「針の穴に糸を通す弁解」斎藤・兵庫県知事 公選法違反疑惑、告発状提出 郷原弁護士・上脇教授(2024年12月2日『ラジトピ ラジオ関西トピックス』)

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PR会社経営の女性と斎藤元彦知事(女性のインスタグラムより
 兵庫県知事選挙で再選した斎藤元彦氏の選挙戦をめぐり、PR会社(兵庫県西宮市)の経営者の女性が、「斎藤氏の陣営から広報戦略を任された」とするインターネット記事を公開し、公職選挙法違反の疑いが指摘されている件で、東京地検特捜部元検事・郷原信郎弁護士と神戸学院大学・上脇博之教授が、斎藤氏と女性に対する公選法違反(買収、被買収)容疑の告発状を12月1日付で兵庫県警と神戸地検特別刑事部に送付した。
 郷原、上脇両氏が2日、オンライン会見で明らかにした。
 告発状によると、PR会社が斎藤氏から戦略的広報業務を受託し、ネットによる選挙運動を含む広報全般の企画・立案を実行したとされる。そして、斎藤氏が71万5000円(税込み)を選挙運動の報酬として支払い、選挙運動員に金銭を供与したとしている。
 郷原弁護士は「この支払いが、公選法違反の買収容疑に当たる」とした。
 さらに、「SNS戦略を業務としているPR会社が、9月に(斎藤氏が知事職を)失職した直後に業務の提案をしたことを認めている。女性がこの提案をひるがえし、ボランティアでやったという弁解は成り立たない」と指摘した。
 このほか、プロフィール写真の撮影をボランティアで行った、としていることについても、「急きょカメラマンやヘアメイクなどを手配し、明らかに費用が発生している。この費用を誰が負担したのか」と疑問を呈した。
 斎藤氏はこれまで、PR会社に支払った71万5000円は公選法で認められたポスターの制作費だったとの答弁を繰り返している。
 代理人弁護士も会見で、「SNS戦略や広報全般を任せた事実はない」と述べ、女性が「事実関係を『盛っている』」として、公選法違反に抵触する運動員買収を否定した。
 郷原弁護士は「これら斎藤氏側の弁解自体が、“針の穴に糸を通すような”ものであり、難しい。こうした弁解が成り立たないことを判断する根拠が十分にある」と、主張の脆弱さを強調した。
 告発状は2日中にも兵庫県警と神戸地検に届く見込み。



斎藤元彦知事とPR会社代表を刑事告発 「告発状」は受理される?起訴・不起訴の判断は?失職の可能性は?(2024年12月2日『FNNプライムオンライン(フジテレビ系)』)
 
選挙運動が公職選挙法に違反するとして、大学教授らが刑事告発状を提出しました。
神戸学院大学の上脇博之教授と郷原信郎弁護士が会見を開き、兵庫県の斎藤元彦知事と兵庫・西宮市のPR会社の社長を刑事告発したことを発表しました。
2人は、知事選で斎藤知事がPR会社の社長に対し、SNSの運用、広報の企画、投票の呼びかけなどの選挙運動に現金71万5000円の報酬を支払ったことが、公職選挙法が禁じる「買収にあたる」と指摘しています。
郷原信夫弁護士:
SNS広報戦略など全般的に依頼していたことは疑いがない。その対価として5項目を一応名目にして71万5000円を支払っていた。
これを受け斎藤知事は、報道各社の取材に応じ、「詳細は承知していません。いずれにしてもその件は、公職選挙法に違反しないと認識している。代理人弁護士に対応をお願いしている」と改めて疑惑を否定しました。
今回の問題の今後について、以下の3つのポイントから見ていきます。
1.告発状は受理されるのか
2.起訴・不起訴判断は
3.失職の可能性はあるのか
まず、告発状が受理されるのか否かについて、元東京地検特捜部の若狭弁護士に聞いたところ「可能性は高い」ということです。
当初挙げられたコラムの内容を踏まえると、公職選挙法の買収・被買収の疑いが考えられるということでした。
実際にこれだけ世間の関心事であるため、警察・検察庁も「受理しない」という選択は難しいのではないかと。
仮に受理されたとして、起訴されるのかされないのか、若狭弁護士に聞きました。
受理された場合は、PR会社の代表から詳しく事情聴取をしていく。さらには、資料の入手や分析など行っていくということですが、これは時間がかかりそうだということで、起訴の判断まで、場合によっては半年から1年近くかかる可能性があると指摘しています。
捜査や裁判が行われている間、知事の立場はどうなるのか。
仮に裁判になって最高裁まで争った場合には、判決の確定まで3~4年くらいかかる可能性があるということでした。
知事が起訴されたとしても有罪判決が出るまで3~4年ということですので、一般論でいうと知事職続行可能だということです。
県知事の任期は4年なので、大体それくらいはできるであろうということでした。
今後の捜査内容について、若狭弁護士によると「金の流れ・名目」「ほかの金の流れがないか」「斎藤知事とPR会社代表のつながり」を見ていくという状況だということです。

