早実、明大明治…難関付属校が割拠する東京多摩地区「中高一貫校」、四模試志望動向で分かった注目の入試とは【2025年共学校編6】(2024年12月2日『ダイヤモンド・オンライン』)

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駅近ながら緑に囲まれた環境の「東京電機大学」(小金井市
 首都圏にある中高一貫の男子校と女子校、埼玉・千葉・茨城・神奈川の共学校についてこれまで見てきた。東京共学校は、23区東部・北部と西部・南部エリアに続き、今回は多摩地区を取り上げる。神奈川同様、大学系列校が多い。2025年の人気動向を見ていきたい。(ダイヤモンド社教育情報)
● 独り勝ち状態の「早稲田実業
 2025年中学入試は、中堅・中位校を中心に人気が上昇する傾向にある。6月から7月に実施された四模試(サピックス四谷大塚日能研、首都圏模試)の志望者数合計を前年同期と比べ、24年や23年入試での実倍率も参照しながら、東京23区東部(江東区墨田区葛飾区・台東区)と北部(北区・板橋区練馬区)、23区西部(世田谷区・杉並区・中野区・練馬区)と南部(目黒区・品川区・大田区)をこれまで見てきた。今回は多摩地区の共学校について、25年入試の競争状況を考えてみたい。
 多摩地区で、難関・上位校と呼べる私立共学校は、JR中央線沿いに最寄り駅がある大学付属の4校で、中でも群を抜いているのが早稲田大学系属早稲田実業学校国分寺市)だろう。多摩地区では唯一の2月1日1回だけの入試を行っている。初等部からの内部進学もあるため、中等部での募集人員は約110人で、男子約70人・女子約40人としている。次回取り上げる慶應義塾中等部(港区)が男子約120人・女子約50人としているのと似たような状況だ。
 四模試の志望者数は1割増で、難関校では珍しい伸びを示し、その勢いは秋以降さらに増している。受験者数と実倍率を22年から順に見ていくと、22年500人・3.7倍、23年483人・3.72倍、24年526人・3.84倍と、24年に向けて上昇したことが分かる。25年は4倍に迫るどころか、それを超える可能性も出てきた。
 早稲田に対抗するのは明治である。大学の近くにあった男子校が共学化し、移転したのは2008年のこと。明治大学付属明治調布市)は、[2日1回](左が入試日、右が入試回。以下同じ)は24年に558人が受験して、実倍率2.94倍(23年2.59倍、22年2.61倍)だった。志望者数が1割増えており、25年の3倍乗せは確実と思われる。[3日2回]は、346人が受験して3.89倍(23年3.62倍、22年3.96倍)だったが、志望者数は2割半も減っており、25年には大きく緩和するかもしれない。
● JR中央線の付属校
 早稲田、明治に次ぐ上位校としては、法政と中央がある。法政大学(三鷹市)が東京女子大学牟礼キャンパス跡地に移転し、女子生徒を迎えて共学化したのは2007年のことで、三つの入試回がある。早稲田や明治同様、[1日1回]の志望者数は1割増えている。24年に558人が受験し、実倍率2.94倍(23年2.59倍、22年2.61倍)だったが、25年の3倍乗せは明治同様、確実と思われる。
 一方で、[3日2回]と[5日3回]は、志望者数が1割強減と1割減となっており、25年にはいずれもいささか緩和しそうだ。24年には、受験者数が346人と232人、実倍率は3.89倍(23年3.62倍、22年3.96倍)と2.58倍(23年3.43倍、22年4.08倍)となっており、3回が一番受かりやすくなるかもしれない。
 中央大学附属(小金井市)は、[1日1回]が24年に434人が受けて実倍率3.24倍(23年3.19倍、22年3.53倍)、[4日2回]が492人で5.66倍(23年5.96倍、22年4.63倍)となっている。志望者数は1割減と微減で、25年の1回は3倍に近づきそうだ。
