折田氏が運営のメディア名が「地元誌と酷似」でトラブル勃発、被害受けた編集長が激白「もう関わりたくない」(2024年11月29日『ピンズバNEWS』)

※画像は折田楓氏のインスタグラムより

 兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事(47)の広報活動をめぐり、大きな騒動となっているPR会社「merchu(メルチュ)」代表の折田楓氏。

■【画像】PR会社が運営していたメディア名が地元誌と酷似、証明する「特許庁の拒絶書」ほか■

 11月27日、神戸周辺のタウン誌『月刊神戸っ子 KOBECCO』(服部プロセス株式会社)の高橋直人編集長が公式ブログで、一部メディアの報道について声明を発表した。

《この度、一部メディアにおいて、弊誌と株式会社merchu折田楓氏に関する内容が掲載されておりますが、その内容に多数の誤情報が含まれていることによる誤解、および弊誌における業務に重大な障害が生じております》

 折田氏のmerchuが運営するメディア『Kobecco』と、自社の『KOBECCO』が“無関係”であると訴えているのだ。いったい何が起きているのか──。

月刊神戸っ子 KOBECCO』は1961年に創刊され、神戸とその周辺地域の情報を発信し続けてきた。グルメや街情報だけでなく、地場で活躍する企業の深堀りやトップへのインタビューなども盛り込んだ、厚みのある内容が長く支持されている。

 一方で、折田氏が手掛ける『Kobecco』とは何か。

「『Kobecco』は、兵庫県出身の折田さんが2017年7月から始めたインスタグラムアカウント『@kobecco_channel』(現在は非公開)からスタートしたメディア、および自社ブランドです。

 折田さんは常々“日本の全てのダサいをなくしたい”と口にしており、『Kobecco』のコンセプトも“神戸の『かわいい』『おしゃれ』な、物・場所・情報をお届け”するというもの。神戸市など各所とコラボしてPR施策を手がけるほか、2019年12月には『Kobecco』のオリジナルグッズも展開し、自身のプロフィールでは『Kobecco』編集長と名乗っていました」(WEBメディア編集者)

 表記こそローマ字の大文字と小文字と異なれど、音(読み)は同じ。前出の『KOBECCO』高橋編集長はブログで、

《一部のブログ記事やSNSにおいて、折田氏が弊誌の立ち上げに深く関わっているかのような表現がなされており、これが読者の皆さまや関係者の方々の混乱を招き、多数のご質問やお問い合わせをいただく事態となっております》

 と記していたが、いったいどういった「誤解」を招いているのか――。当サイトの取材に、高橋編集長が口を開いてくれた。

「私どもは創刊が1961年なのですが、折田さんがまるで『月刊神戸っ子 KOBECCO』を立ち上げたかのような文言が出回っているようで。私どもの雑誌の表紙画像とセットになって、あちこちに拡散されているんです。

(斎藤知事の)騒動が明るみになって以降、折田さんの経歴ということで弊社との関係をお問い合わせいただくことがものすごく増えて……。なにぶん少人数でやっているものですから、本業を圧迫するようになってしまい、ああいったブログ記事を公開するに至りました」(高橋編集長)

■折田氏が『月刊神戸っ子 KOBECCO』に出演の過去
 実は折田氏と『月刊神戸っ子 KOBECCO』は過去に関わりがあった。同誌2019年5月号の「私のKOBE・SHUKUGAWA散歩」特集に折田氏が登場し、夙川(しゅくがわ)河川敷緑地(通称「夙川公園」)の思い出を語るインタビュー記事が掲載されているのだ。

 インフルエンサー・モデルとしても活躍する折田氏は、同誌にて桜が満開のなか、被写体となったショットも披露。夙川公園の魅力や、近隣にあるおすすめのケーキ店やベーカリーを紹介していた。

 ただし、関わったのはこの一度だけだという。高橋編集長は「それ以外の編集作業、記事執筆などには一切関与していない」と断言する。

「折田さんが自ら“雑誌『月刊神戸っ子 KOBECCO』を立ち上げた”と言っているわけではないと思います。ただ、やはり表記がややこしいので、おそらく一般の方々が混同して、間違った情報が出回っているのだと思います。どういった経緯でそうなっているのか、折田さんとは直接話していませんが……もう関わりたくありませんね」(高橋編集長)

 世間が混乱する2つのメディアの“類似問題”だが、余波は商標登録まわりでも起きていた。Xを賑わせているのは、merchu側が『Kobecco』で商標登録を取っていることについてだ。

 実際に特許庁「特許情報プラットフォーム」で検索してみると、大文字表記の『KOBECCO』は2006年に神戸市で創業し、現在は西宮市に本社を置く伊藤ハムが登録。また『Kobecco』については、たしかにmerchu名義で『●Kobecco』が2024年に登録されている(編集部注:●部分は“セクション”を指す記号「§」がつく)。

 もちろん、商標登録は基本的に“早いもの勝ち”である。ただし全国紙社会部記者は、「今回のケースで不穏なのは、『●Kobecco』が一度特許庁から“拒絶”されている点」だと指摘する。

伊藤ハムは牛肉を使用した具材をパンで包んだ商品『神戸っ子』シリーズを展開しているので、特許を取得したのでしょう。他方、『Kobecco』の審査記録を見てみると、2023年に申請した際、“同一又は類似”の登録があるとして、特許庁から一旦『拒絶』されていることがわかります」(前同)

■拒絶を受けたあと、「類似部分を削除」して再申請
 拒絶理由には、

《下記の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するもの》

 とあり、この“下記の登録”こそ、前出の『月刊神戸っ子 KOBECCO』の服部プロセス社が1974年に登録していた『神戸っ子』なのだ。

「『神戸っ子』は指定商品を“雑誌,その他本類に属する商品”として登録していて、merchuが当初申請していた“役務”に重なる部分があったのでしょう。

 事実、merchu側の申請履歴をたどると、merchuは拒絶された後、【印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供】という部分を削除し、審査を通っています。つまり、特許庁も両メディアが“かなり似通っている”と認定していたということですよね。折田氏も『KOBECCO』の存在を知っていたわけですから、なぜわざわざ全く同じ名前のメディアにしたかについては疑問です」(前同)

 ちなみに折田氏が手掛けていた『Kobecco』について、高橋編集長も認識はしていたという。

「商材自体は知ってましたよ。うちとは一切関係なく、うちもものすごく困っているのですが、何かやってるなと静観していた感じです」

 過去、名称について折田氏と話をしたことはあるのかについて聞くと、

「ないです。なんて言うんですかね、やっぱり一般の方とはちょっと違う感じなのかなという気もしたので……」(前同)

 高橋編集長は、まぎらわしい名称について問題視しているのではなく、あくまでも“折田氏が雑誌を創刊したかのようなデマがはびこっていること”を憂慮。誤情報に対しては、内容の訂正および写真の削除を速やかに行なうよう依頼しているという。

ピンズバNEWS編集部