101歳で亡くなられた三笠宮妃百合子さまの本葬にあたる「斂葬(れんそう)の儀」が11月26日、東京都文京区の豊島岡墓地で営まれた。孫の彬子さまが喪主を務め、秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方が参列。成年を迎えた秋篠宮家の長男、悠仁さまの姿もあったが、席順と参拝の順序は天皇、皇后両陛下の長女愛子さま、秋篠宮家の次女佳子さま、長男悠仁さまというものだった。従来の皇室の「ご身位」とは異なる「新しい並び順」だったことに、皇室に詳しい専門家たちは驚きを隠せない。
* * *
一般の告別式に当たる「葬場の儀」が始まった。
百合子さまの祭壇に向かって右の幄舎(あくしゃ)には、秋篠宮さまご夫妻や天皇、皇后両陛下の長女愛子さまら皇族や親族が、左の幄舎には石破茂首相や額賀福志郎衆院議長らがそれぞれ着席。司祭長の坊城俊在氏が百合子さまの生涯についての弔辞を朗読し、喪主の彬子さまは頭を下げて聞き入っていた。
■新しい「並び順」
「幄舎に着席なさり、そして順番に百合子妃殿下の祭壇に拝礼される皇族方の映像を目にしたとき、すこし驚きました」
こう話すのは、かつて皇室に仕えていた人物。注目したのは、悠仁さまが着席していた位置と拝礼の順番だ。
幄舎の先頭の最も中央に近い位置には、喪主である彬子さまが着席。その隣には皇嗣の秋篠宮さまと皇嗣妃の紀子さまが座っていたが、彬子さまの後ろの2列目に愛子さまが着席し、佳子さま、そして悠仁さまと並んでいたのだ。百合子さまの祭壇の前での拝礼も、この順序だった。
皇室典範では、父方に天皇の血を引く「男系男子」のみが皇位を継承することを定めており、多くの場面では男性皇族が優先されてきた。そのため、従来の皇室の「ご身位」に倣えば、「斂葬の儀」でも秋篠宮ご夫妻に続くのは皇位継承順位2位の悠仁さま、そして天皇家の内廷皇族で内親王の愛子さま、そして皇嗣家の内親王である佳子さまという「並び順」が想定された。皇室に仕えていた前出の人物が想像していたのも、そうしたものだった。
「宮内庁も並び順について、いろいろ工夫されたのでしょう。皇嗣と同妃の後列に、まず愛子さまが着かれたのは、内廷皇族の代表というお立場だと思われます。続いて佳子さま、そして悠仁さまと、秋篠宮家の若い世代の皇族が並ばれたのは基準を『年齢順』としたからだと考えられます」
■国連勧告は「お節介」と専門家
社会の価値観が大きく変わるなかで、皇室に向けられる視線も、以前とは違ったものになっている。
たとえば、秋の園遊会前日の10月29日には、女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が、「男系男子」が皇位を継承することを定める皇室典範について、「改正をして男女の平等な皇位継承を保障すべき」とする最終見解を公表した。
この件について、所さんはこう指摘する
「国連の勧告は、身分の別と人権の差を混同した、見当違いのお節介です。ただ、斂葬の儀でも悠仁さまを前に、という声もあったでしょうが、世論や時代の流れを踏まえて自然なあり方を工夫したことは大切であり、それが皇室の将来にもつながるのではないか」
「年齢順」という考え方は、多くの人にとってなじみがあり、受け入れやすいものだと見る。
(AERA dot.編集部・永井貴子)