 これら4校の募集人員を比べると、早稲田が約170人、明治が約150人、法政が約140人、中央が約150人と、だいたい同じくらいとなっている。
 JR中央線沿線にある国公立の中高一貫校について、24年の実倍率を見ておこう。難関レベルにある東京都立武蔵高等学校附属(武蔵野市)は2.55倍、上位校レベルの都立三鷹中等教育学校三鷹市)は4.58倍、小中高12年一貫となった都立立川国際中等教育学校立川市)は4倍(一般枠)、東京学芸大学付属小金井(小金井市)は2.42倍となっている。国公立でも人気は二分されている様子がうかがえる。
 世田谷区に隣接する武蔵野市調布市は、多摩地区の中では比較的中学受験が盛んだ。卒業生の3割ほどが系列の成蹊大学に進むが、内部推薦の権利を保持しながら他大学の受験もできる成蹊(武蔵野市)は、ここ数年緩和傾向にある。[1日1回]は24年に247人が受けて実倍率2.23倍(23年2.38倍、22年2.73倍)、[4日2回]は302人で2.96倍(23年4.44倍、22年4.96倍)だったが、志望者数は微減と微増で、25年もおおむね24年実績の競争状況が続きそうである。
● 緩和傾向の「ドルトン」と「聖徳」
 2024年に535人が受験して146人が合格したドルトン東京学園調布市)は、入試回による倍率の差が大きい。全体的に年々緩和傾向にあるので、25年は受けやすくなるだろう。24年の実績で見ていくと、[1日4科型]は112人が受験して実倍率2.8倍(23年3.71倍、22年4.37倍)で志望者数は1割減となっている。25年には英検3級以上取得者を出願要件にしている「2科(英語資格)型」もある。
 [1日午後特待型]は76人が受験、実倍率6.91倍(23年5.06倍、22年13倍)と狭き門だが、志望者数は微減ということで、25年もさほど緩和しそうもない。[2日4科型](24年は2科・4科)は最多の114人が受けて4.38倍(23年5.32倍)だったが、志望者数は微増傾向にある。[2日思考表現型]は60人で1.76倍と最も受けやすくて受かりやすい上に、志望者数が半減近いこともあり、25年の狙い目入試回となりそうだ。他に、2日午前では英作文と英語面接の「英語型」もある。
 [2日午後理数特待型]と[4日2科型](24年は4日午後)は、60人受験で3.53倍と113人受験で6.28倍という人気なのだが、志望者数は前者が3割半減、後者が微減ということで、25年はさらに両者の倍率の開きは拡大しそうである。
 聖徳学園(武蔵野市)は、受験生の半分が[1日適性検査型]に集まっている。最寄り駅が、都立一貫校の武蔵と三鷹と同じ「武蔵境」ということもあり、模試代わりの需要が多い。三鷹に合わせた2科型、武蔵に合わせた3科型、そして共通2科型と3タイプを用意した上、試験終了後には解答例と解説を配布している。24年は444人が受験して、実倍率は1.03倍。不合格は10人のみであり、これほど受かりやすい入試回は他にない。
 国算2科+面接を課す[1日プライマリー]は第一志望者向けの入試回で、83人が受けて実倍率2.44倍(23年1.32倍)となっているが、志望者数は大きく減少傾向なので、25年は2倍程度まで緩和するかもしれない。国算英から2科を選ぶ[2日AM]は24年に56人が受験して2.43倍、国算2科の[2日午後PM]は76人で2.62倍だが、志望者数は3割弱減と2.5倍増と明暗を分けており、25年は倍率の差が大きく開きそうだ。25年は[11日AM]もあるが、こちらは人気が高い。
 [2日午後特別奨学生](24年は1日午後)と[3日特別奨学生]は、受験者数が20人と44人で、実倍率は1.67倍(23年1.15倍)と1.52倍(23年2.07倍)と、同じような競争状況にある。25年の状況は不透明で、予想は控えたい。19人が受けて3.17倍だった[2日プログラミング]も同様である。
● 高倍率の人気校「東京電機大学
