浸水隠し「クイーンビートル」、親会社JR九州が運航再開を断念…日韓航路から撤退(2024年12月13日『読売新聞』) 

完全子会社「JR九州高速船」(福岡市)が博多港と韓国・釜山(プサン)港を結ぶ旅客船「クイーンビートル」(定員502人)の浸水を隠して3か月以上運航を続けていた問題で、JR九州が、運休中のクイーンビートルの運航再開を断念したことが分かった。1991年に開設した日韓航路から撤退する。月内にも正式決定する。
キャプチャ
釜山港に係留されたクイーンビートル
 JR九州の古宮洋二社長は問題発覚後も、運航の再開を目指す方針を示してきた。ただ、浸水の原因となった不具合の解消や信頼回復が難しいと判断し、一転して撤退する方針を固めた。
 クイーンビートルは、2022年11月に就航。昨年2月に船体内部に浸水したが、JR九州高速船は国土交通省に報告せず数日運航し、行政処分を受けた。今年2~5月も浸水していたにもかかわらず、同社は、航海日誌に「異常なし」と虚偽記載したり、浸水警報センサーを上部にずらしたりするなど隠蔽(いんぺい)工作をしていたことが、国交省が8月に実施した抜き打ち監査で発覚。運休に追い込まれていた。
 国交省は9月、全国初となる安全統括管理者と運航管理者の解任命令を発出。JR九州JR九州高速船は11月、隠蔽を決めた同高速船の当時の社長と両管理者の3人を懲戒解雇した。JR九州が設置した第三者委員会は同月、同社のガバナンス(企業統治)が十分ではなかったとする調査報告書をまとめた。海上保安庁は船舶安全法違反などの容疑で捜査している。