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専門家によれば、「側室制度のあった時代の古いルール」ということですが、その側室制度がすでに過去のものとなっているにもかかわらず、現行の皇室典範でも「男系の男性」に限っています。そんな皇位継承のルールは、「明らかな欠陥を抱えている」と識者は力説します。
『愛子さま 女性天皇への道』をこのほど上梓した、皇室研究者の高森明勅さん(國學院大學講師)に、そもそも天皇の地位を継承することにおいて、最も必要なことは何か――。そのシンプルな視点で、次代の天皇像ををうかがいました。
欠陥を抱えるルールは見直しが必要
天皇の地位を継承するルールについて、政治の取り組みが遅れ、迷走が続いています。しかし常識的に考えると、とりたてて難しいテーマではありません。いたってシンプルな話なのです。そのポイントはふたつだけ。
もうひとつ、ポイントの「2」は、こちらは意外と気づかれていないかもしれませんが、皇位継承のルールが歴史上かつてないほど狭く、窮屈になっている。
それが原因で遠くない将来に、後継者を確保できなくなりそうな不安定な状態に陥っています。だから、欠陥をかかえるルールを見直して、安定的な皇位継承が可能になるルール作りが欠かせません。このふたつだけ。
血統とお気持ちをまっすぐ受け継ぐ方
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「愛子さま」という呼び方がすっかり定着しています。ご本人のお人柄や雰囲気とお名前が、ぴったりと一致しているからでしょう。それはもちろん結構だと思います。
その一方で、直系の血筋を受け継いでおられるので、お若い皇族方の中でおひと方だけ、「愛子」というご本名とは別に、「敬宮」というご称号もお持ちです。
もうこれらの事実だけからでも、次の天皇に最もふさわしいのはどなたかということは、明らかなのではないでしょうか。
仕方がないので、その方以外の“男性”の中から後継者を選び直すのか。それともルール自体を正しく直すのか。
答えは簡単ですね。とても正当と思えない理由によって、最適な方が後継者から除外されてしまうという欠陥をかかえたルールなら、そのルールを正すのが「正解」ではありませんか。
…皇室研究者の高森明勅氏によれば、天皇、皇后両陛下のお気持ちを敬宮殿下がまっすぐに受け継いでおられるといいます。そのエピソードを後編記事<やっぱり「愛子さま」は凄かった…伊勢神宮参拝でみせた秋篠宮家との「圧倒的な違い」>で明かします。
高森 明勅(皇室研究者)
高森 明勅 (著)
ついに国連の「女性差別撤廃委員会」も皇室典範の改正を勧告! 世論調査では9割が「女性天皇」を認めているのに、政府はなぜ「男系男子」にこだわるのか? 愛子さまが天皇になるべき「5つの理由」を今、明快に説く。
2の理由=天皇は「国民統合の象徴」。その象徴に男性しかなれないルールは、いびつである。
4の理由=天皇という地位は「国民の総意」に基づくべき。国民の気持ちを無視してよいのか。
5の理由=「ジェンダー平等」は、現代における普遍的な価値観である。
2024年春、学習院大学を卒業し、日本赤十字社の嘱託職員となられた天皇家のご長女・敬宮愛子さま。「両陛下のただひとりの内親王殿下」に寄せられる期待は、「愛子さまにこそ、天皇陛下になってほしい――」というもの。
世論調査では「女性天皇」を認める国民が、今や「9割以上」という。しかし、国会では「男系男子」以外への皇位継承以外はまったく検討されていない。なぜ、「男系男子」だけにこだわるのか。明治以降にできた短い歴史の皇位継承制度であるのに……。いっぽうで、「男系男子」に限ることは、近い将来の皇室の破綻さえ招きかねない。「だから、今こそ女性天皇を実現させる制度改革が必要」 だという。そのために私たちが目指すことは、「天皇陛下の長子が皇位継承資格を持つこと」。今から変えるために、私たちができること。気鋭の皇室研究者が、「女性天皇実現までの道」を、明快に説く。
目次
○第3章 歴史の中の女性天皇――日本らしさの証明
○第4章 皇太子が不在の令和皇室――欠陥ルールの皇位継承順序を見直す
○第5章 これからますます大切になる皇室――未来に向けた存在意義
○第6章 皇室典範はこう変える――私の改正案