 ここから先は、JR中央線沿線で見ていこう。JR「吉祥寺」駅・京王井の頭線井の頭公園」駅が最寄りの明星学園三鷹市)は約90人を募集しているが、志望者数は少ないながらも2倍以上に増えている入試回があるなど、全体的に上向いている。国数2科と面接が基本だが、B入試は4科も設定している。
 [1日A]は最多の113人が受験し、実倍率2.17倍(23年2.05倍、22年1.7倍)と人気の入試回となっている。志望者数は2割強増で、25年は少し上積みしそうだ。[1日午後B]は31人で1.19倍(23年1.71倍、22年1.58倍)ととても受けやすくなっている。志望者数は2.8倍弱と人気化しており、25年は1倍台後半まで上がりそうだ。[2日午後C]は67人で3.53倍、[4日午後D]は56人で4.67倍と人気だが、志望者数は2倍半弱増と4倍半増となっており、25年はかなりの倍率アップが見込まれる。
 JR「東小金井」駅が最寄りの東京電機大学小金井市)は、教科型入試を4回行う。[1日1回]は24年に218人が受けて実倍率2.76倍だったが、志望者数は2割強増えており、25年は3倍に迫りそうだ。国語か算数の1科を選ぶ[1日午後2回]は最多の496人が受験、2.33倍と実倍率が一番低い。志望者数は微増で、25年も一番受けやすい状況が続きそうだ。2科・4科の[2日3回]は174人受験で4.83倍だった。志望者数が4割半も増えており、25年は5倍を超える勢いだ。4科の[4日午後4回]は、24年に289人が受けて5.67倍だった。志望者数は微減で。25年はこの高倍率が維持されそうである。
 混合教育に特徴がある武蔵野東(小金井市)は、3日午後に特待入試(2科・算数1科)を設定、1日と2日は教科型(2科・4科)と表現力・思考力、AO入試を行う。24年の受験者数が2ケタの入試回を順に見ておこう。52人の[1日適性1回]の実倍率は1.18倍、23人の[2日適性3回]は1.64倍(23年2.11倍)、22人の[1日4科1回]は1.1倍(23年1.5倍)、11人の[2日2科A(3)]は1.38倍(23年4倍)となっている。他の入試回は受験生がいないものもあり、全体的に受けやすくて受かりやすい状況が25年も続きそうだ。
● 人気上昇中の「明星」と受けやすい中位校
 JR中央線国分寺」と京王本線「府中」駅の中間にある明星(府中市)は、中高一貫部を中心として進学校化に大きくかじを切ろうとしている。年々倍率は上がっており、志望者数を見る限り、25年も人気を集めそうだ。入試も特別選抜クラス(55人募集)と総合クラス(70人募集)に分けて行い、成績上位者は給付制特待生奨学金の候補となる。
 いずれも2科の総合クラスは、[3日3回]と[4日4回]を25年には設定しない、[1日1回]は24年に61人が受験、実倍率1.53倍(23年1.28倍)、[2日2回]は42人受験で2.21倍(23年1.65倍)だったが、志望者数はいずれも4倍増と人気で、25年は2倍、3倍にそれぞれ迫る可能性がありそうだ。[2日2回英語]が新たに設けられるが、英語と国語か算数の2科入試となる。
 特別選抜クラスは、1回のみ4科と適性検査型があり、残りは国数2科となる。[1日1回]は9人受験で1.80倍(23年1.33倍)、[1日1回適性検査型]は15人受験で1.25倍と元気がない。その点、71人と最多の受験生を集めた[1日午後2回]は2.96倍(23年1.56倍)と好調で、志望者数も2倍増しており、25年は22年3.6倍に迫る勢いを見せている。
 [3日3回]は総合クラスの3回を衣替えしたもので、受験生9人で3倍と寂しかった[3日午後4回](24年は3回)ともども志望者数は全入試回でも最多となっており、25年は期待できそうだ。[4日午後5回](24年は4回)は39人受験で3.9倍(23年1倍、22年2.33倍)と最も高倍率だったが、志望者数が4倍半増で、25年はさらに高倍率になるかもしれない。
