「雅子皇后」61歳 「紀子妃」との評価を“逆転”させた「親子関係」「公私教育」の相違点(2024年12月10日『デイリー新潮』)

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雅子皇后と紀子妃
 12月9日、雅子皇后が61歳のお誕生日を迎えられた。
 それに際し、皇后陛下ご自身が文書で感想を寄せられている。
 文書では、まず、能登半島地震や、世界の気候変動、6月の英国ご訪問などについての感想が記されている。次いで、パリオリンピックパラリンピック大谷翔平選手の活躍、被団協のノーベル平和賞受賞、三笠宮妃百合子さまの薨去などについて述べられ、愛子さまのご就職についても触れられている。
〈娘の愛子は、3月に学習院大学を卒業し、4月から日本赤十字社の嘱託職員として勤務を始めました。早いもので、先日23歳になりましたことに、時の経つ早さを感じます。
職場では、周囲の方々に温かく御指導いただき、仕事についてもやり甲斐を感じながら励んでいる様子をうれしく思っています〉
 また、
〈今年の3月には、大学卒業に当たって三重県奈良県を、そして10月には、初めて一人での地方公務として、国民スポーツ大会のために佐賀県を訪問しましたが、各地で多くの方に大変温かく迎えていただいたことを、愛子も私たちも心から有り難く、また、うれしく思っています。愛子には、これからも健康に気を配りつつ、社会人として様々な経験を積みながら、皇族としての務めを果たすべく努めていってほしいと願っています。皆様には、これからも愛子を温かく見守っていただけましたら幸いに存じます〉
 こうした愛子さまへの温かいまなざしには、国民の、天皇家への信頼も影響しているだろう。今年の世論調査では「女性天皇」への賛成が9割近くにも達するものもあるなど、次の御代での「愛子さま」即位を求める声も高まる一方だ。
 しかし、10年以上前を振り返ってみよう。天皇家、すなわち当時の東宮家は、雅子さまのご病気や、愛子さまの小学校登校を巡る種々のトラブルもあり、冷ややかな報道も少なくなかった。
 一方、そちらと比較されるように、秋篠宮家は「将来の天皇」である悠仁さまがご誕生になられたこともあり、存在感が大きく増していた。
 しかし、現在の秋篠宮家を巡っては、9月11日、紀子さまがお誕生日でのご文書で、秋篠宮家へのバッシングについて、「心穏やかに過ごすことが難しく、思い悩むことがあります」と述べられたほど、時に厳しい視線も向けられている。
 10年間で何があったのか。なぜ「雅子さま」と「紀子さま」の立ち位置は“逆転”したのか。
 その原因について、【前編】では「親子の関係」を指摘する識者の声を紹介した。続いて【後編】では、両家の「公と私」の関係についての見え方の違いについて、考察してみよう。
(「週刊新潮」2021年12月23日号掲載記事を一部編集しました)【前後編の後編】
「現・天皇、皇后両陛下は、平成の両陛下が築き上げてこられた『国民に寄り添う皇室』を踏襲しようとされていると感じます」
 と述べるのは、静岡福祉大学小田部雄次・名誉教授(日本近現代史)である。
「例えば、2021年の成年行事で愛子さまは、ティアラを新調せず、黒田清子さんのものを借り受けられました。コロナ禍で苦しむ国民に寄り添うとの天皇家のご意思を感じました。国民統合の象徴という、皇室の在り方を思い起こしました」
 一方の秋篠宮家は、
「一貫して、従来型とは異なる新しい皇室像を目指してこられました。以前の殿下のお誕生日会見でも“時代の変化に即した皇室であることが大切”とおっしゃったように、例えば“大嘗祭は私費で行うべし”など、従来の皇室とは異なったお考えを主張してこられました。お子様方を学習院でなく、ICUお茶の水女子大附属に進学させられたのも新しいスタイルでした。これにはもちろん賛否両論あるとは思いますが、コロナ禍など先行きの見えない時代にあっては、国民が安心感を抱くのは“平成流”の踏襲の方ではないかと感じます」
進学先は…
 更には、
天皇陛下は、皇太子時代、どれだけバッシングされても、雅子さまを支え続け、守ってこられたように映ります」
 と、武蔵大学千田有紀教授(社会学)が指摘する。
「“ご家庭ばかり”と批判されることもありましたが、妻子をひたすら守られるその姿勢を“理想的な父親像”と感じてきた人もいるはずです。今の天皇家は、国民の多くにとってとても仲睦まじい“理想の家族”に見えている。戦後の象徴天皇制では、国民は皇室に模範的な家族、家族の規範を見たいという思いを抱いてきた。そして、そのお姿を拝見することで“国民統合の象徴”という皇室の在り方を実感するのではないでしょうか。その意味では、現天皇家はお役目をきちんと果たされているのだと思います」
 これに比べた時の、秋篠宮家のお姿は【前編】に述べた通りである。
 千田教授は、
「ここに来て“皇室特権”に対し、人々が過敏になってきたことも大きいのでは」
 と続ける。
秋篠宮家では、33億円をかけて宮廷を改修しました。加えて結局は辞退されましたが、1億5千万円の結婚一時金など、皇室がさまざまな特権を持っていることがクローズアップされ、これに批判的な声も上がりました。また、悠仁さまはお茶の水女子大附属小という、非常に狭き門に入学された。これも、受験に苦労している親御さんからみれば“ずるい”と感じられたりしても不思議ではありません」
専攻は日本文学
 対して天皇家では、先に述べた愛子さまのティアラに代表されるように、目立った“贅沢”を控えてきた。
雅子さまご自身は素晴らしいキャリアをお持ちですが、娘の愛子さまは幼稚園から学習院という、皇族のオーソドックスな道を歩まれた。しかも大学での専攻は日本文学という、天皇家の子女らしい選択です。特権とは無縁に見え、こちらも好感度が高く見えているのではないでしょうか」
 いかがだろうか。
 むろんシーソーのごとくまたお二人の立場が入れ替わることは必ずしも否定できないが、少なくとも現況を見るに、「公と私」、はたまた「家庭の和」に対する立ち位置といったところに、お二人の明暗を分けたポイントがあるのは間違いなさそうである。
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 この記事の後、悠仁さまは筑波大学附属高校に提携校進学制度を用いられて入学され、今春に卒業されるご予定だ。進路先についてはさまざまな情報が飛び交っているが、先日は筑波大学の推薦入試を受けたとの報道も出た。この進路先についても、経緯によっては、「皇室特権だ」との批判をする向きも出てくるだろう。
 今後のお2人の立ち位置は、果たしてどのように変化していくのだろうか。

 

 

デイリー新潮編集部