶は「感情の老化」にあり
・あなたの感情年齢をチェックする感情老化度テスト
・感情コントロールの基本は“黙殺”にあり
・内向きになるといつまでも不機嫌が続く
・感情の悪化を防ぐコツは「期待しない」こと
第2章 「不安」を手放す
・「知らない」を減らすと「不安」は減っていく
・いくつになっても誰にでも「別の選択肢」はある
・不安の8割は取り越し苦労
・不安につぶされないためには、やるべきことに没頭する
・「不安な自分」を武器にする
・どんな不安もいずれはかならず消える
第3章 「引きずる」のをやめる
・放っておけば嫌な気持ちは勝手に消えていく
・他人の失敗なんて誰も覚えていない 気に病む必要なし!
・「他人の不機嫌」に引きずられてはいけない
・引きずりやすい人はじつは「できる人」でもある
・「手段はいくらでもある」と別のやり方をストックしておく
・「思考停止」は感情を整理するテクニック
・問題が起きたら即、誰かに話してシェアすべし!
・正しいことを「正しい」と言い過ぎるのはNG
第4章 「一喜一憂する」から解放される
・”生きがい”なんて、無理に探さなくていい
・健康診断の結果に一喜一憂するのをやめる
・60歳を過ぎたら「スピード感」なんていらない
・イライラは”心の導火線”自分のリズムを守る
・気長な人にこそ、周囲は心を開いてくれる
・一喜一憂しなくなる簡単な方法は「催促」をやめること
・催促をやめるとかえって物事は進んでいく
・一喜一憂をやめると、本当にやりたいことが見えてくる
第5章「いい人」をやめる
・「いい人」をやめるなら「断る」からはじめよう
・”忙しいアピール”は大いにしてよし
・あなた本来?の「いい人キャラ」には利用価値がある
・「いい人」をやめるのは一度だけでも効果あり
・誰かも好かれようなどと思わない
・人の話を聞くときは「いい人」に戻ろう
終章 「楽に、雑に生きる」をはじめてみる
1 楽に生きている人のほうが免疫力は高くなる
2 楽な方法を探すのは私たちの本能
3 いい加減でいられるのは、気持ちにゆとりがある証拠
4 もっと雑になったほうがいいのはこんな人
5 迷ったらとりあず楽なほうを選ぶ
6 今より楽なやり方を探すクセをつける
7 臆病なあなたへ 雑になる勇気を持とう