 JR中央線「国立」駅が最寄りの国立音楽大学附属(国立市)は、演奏・創作と総合表現の二つのコースで約45人を募集する。24年の合格者数は合計31人なので、定員は充足していないようだ。最多の24人が受験して22人が合格した[1日1回演奏・創作]以外は、受験者数が10人に満たず、いずれの入試回も受けやすい。
 JR青梅線五日市線八高線西武拝島線「拝島」駅が最寄りとなるが、「拝島」駅、JRと京王の「八王子」駅からもスクールバスを出している啓明学園(昭島市)は、北泉寮もある帰国生教育のパイオニアで、校内は国際的な雰囲気にも満ちている。24年の合格者数は合計34人で、募集人員60人に達していないが、15人が受験して実倍率1.36倍(23年1.08倍)の[1日1回]と、11人受験で2.2倍の[1日午後得意科目算数特待型]が主な入試回となる。
 七つの入試回を設けて、医学・難関大コース20人を含む70人を募集する東海大学菅生(あきる野市)の最寄り駅はJR青梅線「小作」。入試は国数2科かいずれか1科と受けやすい。24年は131人が受験して119人が合格しており、受かりやすい。この傾向は25年も同様だろう。[1日1回A]と[1日午後1回B]にそれぞれ52人と46人の受験生が集まったが、実倍率は1.02倍と1.1倍となっている。
● 「武蔵野大学」が絶好調の西武沿線
 いずれも中堅・中位校だが、ここからは西武沿線の学校を見ていこう。本部は東京湾岸に移転したが、100周年を迎えた武蔵野大学武蔵野キャンパスにある武蔵野大学西東京市)。最寄り駅は西武新宿線「田無」である。最も受かりやすい入試回は、都立三鷹に準拠したI・II型と都立武蔵に準拠したI・II・III型が設定されている[1日適性検査型]で、24年は66人が受験して実倍率1.06倍(23年1.33倍、22年1.06倍)だった。25年も同様の状況が続くだろう。
 最多の262人が24年に集まった[1日午後2回]は1.46倍(23年1.44倍、22年1.3倍)だったが、志望者数が7割半も増えており、25年は1倍台後半を目指すことになりそうだ。国語か算数と国数理社の選択2科、もしくは英語1科という負担の少なさも人気の要因だろう。2科・4科の[1日1回]と[2日3回]は、24年の受験者数は151人と73人で、実倍率は1.37倍と1.55倍だが、志望者数が7割半と6割強も増えており、25年はどちらも2倍に向かう流れだ。
 算数1科の[2日午後4回]も64人受験で1.52倍と似たような競争状況だが、志望者数6割増で、25年は1回や3回と同様にハードルが上がりそうだ。23人受験で3.29倍だった[4日午後アドベンチャー]は国数の基礎学力試験とグループ活動「スカベンジャーハント」による入試だが、志望者数が半減しているので、25年は狙い目になるかもしれない。
 男子部と女子部が中等部となり、24年からは高等部も共学化した自由学園東久留米市)の最寄り駅は西武池袋線ひばりヶ丘」。幼稚園から大学に相当する最高学部までが集まっている。入試は国数2科に加え、集団考査や個人と保護者の面接も課され、集団生活に適しているかも問われるようだ。
 中等部の募集人員は初等部からの内部進学も含め90人で、[1日1回]は24年に91人が受験して実倍率1.52倍(23年1.45倍、22年1.28倍)と徐々に人気が上がっている。志望者数も上向きで、25年はいささか受験生が増えるかもしれない。若干名募集の[10日2回]は18人が受けて3倍だったが、こちらは少し緩和気味だ。
● 好調の「明治学院」と入りやすい「明法」「東星」
 2024年から2回目の入試を始めた創価小平市)の最寄り駅は西武国分寺線「鷹の台」。[1日〈2月1日〉]は24年に187人が受験して実倍率は1.87倍(23年1.89倍、22年2.27倍)と踏みとどまった。志望者数は微増で、25年も現状は維持しそうだ。[3日プレゼン型]は62人が受けて3.5倍となかなかタフだった。志望者数は少ないながらも5倍増で、25年は結構な倍率が予想される。