斎藤知事とPR会社社長を告発 大学教授「買収・被買収が成立」主張(2024年12月2日『毎日新聞』)
 
 兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事(47)が、選挙運動の対価としてPR会社側に約70万円の報酬を支払ったとして、大学教授らは2日、斎藤氏と会社社長に対する公職選挙法違反容疑での告発状を県警と神戸地検に送付したと明らかにした。教授は「報酬に当たるのは明らかで、買収と被買収が成立する」と主張。捜査当局は受理するか慎重に判断するとみられる。
 神戸学院大の上脇博之教授と郷原信郎弁護士が2日、オンラインで記者会見して発表した。斎藤氏は報道陣に「公選法に違反しないと認識している。弁護士に対応をお願いしている」と述べた。
 公選法では選挙運動員に金銭や物品などを提供することに加え、運動員がそれらを受け取ることも禁じている。ネット上の選挙運動についても業者が主体的に企画・立案する場合は、報酬の支払いが買収に当たる恐れがあるとされる。
 告発状では、社長はネット上の選挙運動を含む広報全般を企画・立案して実行し、斎藤氏への投票を呼びかける「選挙運動者」だったと主張。その報酬として斎藤氏は選挙期間中の11月4日、PR会社に71万5000円を支払ったとされる。社長も受け取った疑いがあるとしている。
 社長は投開票後の11月20日付で、ネットの投稿プラットフォーム「note」に投稿。斎藤氏にSNS(ネット交流サービス)の運用方法を提案したとし、「広報全般を任せていただくことになりました」と発信したが、現在は一部が削除されている。
 これに対し、斎藤氏の代理人弁護士はこれまでの会見で、支払った金銭は公選法で認められているポスターなどの製作費だったと説明した。社長個人についても斎藤氏の公式応援アカウントの記載事項チェックなどを担ったが、あくまでボランティアの立場だったとし、広報全般を依頼した事実はないと主張していた。
 上脇教授は「社長が発信した通り、主体的で戦略的なPR活動を行っていたことは明らかだ。金銭は報酬に当たると考えられ、捜査を尽くしてもらいたい」と強調した。【大野航太郎、山田豊、山田麻未】

弁護士と大学教授が告発状 斎藤知事陣営の兵庫知事選SNS運用で(2024年12月2日『NHKニュース』)
 
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兵庫県知事選挙で再選した斎藤知事の陣営のSNS運用に関して、PR会社の代表がウェブサイトに投稿した記事の内容をめぐり、公職選挙法に違反する疑いがあるとして、弁護士と大学教授が知事と代表に対する告発状を神戸地方検察庁などに郵送しました。知事は「法律違反はないと認識している」としています。
告発状を送ったのは、元検事の郷原信郎弁護士と神戸学院大学の上脇博之教授です。
告発状によりますと、兵庫県知事選挙で再選した斎藤知事の陣営のSNS運用に関して、兵庫県西宮市のPR会社の代表が、戦略の立案を行ったなどとウェブサイトに投稿した記事の内容について、斎藤知事が会社に支払った報酬はインターネットによる選挙運動の対価であり、公職選挙法違反の買収にあたる疑いがあるとしています。
そのうえで、今回の選挙はSNSの選挙に対する影響力が実証されたもので、放置すれば公職選挙法の目的を著しく阻害するなどとして、1日付けで、知事と代表に対する告発状を神戸地方検察庁兵庫県警察本部に郵送したということです。
斎藤知事「公職選挙法などに違反することはないと認識」
斎藤知事は2日午後、兵庫県庁で記者団に対し「詳細は承知していない」としたうえで、「私としては公職選挙法などに違反することはないと認識していて、対応は代理人弁護士にお願いしている」と改めて述べました。
代理人の弁護士は先週の記者会見で「報酬はポスター制作といった法律で認められた業務に対して支払ったものだ。SNS運用については、斎藤事務所などが主体的に行っていて、代表はボランティアだった」などとして、選挙違反となる行為はなかったという認識を示しています。
一方、PR会社の代表については取材を申し込むなどしているものの、これまでに回答は得られていません