自公国、「特定扶養控除」引き上げ合意 「年収の壁」時期は持ち越し(2024年12月6日『毎日新聞』)

 2025年度の税制改正を巡る自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部の会合が6日、国会内であり、大学生らを扶養する親の税負担を軽くする「特定扶養控除」について、対象となる学生の年収要件を引き上げることで合意した。引き上げ幅は今後詰める。「年収103万円の壁」は、住民税よりも所得税の控除額の見直しを先行して検討することで一致した。
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【図解】103、106、130万円…「壁」で何が変わる?
 特定扶養控除は19~22歳の学生を持つ親などが対象。アルバイトで働く学生の年収が103万円以下の場合は、親は所得税63万円、住民税45万円の控除が受けられる。学生の年収が103万円を超えると、扶養対象外となり、親の税負担が増え、世帯としての年収が減るため、「働き控え」の一因となっていた。
 自公側は前回の協議で、国民民主が所得税の非課税枠を103万円から178万円に拡大するよう求めていることに関し、見直しの狙いなどについて回答を求めていた。出席者によると、引き上げの実施時期について国民民主は「25年1月1日からやるべきだ」と主張したが、自公は源泉徴収をする会社の事務負担など課題があることを伝え、議論は持ち越された。
 国民民主が主張するガソリン税の上乗せ分(25・1円)の廃止については、自公が1年先送りするよう求めていたが、議論は継続となった。協議後、国民民主の古川元久税調会長は記者団に「先送りは認められないと強く申し上げた」と述べた。【杉山雄飛、小田中大、野間口陽、安部志帆子】

国民・榛葉賀津也幹事長「話にならない!」怒り「103万円の壁」減収額めぐる与党側試算の粗さに(2024年12月6日『日刊スポーツ』
 
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榛葉賀津也幹事長(2024年11月11日撮影)
 国民民主党榛葉賀津也幹事長は6日の定例会見で、同日に与党と国民民主との間で行われた税制改正協議で示された、「年収103万円の壁」をめぐる「減収見込み額」の与党側の試算根拠に対し、怒り心頭でコメントした。
 政府側は「103万円の壁」引き上げに伴い、所得税の課税最低額を178万円に引き上げれば、国と地方で7~8兆円の税減収となると試算し、この日の会議で試算根拠を記した紙を配布した。榛葉氏は配布されたペーパーに「下記の試算は10月31日時点での粗い試算であり相当の幅をもって見る必要があることに留意が必要」とのただし書きが赤文字で記されているとして「この数字が荒くてあいまいだよと、認めたペーパー。これを基準に(全体で)8兆円、地方は4兆円足りなくなるというのは、話にならないね」と酷評。内容についても「めちゃくちゃ粗削りの財源試算。所得税地方税の算出根拠が与党側から出されたが、こんないいかげんというか、粗い試算で、8兆円の減税とか、地方税が4兆円足りなくなるとか騒いでいたかと思うと、なんだったんだと」と怒りをあらわにし「もう1度、整理してほしい。納税者や有権者をあまりにもばかにしている。全国知事会もこれを根拠に(反対と)おっしゃったんですよね、こんな粗い根拠でいわれたら、たまらないですね」と、反論を続けた。
 「103万円の壁」引き上げのねらいを「この国の税収を減らすのではなく、取り過ぎた税金を国民に戻し、デフレから脱却して手取りを増やし、可処分所得を上げて消費を増やし、この国の経済を回し、好循環させていくためだ」と主張。与党側が示した実施時期について再来年の2026年となっていることにも「話にならない」と繰り返し「納税者、有権者は待っている。すぐやるのは当然だ」と、実施を急ぐべきとの認識を示した。
 その上で「(与党が103万円の壁の引き上げを)こんなにやる気がないのなら、補正も賛成できるか分からない」「こんなことでは、補正もどうなるか分からない」と、石破茂首相が総理成立を目指す2024年度補正予算案への対応についても言及。「衆院選の結果は、1日も早く103万の壁を突破して手取りを増やしてほしい、減税してほしいというものでしょ。(与党は)もう忘れたんですかね」と、けん制するように語った。
 一方で、補正予算案の採決で反対する可能性を示唆したのかと問われると「こういう、いいかげんなことをするなら賛否を考えないといけないが、いま交渉している。きちんとしたデータと根拠をもって、来週以降きちんとした交渉ができることを信じたい」と述べた。「あまり国民の気持ちをもてあそばない方がいいと思う」と、自民党側にくぎを刺す場面もあった。

国民民主・玉木氏「とても賛成できない」103万円の壁、減収額試算の根拠巡り与党に反発(2024年12月6日『産経新聞』)
 
国民民主党玉木雄一郎代表(役職停止)は6日、与党側が同党との税制改正協議で示した、「年収103万円の壁」を178万円に引き上げた場合の税減収の見込み額の試算が根拠に乏しいとして「不誠実な対応が続くならとても(令和6年度)補正予算に賛成できない」と自らのX(旧ツイッター)に投稿した。
政府は国民民主が主張する、所得税の課税最低額を178万円に引き上げた場合、国と地方で7~8兆円の税減収が生じると試算していた。与党側は同日の国民民主との協議でこの根拠となる2枚の資料を提示したが、玉木氏は「減収見込み額の根拠はこの2枚だけだった。今世の中に広く流布している『7~8兆円の減収』の根拠は実はこれだけで、追加の資料はない」と指摘した。
さらに、資料に減収額の試算が「10月31日時点での荒い試算であり、相当幅をもってみる必要がある」と記されていたとして、「そんな荒っぽい資料で国民の手取りを増やす政策を阻まないでほしい」と非難。その上で「財源出せ出せと政府・与党もメディアも言うが、減収額についても『荒くない』計算根拠を示してほしい」と強調した。

驚いた。
今朝の3党協議で、与党側から提出された「103万円の壁」を178万円に引き上げた際の「減収見込み額」の根拠は、この2枚の紙だけだった。(国税分1枚、地方税分1枚)
今、世の中に広く流布している「7兆円〜8兆円の減収」の根拠は、実はたったこれだけで、追加の資料はないとのこと。
そもそも、現在の基礎控除48万円による減収額が2.6兆円になる根拠が示されておらず、それに基づいて「算数」をしているだけの減収額にどれほどの意味があるのか。
こんな荒っぽい計算根拠で、国民民主党が主張している「手取りを増やす」政策に反対しているのかと愕然とした。
最後の計算だって、
500億円×75万円=4兆円弱程度
と書いているが、
500億円×75万円=3.75兆円
とすればいいではないか。
ちょっとでも減収額が大きく見えるようにしているのも残念だ。まだ、たまきチャンネルでの計算の方が誠実ではないか。
さらに、資料の上部に赤字で大きく、
「下記の試算は10月31日時点での粗い計算であり相当の幅をもって見る必要があることに留意が必要」
と書いてあるが、
そんな荒っぽい資料で、国民の手取りを増やす政策を阻まないでほしい。
財源を出せ出せと政府・与党もメディアも言うが、だったら、減収額についても、「粗くない」計算根拠を示してほしい。
実施時期についても、与党は来年ではなく再来年からと主張しているとのこと。
こんな不誠実な対応が続くなら、とても補正予算には賛成できない。
国民民主党の一議員として強くそう思う。
国民の期待を裏切るわけにはいかない。
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