 西武拝島線国分寺線「小川」が最寄り駅の明治学院東村山市)は男女約70人ずつを中学で募集、東村山高等学校経由で多くは明治学院大学に進学している。24年は、[1日午後1回]が404人受験して実倍率2.66倍、[2日2回]が232人で2.83倍、[4日3回]が149人で2.98倍と毎回結構な倍率を維持している。志望者数はそれぞれ1割半増、2割半弱増、1割増と好調で、25年にはいずれも3倍前後になるかもしれない。
 5年前に共学化した高校に続き、25年から中学でも女子生徒を迎え共学化するのだが、どうもそのことがあまり伝わっていない感じがする明法(東村山市)。歩くとだいぶ遠いが、最寄り駅は明治学院と同じ西武拝島線国分寺線「小川」である。
 [1日1回]は、「午前2科・4科」と「午前適性特待生」入試を合わせて最多の60人が受験したが、1.13倍(23年1.52倍、22年1.27倍)とかなり受けやすくて受かりやすい状況だった。25年も同様だろう。2科・4科の[2日2回午前]は11人受験で2.2倍と控えめだが、志望者数を見る限り、25年はさらに受験生が減りそうな状況にある。
 国数2科か国算いずれか1科を課す「午後特待生」入試は、[1日1回午後]が26人で1.37倍、[2日午後2回]が28人で1.87倍だった。志望者数はどちらも3分の1に激減しており、25年はかなり狙い目の入試回となりそうだ。9人受験で3倍とささやかだった[5日3回]は志望者数が2割増えており、25年は受験生が少々増えるかもしれない。
 西武池袋線「秋津」が最寄り駅の小規模カトリック校、東星学園(清瀬市)。五つの入試回で45人を募集するが、ほとんどが[1日1回]に集まり、24年は31人が受験して23人が合格している。25年も同様の受けやすくて受かりやすい状況が続くことだろう。上智大学と高大連携協定を結び、早稲田大学に合格者を出すなど、知る人ぞ知る進学実績もあるのだが。
● 二分される“八王子系”
 八王子市には八つの中高一貫校がある。その中で一番難度が高いのは、東京都立南多摩中等教育学校だろう。「京王八王子」駅から徒歩3分と際立って通いやすく、24年実倍率は3.69倍だった。以下、おおよそ難度順に見ていこう。
 明治大学付属八王子には、「八王子」「拝島」駅から専用バスで通うことになる。八王子市内では際立って倍率が高いが、志望者数も2割前後増えており、25年はさらにハートルが上がりそうだ。4科のA方式は[1日1回]と[3日2回]があり、24年の受験者数は449人と367人、実倍率は3.12倍(23年2.62倍、22年2.85倍)と6.44倍(23年6.85倍、22年5.92倍)だった。[5日B]は4科総合型で、239人が受けて7.47倍(23年10.85倍、22年10.5倍)となっている。
 帝京大学も最寄り駅からバス乗車が必要で、スクールバスはJR中央線「豊田」、京王本線平山城址公園」、京王・小田急「多摩センター」の各駅から出ている。[1日一回]は24年に145人が受けて実倍率は2.04倍だった。[2日二回]は入学金と設備充実費ならびに6年間の授業料・維持費が免除される特待生も4科受験生から15人をメドに選抜されるが、153人が受験して2.07倍(23年2.06倍、22年2.27倍)と競争状況はあまり変わりがない。[3日三回]は2科で、161人が受けて2.44倍(23年2.88倍、22年3.11倍)だった。志望者数は1回が2割強増、2回が微増、3回が2割増で、25年は22年の水準を目指すことになりそうだ。
 八王子学園八王子は市内の私立校には珍しく、JR中央線「西八王子」駅から見えるほど近い。入試は東大・医進と特進の二つのクラスに分けられ、それぞれ35人と70人を募集する。24年に67人が受験して実倍率2.58倍だった[3日午後特進クラス]以外の四つの入試回はいずれも「東大・医進クラス」入試であり、特進クラスへのスライド合格がある。
