「デマ、誹謗、妨害に近い」名古屋市長選敗北の大塚氏 圧勝の広沢氏は「減税が一番」(2024年11月25日『産経新聞』)

名古屋市長選で落選確実が報じられた大塚耕平氏=24日夜、名古屋市

24日投開票された名古屋市長選は、前市長の河村たかし衆院議員が後継指名し、日本保守党が推薦した無所属新人、広沢一郎氏(60)が、自民、立憲民主、国民民主、公明の各党が推薦した前参院議員の大塚耕平氏(65)を13万票差で退けた。大塚氏は与野党相乗りの盤石な態勢で臨んだが、選挙戦中盤から引き離されたと指摘される。大塚氏は同日夜、敗因について「デマ、誹謗(ひぼう)中傷、レッテル貼りの影響も一定程度あった」と振り返った。

4党相乗りの「知の巨匠」も…

大塚氏は落選が報じられた24日夜、選挙事務所で記者団の取材に応じ、「後半戦から訴えた『敬老パス負担金ゼロ』について、『(以前の主張は)敬老パスを無くすのではなかったか』『逆のことを言っている』という問いかけを何十回も受けた。それだけデマは浸透していた。ある意味選挙妨害に近い行為だ」と悔しさをにじませた。

平成13年から参院議員を務めた大塚氏は「知の巨匠」(国民民主党榛葉賀津也幹事長)と評されるなど政策通で知られる。昨年4月、市長選への挑戦を表明し、今年4月には国民民主を離党し、選挙準備を進めた。

大塚氏は4党の支援が及ばなかった現状について、「河村さんと選挙しているような、そういう面はあったかと思う」とも語った。

名古屋市長選で初当選を決め、前市長の河村たかし氏(左)と並んで万歳する広沢一郎氏=24日夜、名古屋市

河村氏「さんきゅーべりーまっち」

一方、広沢氏はユーチューバーらの動画発信も駆使して「市民税減税」など、河村市政の継承を訴え、勝利をもぎ取った。

24日午後8時過ぎ。当選確実が報じられた広沢氏の選挙事務所は「イチロー」コールが巻き起こっていた。

「河村氏の政策と理念を引き継ぐ。この一点で勝負し、有権者の心に響いた。市民税減税の継続と拡大、これが一番だ」

河村氏に祝意の氷水をかけられ、着替える間もなくインタビューに応じた広沢氏は、勝因をこう分析した。

市民税減税に加え、市長給与年800万円への引き下げ、名古屋城天守閣の木造化など河村氏の政策継承をアピールした。青く光る「自転車街宣」も駆使し、河村氏も選挙カーから支持を訴えた。

17日投開票の兵庫県知事選を終えると、再選した斎藤元彦知事を支援するユーチューバーらも、広沢氏支援のため名古屋に〝転戦〟するなど陣営にとって、SNS活用も功を奏した形となる。

河村氏も「さんきゅーべりーまっち。おめでとう」と選挙事務所で広沢氏に声をかけ、「国の4大政党が引っ付いても、市民の力の方が強い。保守党もひょっとするかも。(河村)総理だがや」と自信をのぞかせた。

保守党の百田尚樹代表も24日夜のライブ中継で、「減税は同時に経済も復興していくこと。名古屋市民は素晴らしい選択をした。名古屋という拠点を守ったというのは保守党にとっても大きい」と語った。(奥原慎平)

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