 24年に371人と最多の受験生が集まった[1日〈午前〉]には2科・4科と適性検査型がある。実倍率は1.39倍(23年1.28倍、22年1.2倍)だが、少ないながらも志望者数は2.5倍増で、25年には1倍台後半にはなりそうだ。ちなみに、24年合格者266人のうち、191人が特進クラスへのスライド合格だった。
 2科の[1日午後〈午後〉]と[2日午後〈午後〉]、適性検査型の[2日〈午前〉]を比較してみよう。前者が受験者数128人と63人で実倍率2.1倍と2.63倍だったのに対して、後者は118人受験で1.82倍だった。志望者数は1割強増と4割半増、6割増となっており、どの入試回も25年には2倍台半ばから後半を目指す動きとなりそうだ。
● 二分される“八王子系”
 八王子市には八つの中高一貫校がある。その中で一番難度が高いのは、東京都立南多摩中等教育学校だろう。「京王八王子」駅から徒歩3分と際立って通いやすく、24年実倍率は3.69倍だった。以下、おおよそ難度順に見ていこう。
 明治大学付属八王子には、「八王子」「拝島」駅から専用バスで通うことになる。八王子市内では際立って倍率が高いが、志望者数も2割前後増えており、25年はさらにハートルが上がりそうだ。4科のA方式は[1日1回]と[3日2回]があり、24年の受験者数は449人と367人、実倍率は3.12倍(23年2.62倍、22年2.85倍)と6.44倍(23年6.85倍、22年5.92倍)だった。[5日B]は4科総合型で、239人が受けて7.47倍(23年10.85倍、22年10.5倍)となっている。
 帝京大学も最寄り駅からバス乗車が必要で、スクールバスはJR中央線「豊田」、京王本線平山城址公園」、京王・小田急「多摩センター」の各駅から出ている。[1日一回]は24年に145人が受けて実倍率は2.04倍だった。[2日二回]は入学金と設備充実費ならびに6年間の授業料・維持費が免除される特待生も4科受験生から15人をメドに選抜されるが、153人が受験して2.07倍(23年2.06倍、22年2.27倍)と競争状況はあまり変わりがない。[3日三回]は2科で、161人が受けて2.44倍(23年2.88倍、22年3.11倍)だった。志望者数は1回が2割強増、2回が微増、3回が2割増で、25年は22年の水準を目指すことになりそうだ。
 八王子学園八王子は市内の私立校には珍しく、JR中央線「西八王子」駅から見えるほど近い。入試は東大・医進と特進の二つのクラスに分けられ、それぞれ35人と70人を募集する。24年に67人が受験して実倍率2.58倍だった[3日午後特進クラス]以外の四つの入試回はいずれも「東大・医進クラス」入試であり、特進クラスへのスライド合格がある。
 24年に371人と最多の受験生が集まった[1日〈午前〉]には2科・4科と適性検査型がある。実倍率は1.39倍(23年1.28倍、22年1.2倍)だが、少ないながらも志望者数は2.5倍増で、25年には1倍台後半にはなりそうだ。ちなみに、24年合格者266人のうち、191人が特進クラスへのスライド合格だった。
 2科の[1日午後〈午後〉]と[2日午後〈午後〉]、適性検査型の[2日〈午前〉]を比較してみよう。前者が受験者数128人と63人で実倍率2.1倍と2.63倍だったのに対して、後者は118人受験で1.82倍だった。志望者数は1割強増と4割半増、6割増となっており、どの入試回も25年には2倍台半ばから後半を目指す動きとなりそうだ。
● 入試回で上下が見られる「桜美林」「多摩大聖ケ丘」
 幼稚園から大学院までそろう桜美林(町田市)も、最寄り駅からバス利用となる。教科型は2科が中心で四つの入試回、他に、文系総合と理系総合の2科を課す総合学力評価入試もある。全体的に緩和傾向だったが、志望者数はおおむね増加している。[1日午前2科/4科選択]は24年に90人が受験して実倍率2.25倍だった。志望者数が2割弱増えており、25年は少しハードルが上がりそうだ。
 ここからは2科で、[1日午後]は273人が受験して実倍率1.57倍、[2日午後]は138人で2.12倍、[3日午後]は102人で3.64倍だった。志望者数はそれぞれ微減、前年並み、4割弱増となっており、25年に[3日午後]は4倍に乗せるかもしれない。
 総合学力評価入試は[1日午前]と[1日午後]の2回実施され、受験者数139人と169人で、いずれも実倍率は1.48倍だった。一番倍率が低いこともあってか、志望者数は6割増と2.5倍増と大きく増えており、25年はいずれも2倍を超えるかもしれない。
 渋谷教育学園と同根の多摩大学附属聖ケ丘(多摩市)には五つの入試回がある2科・4科の一般入試の他に、リスニングと適性型の入試が設けられている。2科・4科の[1日1回]と[5日5回]は、24年の受験者数が87人と44人で、実倍率は2.35倍(23年1.49倍、22年1.79倍)と2.44倍(23年1.56倍、22年1.93倍)だったが、志望者数は7割減と5割増で、25年の情勢が読みづらい。
 2科の[1日午後2回]と[3日3回]と[4日午後4回]はどうか。受験者数が最多の219人と93人、87人に対して、実倍率は1.51倍と2.21倍、2.07倍となっている。志望者数は2割弱増と6割弱増と5割弱増といずれも好調で、25年には遅い入試回ほどハードルが大幅に上がりそうだ。
 多摩市や町田市に公立中高一貫校はない。[2日適性型]は75人が受験して実倍率1.47倍と一番低い倍率だったが、志望者数は大きく減っており、25年の狙い目入試回となりそうだ。[4日リスニング]は国算の基礎学力とリスニングが課されるが、受験者数は48人と少なめで実倍率は2.67倍と高めだった。こちらも志望者数が大幅減で、25年は相当緩和しそうである。
● 入試回で上下が見られる「桜美林」「多摩大聖ケ丘」
 幼稚園から大学院までそろう桜美林(町田市)も、最寄り駅からバス利用となる。教科型は2科が中心で四つの入試回、他に、文系総合と理系総合の2科を課す総合学力評価入試もある。全体的に緩和傾向だったが、志望者数はおおむね増加している。[1日午前2科/4科選択]は24年に90人が受験して実倍率2.25倍だった。志望者数が2割弱増えており、25年は少しハードルが上がりそうだ。
 ここからは2科で、[1日午後]は273人が受験して実倍率1.57倍、[2日午後]は138人で2.12倍、[3日午後]は102人で3.64倍だった。志望者数はそれぞれ微減、前年並み、4割弱増となっており、25年に[3日午後]は4倍に乗せるかもしれない。
 総合学力評価入試は[1日午前]と[1日午後]の2回実施され、受験者数139人と169人で、いずれも実倍率は1.48倍だった。一番倍率が低いこともあってか、志望者数は6割増と2.5倍増と大きく増えており、25年はいずれも2倍を超えるかもしれない。
 渋谷教育学園と同根の多摩大学附属聖ケ丘(多摩市)には五つの入試回がある2科・4科の一般入試の他に、リスニングと適性型の入試が設けられている。2科・4科の[1日1回]と[5日5回]は、24年の受験者数が87人と44人で、実倍率は2.35倍(23年1.49倍、22年1.79倍)と2.44倍(23年1.56倍、22年1.93倍)だったが、志望者数は7割減と5割増で、25年の情勢が読みづらい。
 2科の[1日午後2回]と[3日3回]と[4日午後4回]はどうか。受験者数が最多の219人と93人、87人に対して、実倍率は1.51倍と2.21倍、2.07倍となっている。志望者数は2割弱増と6割弱増と5割弱増といずれも好調で、25年には遅い入試回ほどハードルが大幅に上がりそうだ。
 多摩市や町田市に公立中高一貫校はない。[2日適性型]は75人が受験して実倍率1.47倍と一番低い倍率だったが、志望者数は大きく減っており、25年の狙い目入試回となりそうだ。[4日リスニング]は国算の基礎学力とリスニングが課されるが、受験者数は48人と少なめで実倍率は2.67倍と高めだった。こちらも志望者数が大幅減で、25年は相当緩和しそうである。